小麦粉の海

小麦粉の海

陰々滅々としたときにどうぞ。

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 「ああ、つまらない。」机を掃除する家政婦に愚痴を漏らした。私は、2年前に当てた競馬のおかげで、金には困らない生活を送っている。以前は、金さえあれば、惨めな思いはしなくて済むと思い込んでいた。今では、何でも買えて、何でもできるが、生きる意味を失った気分だ。

 コップを洗う水道の音が、馬鹿みたいに広いリビングに響く。毎日が日曜日のようだ。一日の過ぎるのが早い。何かを身に着けたいと思うが、心から追い立てられる気持ちがないからか、何も続かない。

 この財を捨てるべきか。きっと後悔するに違いない。惨めな富豪と、惨めなホームレスなら、富豪を選ぶに決まっている。

 馬鹿みたいだ。紙きれを持っただけで、人生が停滞した。昔の私はどんな人間だったのか、忘れてしまった。