なにやら『バトル・オブ・アース 闇の種族と光の戦士』の二の舞を踏みそうな嫌な予感がひしひしと致しますが、羽根フェチの私としては「天使と悪魔の戦い」というフレーズだけでくらくらしちゃいます。ダメな私です。
正確には天使ではなくガーゴイルなんですけどね。
でも想像以上に盛大に羽根を広げて戦ってくれるので、もうそれだけで満足というかお腹いっぱいです。ポール・ベタニー主演の『レギオン』もこれくらい盛大に天使が登場してくれればよかったんですけどね。
そしてもうひとつ嬉しい誤算がビル・ナイが出演していることなですね。
悪魔の王子って役所で、また、『アンダーワールド』の役所とかぶってる感が。
ちなみにこの映画『アンダーワールド』シリーズの制作会社が絡んでるですね。
興行収入がふるわなかったので続編作りが困難という話もあるし、かなり厳しい批判もあったようですが、とりあえず『バトル・オブ・アース 闇の種族と光の戦士』よりは全然よかったです。ハードルは低くしておくもんです。
アクションシーンなんかはバトルより全然よくできてますしね。バケツで聖水をかけるとかそういう珍妙なシーンもないので安心です。
なんと言っても一応中堅どころの俳優アーロン・エッカートが主演ですしね。そこまで残念な出来ではありません。
ところで怪物御三家、ドラキュラ、狼男、フランケンシュタインの中で、いまいち扱いに困るのがこのフランケンシュタインなんじゃないでしょうかね?
ドラキュラや狼男のように噛まれて増えるってもんでもないので、ドラマが広がりにくいというか。
で、今回のフランケンシュタインの怪物はカーロフ演じるベタな怪物像ではなく、アーロン・エッカートが演じるイケメンです。
さらに、メアリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン』を前ふりとしてきちんと取り入れてるんですね。死体をつなぎ合わせて蘇生するという設定だけを借りて現代風にするのかと思ったらそこはきちんと踏まえるんだなと。
原作はグラフィックノベルらしいですが、あちらのグラフィックノベルは天使と悪魔の戦い的なお話大好きですね。
さて、ここからはネタバレつっこみです。
ガーゴイルの女王リオノアがひどすぎる!
最初は神の御意志を無視してむやみに殺せないとフランケンシュタインの怪物=アダムを助けたりするんですが、途中から味方のふりをしてこっそり殺せと命令するんですね。これはひどい裏切りだと思うのだけど、アダムはそれをあっさり許して、ガーゴイルを悪魔のあじとに導くんですよね。人がいいなーアダム。
ガーゴイルが大天使ミカエルと連絡できるのが女王リオノアだけって言うのもひどい話ですよ。もしリオノアを失ったら天上界との連絡が途絶えて自警団になるしかないって、ミカエルよ、もう少しガーゴイルとの連絡ツールを考えてあげてください。
で、劣勢のガーゴイルにミカエルは一切援軍をよこさないのね。天上界はそんなに人手不足なんでしょうか?
アダムはアダムでちゃっかり女科学者を好きになっちゃって、勝手に「守るものができた」と暴走。えーっと彼女はアダムのことが好きなんでしょうかね? 好きってわかる態度は特になかったように思いますが、彼のひとりよがりじゃないかと心配になります。
最後にアダムが差し出す手をにぎる彼女の態度は勝手に怪物にロックオンされて困惑気味にみえましたよ。
そして、女を好きになったらなかったはずの魂も宿るんですね。魂ってなんだ???
魂が宿ると、急に父親との確執も氷解。フランケンシュタインの姓を名乗り出したりします。魂ってすごい!
いや、よくある展開といえばよくある展開なんで、そういうもんだと流れとしては理解できるですが、それにしても主人公の心情の変化がなんだか雑なんですよ。
そんな感じで脚本に粗さもありますが、でも羽根が堪能できたのでオールOKってダメダメな感想ですね。
いや、最初から内容にはたいして期待してなかったんで、目的の羽根が期待以上ってだけでもーまんたいです。