考えてみると、007シリーズを映画館で観たのははじめて!
膨大な数の007シリーズですが、テレビやDVDで数えるくらいしか観ていないし、それほど好きなシリーズって訳でもないのですよ。
個人的に多分007に漂うダンディズムがこそばゆくて苦手なんですよね。
ところが、ダニエル・クレイグになってからは、私でも観られるというか、ダニエル・クレイグは普通に格好いいし、アクションの見せ方が今風で十分楽しめるんで、往年のファンには評判悪いダニエルボンドですが、007に馴染めない私には入りやすかったりもして、ついに映画館まで足を運ぶまでになった訳ですよ。
まあ、それだけでなく、あのクリストフ・ヴァルツがヴィランとして登場するってだけでも期待が高まりますよ。ランダ大佐のような素晴らしい演技をもう一度!ってね。
最初のメキシコでのアクションに興奮し、つかみはOK!
その興奮のままに前半はヒャッホー!な気分だったんですが、しかし、私は知らなかった、この映画が148分もあることを。(何故か倒置法)
後半になるに連れ次第に息切れ、徐々に疲労感を覚えてしまいましたよ。
で、面白くないとは言わないのだけど、結果的にちょっと期待しすぎちゃったのかなーという気分です。
前作の007とQのコンビが面白かったので今回も期待してたんですが、
違う! 違う! そうじゃ、そうじゃな~い! (by鈴木雅之『違う、そうじゃない。』)
個人的にはQが悪気なく007を振り回す感じが好きだったんですが、今回はQが007に振り回される形になっていて、期待してたものと違っちゃいましたね。
ヴァルツの役にもツッコミたいこと山のごとしですよ。
以下ネタばれ
ヴァルツが007の宿敵ブロフェルドを演じるとなれば当然期待は高まりますよ。
ブロフェルドというと、私の頭にうかぶのはやっぱりドナルド・プレザンスと『オースティン・パワーズ』のドクター・イーブルのスキンヘッドなイメージだったります。
実際は髪ありバージョンもあって、『ロッキーホラーショー』の犯罪学者でお馴染みのチャールズ・グレイが演じたこともあったようなんですね。ふーん、知らなかった。
で、今回のブロフェルドは007の養父の息子って設定なんですが、彼は007をかわいがる父親を嫉妬から殺し、007を巣を荒らすカッコウになぞらえて憎んでいる訳です。
いや、そこに至るまでにブロフェルドにはいろんなドラマがあったのかもしれないのですが、台詞でさらりと語られるだけなんで、「そんな理由で父親を殺して悪の結社を作りあげるなんて、極端過ぎる!」って気分になっちゃうんですよ。
まあ、時には嫉妬が人生を狂わすことだってありますよ。でも、なんかいまいち「そりゃー、ブロフェルドが父親を殺し、ぐれるのも無理ないわ」と思わせる説得力がないというか、なんだかとってつけたような因縁だなーという気分になってしまうのですわ。
せめて、ヴァルツと007が若い頃どんな確執があったのかわかるエピソードを回想シーンか何かでほんの少しでも描いてくれれば違ったんでしょうけどね。
で、ブロフェルドは悪の組織を統轄する恐ろしい存在の割には、ちょいちょいツメが甘いんですよね。
二度も007を殺すチャンスがありながら、一度は基地を破壊され、二度目は007に救出、脱出という余裕を与えすぎて逆に捕獲されるとは、一度目で学べや! って気分ですよ。
いや、そりゃー悪役が完璧だったら主人公なんてとっくに死んじゃう訳ですが、なんか、こう、ボンドが優れていたから助かったと言うよりは、ブロフェルドがツメの甘い人間だったからボンドが助かったという印象なんですね。
007シリーズでも、脱出口のある船倉にボンドを閉じ込めて、あっさり脱出されるというマヌケなシーンがあったりするんで、ブロフェルドのマヌケな感じも含めて旧来の007っぽい雰囲気に戻った感じですね。