【愛知県】震災がれき広域処理反対運動の軌跡 | あんくら島田のブログ

あんくら島田のブログ

『安心して暮らせる島田を作る市民の会』
私たちは静岡県島田市での「震災がれき広域処理」への疑問から活動を始めた年齢や立場・市内か市外かなどの「枠」にこだわらない個人有志の集まりです。






↑ご協力有難うございます☆-( ^-゚)v






瓦礫の広域処理は国策ですから、全国にこの問題に取り組んだ自治体、住民がいます。

愛知県は震災がれきを受け入れないと判断しました。


その軌跡について、あざらしサラダさんのブログ

にて書いてくれています。









転載************************************************


【愛知県】震災がれき広域処理反対運動の軌跡











震災がれき広域処理反対運動の軌跡(要約版)







1、はじめに





 平成24年8月23日、大村知事は愛知県における震災瓦礫の受け入れ断念を発表した。


 3月18日に、これまでの慎重な姿勢を一転して瓦礫の受け入れを表明してから、約6ヶ月で方針転換したことになる。





 震災瓦礫の広域処理にあたっては、原発事故直後から瓦礫に付着する放射性物質の汚染を心配する多くの住民が安全面からの問題点を指摘し、このブログでも一年以上にわたり一貫して反対の意見を主張してきた。





 
この間、政府は39億円もの広報予算を使ってマスコミを総動員し、被災地復興のためには震災瓦礫の広域処理が不可欠、とのプロパガンダを繰り返してきた
が、当ブログをはじめ住民が独自に調べて明らかにした数多くのデータから、「瓦礫の広域処理」という公共事業については安全面だけでなく、行政手続き面や
法律面、予算面などからみた問題点が次々と明らかにされた。





 特に、平成24年5月に被災地が瓦礫の総量を精査して以降は、津波を被った
農地を不燃物としてカウントする「瓦礫総量の水増し疑惑」や、大手ゼネコンと既に契約済みの瓦礫を北九州まで運んで試験焼却した「二重契約疑惑」など、瓦
礫処理経費の不正受給に繋がる違法性が問われかねない事実までもが明らかとなり、住民らが北九州市と宮城県を提訴する事態に発展している。





 こうした中、環境省は8月7日に震災瓦礫の新たな処理行程表を発表し、可燃物については新たな受入自治体との調整は行わない、不燃物については岩手県の漁具・漁網8万トンと宮城県の不燃混合物43万トンのみ今後の調整が必要、とした今後の方針を明らかにした。





 
しかし、宮城県と岩手県を合わせた最終処分場の残余量は600万トン以上あるのにどうして不燃物の広域処理が必要なのか、いまだに環境省も岩手県、宮城県
も合理的な説明をしていない。愛知県の瓦礫受入中止は、こうした状況を受けて環境省と宮城県が広域処理の要請を取り下げたことによる。





 そこで、この広域処理問題とは一体何だったのか振り返るとともに、いまだに瓦礫の受入を表明している各自治体における反対運動のヒントを探ってみる。





2、震災がれきの広域処理とは





 震災瓦礫の受け入れを全国で初めて表明したのは川崎市だが、なぜ川崎市が最初だったのか?





 
平成23年4月、阿部市長が福島県を訪れて川崎市に震災瓦礫を受け入れて処理したいと表明したのだが、これは福島県が自らの出身地であることに加えて川崎
市出身の樋高剛・環境大臣政務官が、事故直後の平成23年3月14日に全国清掃事業連合会に対して瓦礫処理の協力を要請したことを受けてのアクションと思
われる。


◆樋高環境大臣政務官が全国清掃事業連合会あてに送付した要請文書(H23年3月14日)







 しかし、川崎市には受け入れ表明直後から瓦礫に付着する放射性物質の汚染を心配した住民からの問い合わせや抗議が相次ぎ、その結果、放射能汚染された瓦礫は従来の廃棄物処理法では処理できない、という法整備上の不備が明らかになった。


◆市とマスコミによって悪者にされた川崎市民(川崎市ゴミ騒動の真相)(H23/4/16)







 このため、環境省は平成23年5月に「安全評価検討会」という有識者会議を設置し、放射能汚染された廃棄物の処理について議事録も公開しないまま密室での検討をすすめ、同年8月に震災瓦礫を広域処理するための二つの特別措置法を成立させた。


◆放射性物質汚染対処特措法ってご存じですか







(注:現在は第8~11回を除いて検討会の議事録を公開中)


