何とも言えない感情だけが胸に重く残っている。
ボクはいつも通り、なるべく何も感じないように部屋を出てリビングに降りた。
いつもと変わらない食卓があって、母親にご飯食べると聞かれ、頷くと暖かい味噌汁がテーブルに置かれた。
魚あるわよと言われ、先週末行った観光地で買ってきた干物を出された。
そこからは柔らかさを感じず、堅い身の中に少しの柔らかさを求めた。
テレビのワイドショーでは、どうでもいいニュースが流れ、それを何人もの解説者がしたり顔で、説明し互いの意見に笑顔で頷いていた。
部屋に戻る気もせず、食卓で麦茶片手にそんな無気力なテレビを見ていた。
しばらくすると、玄関で音がする。
兄貴が機嫌よく帰ってきた。
母親に無駄口を叩きながら、いつもの言い訳を繰り返す。
何事も経験をして喜びや痛みを知る事が大事だという、ありがたい両親の訓等を受けて育った兄は、要領よく母親を笑顔に変えていた。
オレも腹減ったと言ってボクの隣に座り、この命を救って下さいと言わんばかりの勢いで母親に朝食を懇願する。
ちょっと待ってよと言いながら、母親も台所に向かう。