久しぶりのテリー・ギリアム監督作品でしょう。
主演がクリストフ・ヴァルツでしょう。
ちょっと期待してたんだけど、なんか違うって感じかなー。
少なくともこの映画ではヴァルツの魅力はいまいち生かし切れてない感じ。
殆どゲームでもやってるみたいな仕事っぷりの主人公。
他者との断絶が進み、会社よりも家にいたいと願う引きこもりっぽい男。
ちょっと精神的にも病んじゃっている。
『はてしない物語』の巨大亀モーラもそうだったけど、孤独が進みすぎた人間は自分を「わしら」「我々」と複数形で呼ぶ。
そんな彼がコールガールや若者と関わることで、徐々に人間性を取り戻す。
って、言ってしまえばそういうお話なんでしょうが、構造的には『未来世紀ブラジル』と同じというか、主人公が他者とのふれあいで解放される世界も夢の中というかバーチャルだったりする訳で。
そんな主人公が結局虚無に飲まれて破滅的に解放されるのが『未来世紀ブラジル』ならば、こちらはまだ若干救いがあるものの、でも結果的に同じことのようにも思える。
ビジュアル的は観るべきものはあるけど、内容はあっさりしすぎというか、いまいちパワーを感じないな。