間との旅は夏季休暇全てを使っていろんなところへ行った。

タイでの滞在は僅かで、すぐにベトナムへ移動した。

 

あの突然の告白から数日経っても、私たちの関係は何も変わらなかった。

 

相変わらず朝から宿の近くを散歩して、現地の人と仲良くなり

まるでそこで暮らしているかのような旅をする。

 

 

見たこともない可愛いフルーツを眺めてみたり。

食べたことのない味の食べ物を経験して。

美術館や公園、お祭り、相席などを通じて溶け込むようなそんな時間。

 

彼らとの旅はいつも私を満たしてくれた。

自由で、お互いを尊重し合い、そういうものなんだという受け入れる心と感謝の気持ち。

 

彼らを通して見ると、当たり前にある日常のものに改めて有り難く思える、そんな感覚だった。

 

ベトナムへ移動してから数日して、ケビンと二人きりになる時間があった。

 

 

和やかな時間だった。

外国の方の感覚はきっと日本人とはまた少し違うだろうし

このまま何も変わらず一緒にいることの方が意味があるんだろうな、と

そんな風に考えていたら、ケビンが一言…

 

「あんこが好きだよ」

 

畳みかけてきたじゃないか。

だからその好きはなんなのだ。

 

「それは友達としてだよね?私も勿論ケビンが好きだよ」

 

「ううん、僕はあんこを女性として好きだよ。自由でいてほしい」

 

「どういう意味?」

 

「僕と一緒にいたいと思ってくれたら嬉しい」

 

「それはもちろん一緒にいたいけど…」

 

「でも自由でいてね、あんこ」

 

 

そんな会話を繰り返し、よくわからないまま残りの旅の時間を緩やかに過ごした。

 

私は休暇の終わりが近づき、先に帰るメンバーと共にベトナムを後にした。

ケビンともう一人の友人はそのまま旅を続ける予定だった。

 

 

日本に帰国し、いつもの日常に戻っていった。

ケビンは異国から毎日メッセージをくれた。

 

今までの優しさとは違い、それはとても温かいものだった。

次第に私は男性としてケビンを意識するようになっていた。

 

帰国したら日本で二人で会おう。

そんな約束をしたのは、彼が日本に戻る数日前だった。

私は早く会いたくて、ワクワクしていた。

 

そして、「自由でいてほしい」 彼が言ったその言葉がどういう意味だったのかこの時の私は考えもしていなかった。