M・ナイト・シャマラン監督の作品はなんだかんだ殆ど観てるのだけど、近年の『エアベンダー』や『アフター・アース』はさすがに未見。

そういう意味では久しぶりに、従来のシャマランに戻った感じだ。
やっぱり、シャマランはこういう作風の方が似合う。

POV好きなのでシャマランのPOVというのも嬉しい要素だし、孫から観た祖父母の不穏さが効果的に表現されていた。

シャマランというと皆『シックスセンス』のようなどんでん返しをかまえるようだが、私はそのあたりはまったくかまえてなかったので、素直に実際あったら相当怖い話だなーと思うにとどまっている。
というか、これまで観たシャマラン作品の中でも一番怖いお話という感じがするのだけど、それでも独特のユーモアもあって、怖いながらも笑えてしまう。

結構嫌いじゃない作品なんだけど、日本におけるYahooのユーザーレビューや巷の評価は厳しい。
というか、シャマランの映画はいつも皆手厳しい印象。
『レディ・イン・ザ・ウォーター』なんて私は傑作と思っているのにラジー賞まで取ってるんで、世間との感覚のズレを感じる。

ここからネタばれ

ただ、いくら老人性痴呆とはいえ、包丁を持って真夜中に祖母が部屋に訪れた時点で自分なら逃げ出すと思うのだけど、意外にこの子供たち、しぶとい。

また、この出来事によって、子供たちは父親が自分たちを棄てたというトラウマから開放されたかのようなエンディングだが、こんな事件に遭遇したら新たなトラウマになりそうだ。
その点、姉が父親を許すという境地に達したり、お気楽に弟がラップで締めるあたりは違和感を感じる。
仮にも祖父母の死体を見て、人を殺した姉弟がそんな簡単に立ち直れるのかな。荒療治にもほどがないのかな。

まあ、所詮娯楽映画ということで、救いをもたらすエンディングとしたのだろうが、個人的には母親が迎えに来て救出された直後に終わってくれた方がかなりブラックな感じでよかったのだが、そのあたりはブラックに徹しきれないシャマランの人の良さなのかもしれない。

後半はPOVの欠点でもあるんだけどあんな状況でも撮り続けることにはやっぱり無理があるかな。