リモートワーク。在宅勤務。ステイホーム。


そんな今日この頃。

働き方だけではなく、生活の在り方や意識が変化するであろう時代の瞬間に遭遇している。

江戸から明治へと大きく変化した時代の中を生き抜いた女性を思い出し、彼女を題材にした小説を読むことにした。


宮尾登美子『天障院 篤姫』だ。

このような時代小説は大衆文学として、純文学とは隔てられている節があるにはある。

時代考証の諸説ある中から、作者の考証を読み進めさせられる苦痛が伴うのは確かだ。

だが、女性の視点で描かれているためか、柔らかく読み進むことができた。

大奥は隔離され、情報もコントロールされているので、篤姫は少ない情報の中から時事をよんでいた。

継嗣問題や武家と公家との問題(嫁姑問題なんて簡単なものではない)などはリアルであったりもする。

大奥3000人をまとめ上げ、表方(男性)にも一目置かれた篤姫。

大奥事務方の滝山は10万石の大名にも匹敵するほどのキャリアウーマン。

いやいや、江戸は明治よりも女性が活躍できる場が与えられていた模様。

御台所としての視点から、この時代の数々の出来事や人、組織などがサラリと流れていく。

薩摩藩、長州藩、生麦事件、蛤御門、奇兵隊、新撰組、安政の大獄と桜田門外の変、大政奉還、戊辰戦争。

勝海舟、西郷吉之助、井伊直弼、紀伊、尾張、水戸。

外交問題、攘夷派、開国派、王政復古に尊王派。

などなど。

さて、現代に当てはまるものはあるだろうか?
そこから学べることはあるだろうか?


宮尾登美子は作品中の篤姫に言わしている。

『どちらかが先に折れねば、恥を天下にさらすことになる。当家の方から折れましょう。万事目をつぶることじゃ、時節を待とう。』

『あいだにあまりに多くの人が挟まり過ぎ、お互いの気持ちがまっすぐに通らぬうらみがある。』

本当に篤姫が言ったのかは知らない。