◆災害廃棄物安全評価検討会(第5~7回)議事録は掲載されたものの(H24/5/1)







 愛知県も平成23年4月にいち早く瓦礫の受け入れを表明したが、こちらも名古屋市出身の近藤昭一・環境副大臣が、平成23年4月8日に各都道府県知事に対して震災瓦礫の広域処理について協力要請したことを受けてのアクションと思われる。


◆近藤環境副大臣が新潟県知事あてに送付した要請文書及び環境省廃棄物・リサイクル対策部長が各都道府県知事あてに送付した要請文書(H23年4月8日)







 
前述した川崎市の瓦礫受け入れ騒動の頃からこの問題に注目していた当ブログでは、放射性瓦礫拡散反対のチラシを作成して問題点を広く伝えるとともに、同じ
問題意識を持つメンバーと協力して愛知県内の各自治体や地方議員あてにメールや電話で問題点を訴え、さらに議員面談を重ねるなど、住民の代表である地方議
員を通じて私たちの意見を行政に反映させる運動を進めてきた。(面談した議員は市会議員、県会議員、国会議員を合わせると20名は下らない)


◆汚染廃棄物受入れ反対のチラシなどセット版資料(H24/3/31)







 ただし、当時は瓦礫の広域処理問題はほとんど認知されておらず、今とは異なり広域処理の問題点を正しく理解している住民もごく少数だったので、どのようにして脱原発運動と同じような全国的な運動に盛り上げるかが直面する課題だった。





 
そのため、平成23年7月に東海地方で最大級の市民運動ネットワークである「東海ネット」の結成式に参加して、市民放射能測定センター(Cラボ)でボラン
ティアを行い土壌や食品の汚染情報を発信し、問題意識を共有できるメンバーを増やしながら瓦礫の広域処理に反対する住民のネットワークを作り上げてきた。


◆「未来につなげる・東海ネット」の結成集会に参加してきた(H23/7/31)







(結果的に東海ネットも平成24年4月に瓦礫広域処理反対の声明を発表した)


◆放射能汚染した災害廃棄物広域処理に関する見解(H24年4月23日)







 さらに、環境省の「安全評価検討会」資料に毎日のように目を通して問題点を洗い出し、これらの情報を多くのメンバーで共有しながら各自治体や議員に問題点を訴えるよう呼びかけていたのもこの頃である。


◆環境省検討会などの資料(H23/10/4)










3、公共事業としてみた広域処理の問題点





 一方、川崎市の瓦礫受け入れ騒動からおよそ半年が過ぎた平成23年10月頃には、震災瓦礫の広域処理問題も全国で認知されるほどに情報が広まり、当初は積極的に瓦礫の受け入れを表明していた自治体も一転して慎重な対応を取るまでに情勢が変化しつつあった。





 
この動きに慌てた環境省は全国の自治体を対象に、瓦礫の受け入れ拒否が選択出来ない恣意的な設問のアンケート調査を行うなど露骨な政治圧力をかけてきた
が、愛知県では住民が結束して各自治体に対して慎重な回答をするよう要請行動を行い、県内全ての自治体が「白紙回答」を返す結果に繋がった。


◆環境省の暴走!汚染廃棄物の全国受入れ調査に異議あり(H23/10/15)







 こうした結果をふまえ、4月に瓦礫を受け入れ表明していた愛知県も二度にわたって環境省に質問書を提出するなど、受け入れに慎重な姿勢に変化していった。


 愛知県の震災瓦礫受け入れ反対運動を振り返れば、この頃が一番住民の意識が高まっていた時期だと思う。





 一方、これだけ問題が山積みなのに、政府・与野党・マスコミまでもが一体となって瓦礫の広域処理を強引に推進する理由は何か、その本質が見えてきたのはこの数ヶ月後になってからだ。





 政府・マスコミが一体となってキャンペーンしている「食べて応援しよう」も「みんなの力でがれき処理」も、本来は東電が負うべき放射能汚染被害の損害賠償額を少なくすることが目的だと考えれば、全てが経済合理性に基づく行動であることが理解できる。


◆政府が広域処理を進めたい本当の理由(H24/3/23)







 レベル7の原発事故が未だ収束していないのに原発を再稼働するのも、汚染された地域に子供たちを置き去りにしたまま事故以前の生活に戻ろうとするのも、全てはリスク回避による安全確保よりも経済合理性を重視しているからに他ならない。


