宝塚の生徒は中学卒業から高校卒業までのハイティーンで、親の庇護が必要な年代から入学する。世間的には何も知らない、世間的には賢く無い年代だ。
知識や知能ではない、世間的には賢く無い年代のこと。我々は高校卒業すると大学受験、または就職、やがて誰でも就職の荒波が待っている。そして学生から社会人となり「なんか理不尽」な顧客や上司、先輩にもまれ、それなりに身のかわし方を覚え世間ズレし、大人になっていく。ある意味、中学生の頃の無垢(でバカな)純粋さを失っていくわけだ。
しかしこれが大人になるということ。いろんな社会を経験していくことで他人を受け入れるという寛容性も育っていく。ある意味、諦めを身につけるわけだ。
ところが宝塚は同じ目的、同性、他の社会と交わらないという純粋培養のシャーレの中で育っていく。15歳で宝塚に入り33歳で退団したとしても18年間も世間とは隔離された社会で育つわけだ。
そりゃ、世の中の常識というものから乖離した人物になろうってもんよ。それでも宝塚退団後、就職したり、結婚したりして、世間と付き合ううちに多少なりとも世間の人達とのズレが狭くなっていく、はず…
今回の宙組問題でそうでない方もやはりいた。結婚し、子供もいて、起業して、それでも考え方は現役時代と大差ないのであれば正に劇団が「教育してこなかった」ことが悪いとしか言いようがない。もちろん、大人になる、世間の常識を身につけることは学校の授業のようなもので身につくものでもなく、日常生活における事で自然と身についていくもの。
親の躾が一番影響が大きく、他は本人が関わった人々との影響。そのさまざまな関わりを持って自然と身につくものであり「こうしなさい。これが常識」と解答のあるものではない。それだけに他者との関わりから勉強し、本人の柔軟な受け入れで培われていくものと思う。
こんな事態になってしまったことに宝塚の生徒さん、元生徒さんには何が足りなかったのか、その不足に対し補う体制はできているのか、己を常に省みる謙虚な気持ちはあるのか、それを自覚しないと悲劇は繰り返されてしまうと思う。