過去世の記憶を書くのは久しぶりだ。

実は、このイタリア前世を書くのにあたって、癒しきれていない面もあり、半年近くも躊躇していた。


書く要素が多く、今世まで感情を持ち越しているのが多いのもこの人生である。


主人公はハチャメチャな性格と小説や映画にしてもいいくらいの数奇な人生を歩んでいる。



この人生は、後悔で終わったのか?…………答えはNOである。今なら、どんな要素も今の私を形作り、愛すべき私の一人だったと拍手を送りたい。



番外編から、始めるのは、最近、アメブロで出会った方と共有する場面であり、私の気まぐれだと思ってもらってよい。


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この小汚ない修道院に来て、何日が過ぎたろうか?


マフィアに追われて、必死に逃げてきたが、ここまで来たら追手は大丈夫だと思う。

しかし油断ならねぇ。なんせ、次期ボスになるはずだった男を殺めた上、金を踏んだくっているからなぁ。


まさか、こんな男が修道院に匿われているなんて連中も思いもよらないだろうけど。



しかしここの修道院は、地味過ぎる…国境を越えたか、はっきりはわからないが、色彩が無いことといったら、故郷の教会とくらべものにならない。


ゴシックかバロックかわからないが、白と焦げ茶色のモノトーンばっかで薄暗いし、はりつけのおっさん(イエスキリストのこと)はカリカリで気色悪い。なぜか、ここの修道院はマリア様だけ色が綺麗で、ご利益がありそうな気がする。

女ばかりだし、マリアが主役ってか?



女達をまとめるシスターが、若けりゃ、いい女に違いない。気が強そうで、下手な冗談は通じないし、真面目でピンと張りつめた緊張感を作っている。

しかし、何であの女が俺を助けてくれたのか不思議だ。


半分ウソの告白を、涙を流して聞いてくれたから、情にあつい人なのかもしれない…こっちまでホロリときちまった。



はっきり言って、ここは居心地がいい。飯はあまり旨くないが、女には困らない。



今、こうして金髪の可愛らしい修道女ふたりと戯れているけど、あのうるさそうなシスターは知っているのかな?


修道女が旅人や僧の子を産むという話はよく聞くけど、あんまり長居するとまずそうだ。


まだ乳臭い16歳の娘が、駆け落ちしたいなんて言ってる…自分が45歳、冗談じゃない。




自分は、修道院を堕落させている?そんなことはどうでもいいが、やはりここを去る潮時かもしれない。




そんな矢先に、事件は起こった。