

1.
前半に続けて魏無羨に向け述べた形。
前半句:魏無羨が生を失ってから献舍され蘇るまでの十三年を指す。
此身葬风波,
【此の身は風波に葬られ】
还以为相忘旧山河,
【既に昔の事など忘れ去っただろうと思っていた】
你我往生客,
【自分たちは生まれては死んでいく身だ】
谁才是痴狂者。
【一体誰が痴れ者だろうな】
魏無羨が藍忘機に自分だと見抜かれた際の感慨。
前半句:魏無羨の魂は風波の中に消えた。
生まれ変わった後も藍忘機に告げようとはしなかった。……相手が既に“旧山河”、昔のこととして自分を忘れているのではないかと思ったからである。
後半句:“痴狂者”、痴れ者。
表面上、13年も自分を探し続けた藍忘機のことを指している。
でも実際には魏無羨はどうだろうか。後に無意識のうちに抱き続けていた相手への想いを自分で知った時、この句は自分のことも指すことになる。
百鬼过荒城,
【無数の鬼が荒れた地を往き】
第几次将横笛吹彻,
【幾度目かも分からぬ横笛を吹いた】
而此刻,又何以为歌?
【今、何を想い曲を吹く?】
夷陵老祖にとって横笛を吹き鬼を操るのは何度目かも分からないほど、ごくありふれたものである。
是跌碎尘埃的孤魂,在天涯永夜处容身,
【浮世に散った魂 永遠の夜に身を置いていた】
听谁唱世外光阴,洞中朝暮只一瞬。
【誰かが唄うのを聴いた
外の光陰も洞中の朝暮一瞬に過ぎない】
前半句:魏無羨の魂が消え13年。
魂は浮世に散り、藍忘機の「問霊」に応えはなかった。身体も何処にあるのか分からない。
後半句:情景は移り玄武洞にて。
2人で共に戦った七日間。
長いながらも互いの存在があったからこそ生き延びることができ、「一瞬」と表せたのだろう。
そう、「誰か」は藍忘機、「唄う」のは…《忘羨》です。
※外の光陰、洞中の朝暮は並列。日本語の表現上対比させました。
【藍忘機視点】
是生死不羁的欢恨,问琴弦遥祝了几程,
【生死に隔てられようと変わらぬ想い
幾度も琴線に込めた】
就用这无名一曲诺此生。
【この名も無き曲に一生を誓おう】
曲調が上がり出す。
二人の感情が共鳴し、高まってきていることが感じられる。
前半句:「問霊」を指す。
13年間、魏無羨が死んでいようと藍忘機の想いは変わらず、その後も変わることは無い。
後半句:「名も無き曲」、《忘羨》。
藍忘機が魏無羨の為に作った曲である。
この曲により2人は再び結ばれ、生涯を誓った。
彼等のみ知る、暗黙の契りであることは言わずもがなでしょう。
2.
【藍忘機視点】
长行的,不停留,
【遠く往き 留まることを知らぬ人よ】
归来的,飘零久。
【帰って来た魂は 長く彷徨っていたのだろう】
魏無羨の魂が13年を経て帰ってきた際の、藍忘機の感慨。
一度失った(喪った)人が帰ってきた喜びも当然ある。
けれど、長く彷徨っていただろう魂に心が痛む気持ちが勝るのだろう。
临别前,重逢后,
【別れの前 再び逢ってから】
林泉渡水,白云载酒。
【林泉の中 水を渡り
白い雲に杯を上げた】
前半句:魏無羨が死ぬ前、そして2人の再会の後を指す。
【魏無羨視点】
此身赴风波,
【この身は風波に消え】
还以为今时不识我,
【今自分を知る者は無いと思っていた】
一番の「相忘旧山河」は藍忘機に対する推測だったが、これは時代全体に対する推測として捉えられる。
【藍忘機視点】
惆怅人间客,
【失意に暮れる】
谁才是忘情者。
【一体誰が情を忘れた者だ】
清风过故城,又一次将横笛吹彻,
【清風が旧き地を過ぎ 彼がまた横笛を吹く】
而此刻,又何以为歌?
【今、何を想い曲を奏でる?】
「旧き地」。
けれど今は違う。魏無羨の隣に立ち、共に曲を奏でているのだ。
【魏無羨視点】
是跌碎尘埃的孤魂,在天涯永夜处容身,
【浮世に散った魂 永遠の夜に身を置いていた】
听谁唱世外光阴,洞中朝暮只一瞬。
【誰かが唄うのを聴いた
外の光陰も洞中の朝暮一瞬に過ぎない】
【藍忘機視点】
是生死不羁的欢恨,问琴弦遥祝了几程,
【生死に隔てられようと変わらぬ想い
幾度も琴線に込めた】
就用这无名一曲诺此生。
【この名も無き曲に一生を誓おう】
一番に同じ。
3.
长行的,不停留,
【遠く往き 留まることを知らぬ人よ】
归来的,飘零久。
【帰って来た魂は 長く彷徨っていたのだろう】
临别前,重逢后,
【別れの前 再び逢ってから】
林泉渡水,白云载酒。
【林泉の中 水を渡り 白い雲に杯を上げた】
歌詞は全く同じであるが、歌唱法に二番との違いが現れている。
是风云浴血的故人,
【かつて共に血を浴びた友よ】
在天地静默处启唇,
【静寂の中で口を開き】
低唱过世外光阴,洞中朝暮只一瞬。
【低く唄った
外の光陰も洞中の朝暮一瞬に過ぎない】
“天地静默处”,玄武洞にて。
2人は共に戦い、共に生死を乗り越えた。
藍忘機視点となり「低く唄った」。
ほんの一瞬に過ぎない、と2人とも述べていますね。
何故かじーんと来る筆者がいます。
是出鞘即斩的霜刃,避不开心头旧红尘,
【鋭い剣でさえ 断ち切ることの出来ない想い】
就用这无名一曲诺此生。
【この名も無き曲に一生を誓おう】
前半句:2人の想いを指している。
“出鞘即斩的霜刃”は直訳すると『鞘を出れば斬る鋭い剣』、これは「鞘を出れば必ず血を見る剣」と呼ばれる魏無羨の佩剣“随便”を指す。
“避不开心头旧红尘”の最初と最後の字を見ると……
“避尘(避塵)”。藍忘機の佩剣である。
2人の佩びている剣の名を使って想いの強さを表すのですから相当なものです。作詞者様凄すぎです![]()
【魏無羨視点】
是跌碎尘埃的孤魂,在天涯永夜处容身,
【浮世に散った魂 永遠の夜に身を置いていた】
听谁唱世外光阴,洞中朝暮只一瞬。
【誰かが唄うのを聴いた
外の光陰も洞中の朝暮一瞬に過ぎない】
【藍忘機視点】
是生死不羁的欢恨,问琴弦遥祝了几程,
【生死に隔てられようと変わらぬ想い
幾度も琴線に込めた】
就用这无名一曲诺此生。
【この名も無き曲に一生を誓おう】