 このため広域処理についても、安全面から見た問題点だけではなく予算面から見た問題点に注目して勉強会を開催するとともに、各自治体や地方議員に対して資料を送付し、また面談するなど、これらの問題点についても積極的に訴えてきた。


◆予算から見た瓦礫広域処理(H24/3/1)










4、総量見直しで広域処理の必要性が破綻





 
これに対して、二度にわたって国に質問状を提出するなど瓦礫の受け入れに慎重な姿勢を見せていた愛知県だが、平成24年3月に野田総理と細野環境大臣があ
らためて瓦礫の受け入れを協力要請した途端にその姿勢を一転し、知多市、碧南市、田原市の3カ所に震災瓦礫専用の処分場を整備する計画を一方的に表明し
た。


 さらに、そのための検討・調査費として6億円もの補正予算を議会に諮ることなく大村知事が専決処分するなど、強引な瓦礫受け入れ計画を推し進めてきた。


◆愛知県の瓦礫受入れ計画(H24/4/21)







 しかし平成24年5月に被災地で精査した結果、瓦礫の総量は政府が公表していた2200万トンから大幅に減って当初の6~7割程度まで下方修正され、わざわざ高い輸送費をかけて遠方で広域処理しなくても現地で十分処理できることがデータ上からも明らかになった。


◆広域処理は今すぐ中止可能(詳細データ)(H24/5/25)







 このため、豊橋市など東三河8市町村で構成する東三河広域協議会も、瓦礫の受け入れではなく被災地から要望の強い人的支援の拡充を図る、と公表していた。


◆東三河における災害廃棄物の受け入れについて(H24/5/13)







 
これに対して愛知県は、平成24年6月に県内全市町村の担当者を呼んで、県が独自に決めた安全基準を公表するとともに、瓦礫受け入れに向けた試験焼却を行
うためのアンケート調査を開始したが、その直後に広域処理が必要な可燃物の量が大幅に減ったため、専用焼却炉の建設を断念して不燃物の受け入れに切り替え
るなど、計画の甘さを露呈していた。


◆東日本大震災で発生した災害廃棄物の受入れに関する市町村長会議について(H24/7/21)







 しかし不燃物にしても、宮城県と岩手県を合わせた最終処分場の残余量は600万トン以上あるのに、どうして高い輸送費をかけてまでわざわざ広域処理する必要があるのか、いまだに環境省も宮城県、岩手県も合理的な説明をしていない。


◆宮城県の瓦礫処理計画(第二次案)について(H24/7/31)【資料2】







 このため、住民はこれまで築いてきたネットワークを活かして、瓦礫の受け入れが不要である資料や要請文を愛知県会議員103名全員に送るとともに、各自治体に対しては無意味な試験焼却を行わない、また税金の無駄遣いである広域処理を行わないよう要請行動を行なった。


◆広域処理必要性の破綻(H24/6/12)【資料3】







 
このように、愛知県では各地の住民が結束して上述した要請活動を継続してきた結果、瓦礫処理予算を議論した平成24年7月の愛知県議会においても、野党自
民党が提案した予算修正案が可決して県政史上初の「再議」に持ち込まれるなど、震災瓦礫の受け入れだけが被災地支援ではないことが各自治体や地方議員にも
浸透していた。


◆愛知県臨時議会の傍聴レポート(H24/7/14)







 愛知県が実施した瓦礫の試験焼却アンケート調査に対しては、こうした地道な住民運動が実って全ての自治体が「NO回答」を返す結果に繋がり、この時点で愛知県の瓦礫受け入れ計画は事実上消滅したと言っても良いだろう。





5、広域処理に伴う復興予算の流用問題





 これまでの経過を振り返ってみると、やはり安全面だけに拘らず瓦礫処理予算(=復興予算)などにも着目して、各自治体や多くの地方議員に問題点を訴えてきたことが効果的だったと思う。





 折しも復興予算の流用が国会やマスコミで大きな問題となっているが、瓦礫処理予算の財源も私たち国民全員の増税で賄われる復興予算である。


◆復興予算の流用問題(まとめ)(H24/10/24)【資料4】







 このため一銭たりとも被災地以外の地域には流用させず、また無駄遣いせずに効率的に予算を執行するよう国と自治体に強く求めていく、私たちにはその権利があるはずだ。


◆復興予算に関する会計検査院報告(まとめ)(H24/10/28)【資料4】










***********************************



















↑ご協力有難うございます☆-( ^-゚)v