中国や台湾では9月30日から公開になった《急先鋒》、香港では、10月15日から公開になり、さっそく10月15日、MCL Festival Grand Cinema のAM10:30の回で見てきました。まだ、日本で公開されてないので、一応、ネタバレは無いように書きます。
 
映画チケット
 
映画館内のポスター
 
10月15日、MCL Festival Grand Cinema のAM10:30の回上映はHouse 4、中規模館。最近香港も、ミニシアター化してるので、この規模でも、《急先鋒》上映してる中では大きい方でした。
 
香港も映画館は密にならないように、席は制限しています。旦那はわざわざ休みをとって、私達が平日午前の回に見たのは、新型コロナに感染するリスクはなるべく避けたく、午前はほとんど人がいないだろうことを期待したのですが、20人ぐらいは入ってました。4列目と前の方の席を選んだので、私達の列は、他に人はいない状態で見れましたが。
 
映画の感想は、簡単にまとめると、「これは、スタンリー・トン監督、楊洋主演の映画であって、ジャッキーの主演作とは言えない」ですね。
 
新型コロナの問題がなければ、本来、2020年の旧正月映画として公開されていたはずの映画。私自身は、日本で1985年「大福星」の公開の際、宣伝映像をほぼすべてチェックしてために、「大福星」を劇場で見た時に、初めて見る面白いシーンがほとんどなく、新鮮味がなくあまり楽しめないという経験をしてから、あまり映画の宣伝映像は、見すぎないようにしており、この、《急先鋒》も、あえて全部はチェックしないようにしていたのですが、この旧正月前の宣伝映像やポスターなど、軽くざっと見た感じでも、主役級の人がジャッキー以外にも数人いるし、ジャッキーの出番はその分少ないだろうことは、想像はしていました。
 
さらに、9月30日に中国・台湾で公開されてから、成龍吧(中国のジャッキー・チェンファン掲示板)で見た人の感想を見ると、賛否両論というか、むしろ「否」というか失望感で荒れてる感じだった。なので、私は、この作品は、ジャッキー・チェン映画として大きな期待をしてみるような作品ではないという気持ちで、見に行きました。
 
ジャッキーの出演は少ないと覚悟してたけど、それでも、「本当に少ない」と思いました。たいしたストーリはないけど、基本のストーリーラインは楊洋中心だし。ジャッキーは主演の一人というよりは、助演男優かな。役の重要度から言えば、楊洋、艾倫、母其彌雅、徐若晗、その次ぐらいにやっとジャッキーという感じ。出演シーンも、アクションはほとんどない(ゼロではないけど)。基本的にいつものジャッキーのかっこいい部分は楊洋が、面白い部分は艾倫が担当なので、ぶっちゃけ、ジャッキーがいなくても、この映画は成立するという感じはあります。役回り的には、80年代・90年代のジャッキー映画における、トン・ピョウさんの位置に来た感じですかね。
 
中国のファンの失望も、わかる気はします。《ポリス・ストーリー/REBORN》の中国での評価はかなり低いようで、その後、《ナミヤ雑貨店の奇蹟》、《レゴニンジャゴー ザ・ムービー 》、《ナイト・オブ・シャドー 魔法拳》、《龍牌之謎》と続けて何本もジャッキー主演でない特別出演的な映画が続いて、今度こそは、ジャッキー主演作と期待した《急先鋒》だったために、本当にガッカリ感が大きかったのでしょう。それに、ジャッキーの年齢を考えると、アクション大作では、第一主演を貼るのは厳しいという現実を、この映画では直接的に突きつけられたようにも感じてるのかもしれません。
 
でも、映画自体は、そこまで悪くはないと思います。スタンリー・トン監督作品という感じで、大がかりなカーアクション、ガンアクションが中心。ジャッキーが死にそうになった水上アクションシーンも、見ごたえはあると思います。これらで使われてるCGの拙さを批判する声もあるけど、私はまあそんなにひどいとは思わなかったです。ただ、大したストーリーがなく、最後も、「え、終わり?」って感じで、なんの余韻も無かった。アクションも、ジャッキー以外は、アクション俳優というわけではないので、見ごたえあるバトルがなく、ジャッキーのアクション映画を見たという感じがせず、物足りなさはあった。でも、見てる最中は、退屈することもなく、眠くなることもなく、エンディングを迎えたので、頭を空っぽにして、難しいことを考えずに楽しむアクション娯楽作としては、一定の水準以上の作品だと思う。あのスタンリー・トンらしいダイナミックさは、大きな画面で見た方が楽しいと思うし、映画館に見に行く価値はあると思う。
 
日本でも2021年に公開されるのが決まっているそうですが、日本での宣伝は、ちょっと心配です。中国と同じく、日本も、ジャッキーゲスト出演ですら、ジャッキー・チェン主演作かと勘違いするような、ジャッキー・チェンの知名度頼りの宣伝方法をとることが多いですからね。でも、この作品は、ジャッキー主演のアクション映画と期待して見ると、期待外れになると思う。スタンリー・トン監督、楊洋主演の一作品として見た方が、楽しめると思う。楊洋の知名度では、人を呼ぶのは厳しいかもしれないけど、でも、日本でも好まれそうなイケメンだし、売り方をうまくすれば、彼は日本でも人気出るんじゃないかなあ。それと、カンフーヨガでも出演してた母其彌雅(ムチミヤ)、もともとヨガのインストラクターで、身体能力高そうだし、美人で動ける女優となれば、これからミシェール・ヨーのようになれそう。私は映画見てる間、JACの悦っちゃん(志穂美悦子)を思い出してました。
 
日本公開は何語版になるのかわからないけど、香港は広東語版の上映でした。広東語版はジャッキーは本人のアフレコだけど、他の俳優は広東語の声優さんだし、もともと中国語(普通話)での撮影なので、口の動きがあってなく、吹替感がすごくありました。香港映画に関しては、断然広東語版推しの私だけど、この映画は、元の言語の中国語版の方がしっくりくるのではないかと思う。
 
ジャッキーの年齢を考えると、今後、ジャッキーが第一主演で、アクションを全面に押し出した映画に出るのは、実際厳しいだろうね。そろそろ、監督やプロデューサー業などに専念してもいい年齢でもあるし。でも、ファンとしては、スクリーンの表でも見たい。年を取ったからこそできる役というのもあると思う。ここ10年-15年内で、私は、「ザ・フォーリナー/復讐者」がダントツに好き。あの役は、若いころには出来なかったと思う。たとえば、ベスト・キッドのお師匠役みたいなのも、今の方が、もっとしっくりきそう。「今のジャッキーだからこそ」と言える企画と脚本に巡り合ってほしいなあ。
 
*日本上映のタイトルは 『プロジェクトV』になりました。