この映画は何度観ても、
演出家であるザックがなんでこんなに嫌な奴なんだろうと思うのです。
劇団四季の舞台を観た時は厳しい人物だけどそこまで嫌な奴とは思わなかったのですが、マイケル・ダグラスの演技のせいでしょうかね。いちいちヒステリックで気に障ります。
バレー経験のないダンサーが踊っていると
「踊るな!」
とキレる。
ちょっと気取って話している女性には
「気取るな!ジーザスクライスト!」
と切れる。
ジーザスクライストまで言わなくてもね。
そのくせ、話題が性的になると途端ににやにやしはじめて気持ちが悪い。
ショービジネスの厳しさを現しているのかもしれないけど、ダンサーたちが言う通りホント、なんでこんなイヤな奴に才能があるんだろうって感じですよ。
もはやパワハラの域ではないかと思いますもの。
マイケル・ダグラスのあのやや過剰な演技は、そんな演出家だけどオーディションが進むに連れて暖かい面もうかがい知れるみたいなギャップを狙ったんでしょうかね。どうしても最後まで好きになれない人物でした。
オーディションの結果発表もやり方が残酷なんですよね。
観客のミスリードを狙ったと思うんですが、実際オーディションであんな発表されたら、誰だってぬか喜びしちゃいますよ。どうもやり方にいちいち引っかかります。
それと、何故この演出家がコーラスのオーディションでひとりひとりのプライベートな話題に踏み込むのか謎でしたね。コーラスという無名のダンサーたちにも個々にいろんな背景を抱えているってことを現しているでしょうけど、実際コーラスのオーディションにそこまで踏み込む必要があるのか疑問です。オーディションといえども人の心に土足で踏み込んでいいのかなと。
それを言っちゃうとこの映画のコンセプトを否定しちゃうことになるのですが。
もともとこの映画を最初に観た時は面白いと思わなかったんですよね。
最初にダンサー全員で踊り出すシーンがピークで、あとは淡々とダンサーたちの赤裸々な告白が続く退屈な映画だなーっと。
でも、気がつけば繰り返し繰り返し観ている有様で、なんとなくはまってしまいました。
この映画では、グレッグ・バージのダンスが最大の見所。
映画版のみに作られたナンバー『サプライズ』が圧巻です。言ってしまえば「セックス最高!」ってだけの内容をこんなにハイテンションに歌い踊る姿はなかなか衝撃的でもありました。
舞台を観た時このナンバーがないのがひどく残念に思えました。一番このダンスを生で観ることを期待していましたからね。
グレッグ・バージも既にお亡くなりになっていると知って非常に残念です。コーラスには勿体ないほど、彼のダンスは他のメンバーと比べても卓越していました。