去年韓国版の『オールド・ボーイ』を観たんですが(土屋ガロンと嶺岸信明の原作は未読)、韓国版に比べると米版はスマートな出来ですね。韓国版ほど灰汁がない分、見やすい作品にはなっています。
ただ、灰汁がない分、韓国版のような独特のテンポやとぼけたユーモア、映像的な新鮮さがなく、インパクトには欠けるかもしれません。
ただ、言うほど悪くないというか、米版には米版のよさがあります。韓国版は灰汁が強すぎてもう一度観るのはちょっとパワーがいる感じだけど、米版ならもう一度観てもいいかなーくらいの気楽さがありますね。

主人公のジョシュ・ブローリンが最初はどうしようもないダメ男っぽいのですが、どんどん格好よくなっていくんですよね。

そして謎の男を演じるのがシャールト・コプリーだったとは!
『第9地区』とはまるでイメージが違う見事な変身っぷりでした。

ここよりネタバレ!

韓国版でもっとも印象深い、主人公が自分を監禁した場所での乱闘シーンですが、あれはずっと横並びに見せる演出が面白かったですね。
米版はそれを縦に見せる感じでこれはこれでよかったです。アクションシーンも迫力ありましたしね。

最初の主人公の嫌な奴度(ダメ度)は増している感じです。
あのお腹と胸がすごい。それがちゃんと鍛えてひっこむんですよね。あれはCGじゃなくてリアルにたるませて鍛えたのかしら。

それから偽の番組で別人を娘と思い込ませるミスリードはよいですね。
しかし、実の娘と関係を結ぶように第三者が仕掛けるのはちょっと無理があるような。
(ここのぼかしオンパレードにはうんざりしますね。ぼかしを入れるにしてももうちょっとスマートにいれられないもんですかね。雑な仕事です)

主人公を陥れる男の動機が、韓国版よりも乱れた家族になっていて、ちょっとどうかと思います。姉と弟の近親相姦くらいに留めておけばよかったんじゃないですかね。
ただ、父親が現れると、「お父様」と言いながらいそいそと服を脱ごうとする兄妹の描写がわかりやすくてちょっと面白かったです。

オチに関して言えば韓国版は記憶をなくしてその後も娘と関係を続けるという若干ひっかかりというか、もやっとしたものが残りますが、米版は自らを監禁するというすっきりしたオチで、そのあたりも好みがわかれるかもしれません。