ある闇夜のことだった。


いつものように、女の体を貪っていた。


こいつとの体の相性はいいらしい。


波打つ豊かな髪の間からのぞく白い首筋に唇をあてがう。


んっという、かすかな息が漏れる。





別に不倫をするスリルが欲しいわけではなかった。


愛していると言う感情とも違う








・・・たぶん、征服欲?


どちらかというと、滅茶苦茶に壊したい怒りにも似た衝動に駆られる女だった。








そのせいかついつい乱暴に扱ってしまう。


いつか殺してしまうのだろうか?





浅黒い肌の女性の幻影が一瞬、脳裏を掠める。








恐ろしい幻想を振り払うように、腕の力を込めた。


「ちょっと、痛いってば!」


女はきっと睨みつける。




その時だった。



にわかに、殺気を感じて後ろを振り返ると男が立っていた。



「おい、お前。誰といるんだ?」



天蓋からカーテンのように折り重なる薄い布と闇夜のお陰で相手の姿、位置がはっきりとはわからなかった。


煌めく太刀筋が見えた瞬間、枕元にあった刀を手に取っていた。





つづく