いやー、久しぶりに置いてかれた~!

今年最初の地雷映画だった。
これだから蔦屋限定は要注意なんですよ。
いや、わかってた、わかってたんですけどね。

ほら、パッケージからして中二病全開な訳ですよ。
いやーたまにあるんですよねー、こういう中二病な映画を観たい時が。
内容の方もね、人類と天使と魔族(?)がいるらしくって、聖書とか、なんか宗教的なバックグラウンドがあったりなかったりするんですが、主人公は人類と魔族の上に立つ選ばれた人らしくて(出た!選ばれた人!)、設定からしても中二病全開です。
わざわざ冒頭でこの三種を説明してるから天使が出てくるのかと思ったら天使は一切登場しません。三つ巴の戦いを期待したのに肩すかしです。

宣伝文句が「『X-MEN』シリーズを超える、究極のSFファンタジー・アクション超大作!」ときたもんです。おわかりのことと思いますが1ミリも超えてはおりません。

とにかく、いちいち展開が変なんです。
断っておきますがここからネタバレ全開です。
もっともネタバレしたからと言って問題のある映画という気がしません。
むしろ地雷映画なんで警鐘を鳴らしたいほどですよ。

ある日、主人公のところにVHSのビデオが届けられるんですよ。
今時VHS? なんで?
って感じなんですが、実はそれは主人公の父親からのメッセージでした。
で、父親は「このVHSを持ってきた人物を探せ」と言うのですが、そもそもそのメッセージを持ってきた人物はなんでさっさと消えてしまったのか? 
主人公、特にその人物を積極的に探すでもなく、魔族に襲われた際に携帯に電話がかかってきて「教会に来い!」と言われて行ってみたらそいつがいたという。
えー、探す必要ないじゃん!
だったら、最初からVHS渡すときにそいつが自分の居場所を言っておけばいいことで、なんでそんなまどろっこしいことを。
それに昔録画したものだからって、VHSで渡さなくても、DVDにダビングしてあげてくださいよ。主人公は自宅じゃVHSが再生出来なくて危なく観られないところだったんですから。

で、その謎の人物はガブリエルなんて名前なんで、「え、じゃあ天使族?」と思ったら魔族の方なんですね。どうやら主人公の守護者らしんだけど、あんまりそのあたりは説明されないので置いてきぼりです。

で、すったもんだあって、敵の集団に襲われる主人公とガブリエル。
ガブリエルはひとり敵の集団の前に立ちはだかり主人公に「車に乗っては早く逃げろ!」とめっちゃ緊迫して叫びます。

ここからガブリエルの見せ場なんですが、なんかそれっぽいバトルシーンってここだけなんですよね。
しかもスローモーション。
ずっとスローモーション。
一見スタイリッシュに撮ってるけど、『スリーハンドレッド』みたいに緩急ある演出でもないので、ガブリエルが無駄に踊りながらだらだらと敵を倒しているようなかったるいシーンに。
ドラゴンボールのカメハメ波っぽい光の球なんか出してるんで、それで敵を蹴散らすのかと思ったら、地面に向かって打つという、こちらのカタルシスを微妙にはずす見事さです。
で、結構なお時間がたったので、とっくに主人公は逃げてるかと思いきや、

車の鍵がない! くそっ!

とまだもたもたしてる。
このシーンに思わず吹いちゃいましたよ。

で、なんやかんやあって、主人公の奥さんが敵にさらわれちゃうんです。
でも、主人公はそれほど取り乱してないんですよ。終盤まで妻のことはどうでもいいのかって感じになっちゃいます。

で、またいろいろあって、敵ボスと主人公とその叔父のバトルになるですが、叔父が戦いながら「聖水を!」と叫ぶと、主人公がバケツに水をくんで、そこに聖水を足して、水増しした状態で敵にぶっかけるんです。敵は一応苦しむんですが、「もう一回だ!」と叔父が叫び、また主人公がバケツに水をくみ、聖水を継ぎ足すというなんとももたもたしたシーンが続く訳です。
こういう映画においてバケツで聖水をぶっかけるなんてシーンははじめてみましたよ。しかも二度目はつんのめって水を床にぶちまけるんです。
もう、コントか?って感じですよ。

そんなこんなで退屈な時間が過ぎていき、なんのかんのと敵を追い払って教会に行ったら、なんとさらわれた妻は実はずっと教会にかくまわれていたという驚愕なオチが待ってるんです。

とりあえず、これからはじまるであろう壮大なバトルのプロローグは終わったぜって感じなんですが、シリーズになっても二度と見ませんよ。ええ。どう考えても今後もしょぼいバトルが展開する未来像しか見えませんし。
いろいろ説明不足過ぎて、いや、説明しなくてもことたりる世界観ですが、あまりに雑な世界観に入り込むことも出来ず、こっちは終始ポカーンと置いてきぼり状態をくらいます。
唯一ガブリエルはちょっといい感じでした。ホントそれだけ。
(パッケージも主人公じゃなくてガブリエルが真ん中になってるし、実はガブリエル推し?)

魔族はちょっとJホラーっぽくて無駄に薄気味悪いです。

魔族と戦う人間の決めぜりふは「神よ我を守りたまえ」。
この台詞がくどいほど繰り返されます。
こんな庇護ばかりを求める台詞じゃテンションあがらんっすよ。

★追記★
ガブリエルについてちょっと調べたらSWでダース・モールやX-MENのトードを演じたレイ・パークだったんですね。
この映画で唯一メジャー系の俳優じゃないですか。
だからパッケージは脇役なのに主人公を差し置いてど真ん中なんですね。納得です。

しかも神父はウィリアム・アザートンじゃないですか。
意外にあなどれない配役だったんですね。
というかいつのまにこんなおじいちゃんになっちゃたんですかね、この人。