私は、アトランティスで、少女に恋をしていた。
いや、正確にいうと、少女だったのか成熟した女性だったのかは定かではない。
私の中の彼女の呼び名は「姫」だった。

見事な金髪が柔らかなウェーブを描いて背中で波打ち、豊満な胸元と二の腕のふくよかさが眩しかった。


ただ、恋人という関係というよりは、片想いに近かったのだと思う。

プラトニックラブ?
いやいや、内心はもっと恋い焦がれる気持ちは強く、たぎるような情熱は胸に秘めているのだったが、けっして男女の関係はないのだった。

私のような者が、彼女に恋い焦がれるのは不自然なのだ。
彼女は、私にとっては女神であり、彼女がそのような感情をもつハズがなかった。
このように、自分の腕の中におさまっている事自体が奇蹟に近いのだ!


彼女はあどけない表情で、不思議そうに私を見つめる。


私は思わず息を飲んだ…



小さな顔に、大きな瞳。
思わず吸い込まれるような感覚に眩暈を感じる。

大抵、瞳を見れば人の感情は何となくはわかるのだが、彼女の場合は「暗黒の闇」であった。けっして、瞳が黒かったわけではなく、彼女の瞳は表現するためにあるのではなく、周りの人々の心を吸い込むためにあるのだ。

「姫、参りましょう。」

こう、言葉にしたのかどうかも定かではない。
直感では、彼女に対しては一言も口をきいてはいない気がする。言葉を話してはならない存在だったのだ!