低予算で面白い映画を撮らせたら天下一品の白石晃士監督。
今回も得意のPOVに86分長回しで魅せる手腕が素晴らしいです。

観る前は漠然と同監督の『殺人ワークショップ』みたいな内容を想像してたんですが、どっちかと言えば『オカルト』的な内容でしたね。
韓国が舞台と聞いて、これまでと趣が変わるのかなーと思ったら、いつもの白石ワールドで安心しました。撮影者も『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズの田代だし。クトゥルフっぽい触手うねうねも健在だし。

今回も電波系のいっちゃってる奴がおかしな理由で殺人を正統化していくという危ない内容で、しかもその電波がなまじっか事実だったりするので、余計に危ない内容です。
どう観ても自分の都合のいいように解釈しているとしか思えない文頭の組み合わせや、途切れた携帯電話の言葉など、やばいネタがたまりません。
27歳になって、27羽の鳩が死んでいたというあたりは笑いました。

ただ、「そのシーンいる?」って感じのエロシーンは困っちゃいましたけどね。


ネタばれ

作品としては『オカルト』の方が好きなんですよね。やっぱり、27人も殺せと命令する神が良い神なんて思えないし(27の数字のこだわりって何かあるんですかね?)、そんな声を真に受けて人殺しをする奴がハッピーエンドというのは釈然と致しません。『オカルト』のように地獄に堕ちるのが正解だと思います。

(もっとも、カメラが残っているということは、主人公が一度死に、別のパラレルワールドが発生しているということなので、本当の意味で主人公がハッピーかどうかは謎ですが、まあ、それでも自分の望み通りの世界を構築したという意味ではやっぱりハッピーエンドだと思います)

自分的には、最後に主人公は子供時代の自分もろとも事故って死亡し、新しく発生した未来に自分がいないという展開あたりがブラックでよかったかなーと思いますね。

「戦慄怪奇ファイル 超コワすぎ!FILE-02 暗黒奇譚!蛇女の怪」を観た時も思ったのですが、あのストーカーがヘビ女との恋を成就させるというのも釈然としません。
現実にいたら危ない奴がなんとなくハッピーな結末になるのはやっぱり手放しに良かったとは思えないのです。

この2作品に関しては白石監督がちょっと危ない人の心情に寄りすぎているような印象を受けます。