23 風の色・・・・カオリの独白
心にはいつも風が吹いている。
その風には色がついていて、いつも違っている。
翠色をした風が吹くときは、心は平和で優しくいられた。
蒼い風が吹くときは、勇ましい戦いを挑んでいるような活力があった。
恋をしているときの色は、艶かしく変化する。
うまくいく恋のときは、柔らかなガーネットピンクの暖かい風が吹く。
高見との恋は、そうね、ちょっと危険。
ちょっと気分次第だから、ピンクアバウトイットな色の熱い風。
だから愛し合った後の冷たいフローズンダイキリがお似合いだわ。
塩の辛さで甘い幻影を消さなくてはね。
わたしはほんとは甘い恋なんてしたくないの。
ネグローニのような苦い恋が得意かもしれない。
幸せを期待させるのはやめてほしいから、ジュニパーグリーンの風が吹くのをじっと待っている。
森の中で瞳を閉じて冷たい滝の飛沫を浴びているイメージを抱きしめる。