七月大歌舞伎 夜の部 熊谷陣屋 | AnJyu-NIKKI

AnJyu-NIKKI

歌舞伎大好き! 
着物大好き♪ 
そのほかお気に入りな「モノ」「コト」を記録しています

イメージ 1

大阪松竹座で5日から行われています
七月大歌舞伎の夜の部へ行ってきました。

一幕目は「熊谷陣屋」です。

熊谷直実:片岡仁左衛門
弥陀六:片岡我當
藤の方:片岡孝太郎
堤軍事:片岡愛之助
相模:片岡秀太郎
源義経:坂田藤十郎

皆さん、上方の役者さんです。
見慣れているからか、非常に安心感があります。

このお話は、「寺子屋」同様
自分の子どもを身代わりに自らの手で殺し
弔いのために出家するという
武士であるが故の非常に悲しい結末です。

仁左衛門さんは、花道から登場ですが、
この時点ですでに子は殺してしまっています。
辛い「出」です。
直実という人は、気性の激しい人のようですが、
心の葛藤、悲しみが伝わり、劇場が重々しく変わっていきます。

そんな中、いるはずのない(来てはいけない)「陣屋」に
奥さんの相模が子どもの初陣を心配して来ているので
申し訳けないという感情、平静を装わなくてはいけないという思いが加わります。
さらに、敵討ちに来た藤の方まで登場し、
本当のことを隠したまま、物語は進みます。

首実検が始まり
敦盛の首だと思っていた首が
我が子であることに気付いた相模。
まだ、気付かない藤の方。

「最後の別れを」と
義経から直実、相模、藤の方へと
首が渡されていくのですが、
仁左衛門さん、秀太郎さんお二人が息子の首を
なんとも愛しく大切に抱える姿が
この親子、夫婦の関係がとてもよかったのであろうと胸を打ちます。

直実は出家の装いに変わり、花道で
「16年もひと昔。夢であった」と。
息子は若干16歳。
身代わりをさせるために16年の歳月があったのか。
有為転変。
全身を震わせ、嘆き崩れたまま起き上がれない仁左衛門さん。
ようやく立ち上がり、それでも頭を上げることができずに
歩き始めた、仁左衛門さんに幕が閉じても拍手は鳴り止みませんでした。