見てきましたよ。
ネタバレなしに備忘録的に書いていきますが、後半にかけてネタバレしていきます。途中で注意書きをするので、まだ見てない方はそこまで読んだら退場をお勧めします!
では、観賞後の興奮も冷めやらぬうちに徒然と書いていきます。
一言で言うと、、良かった!
特に前作未来のミライと比べるならば、そのハードルが滅茶苦茶低いだけに素晴らしい!
テーマがわかりやすかったですね。
現代のネット社会、特にSNSなどが登場してからのごく最近のネット社会が抱える問題にアプローチしています。
まあSNSにはどんな問題がありますか?と社会科の授業や道徳で問われれば、小中学生だって答えることはできるじゃないですか。
匿名性が無い、だとか
いじめが起きる、だとか
そう言ったことも勿論扱っています。
加えて
いわゆる正義マンと呼ばれる過激な人たちや
素顔をさらせなくなってしまう程に顔の加工アプリが普及し過ぎたこと
だとか
とにかくここ10年くらいでネット社会に生まれた新しい闇はほとんど全部扱ってやったという感じです。
それを表現するメタファーもわかりやすくて、かといって主人公の台詞で直接主題を言わせるような無粋な真似はせず、お話の構成がとてもシンプルで良かったと思います。
細田守は一人で脚本書くようになってから、脚本力の無さを叩かれ続けていました。バケモノの子と未来のミライですね。
しかし本作ではかなりその点で進化したと思います。正直ゴーストライターを疑うくらいに。
そんな感じでストーリーの良さが最も感動した点なのですが、
夏休み国民的アニメ映画御三家を新海誠やジブリと張っている細田守ですから、製作には滅茶苦茶お金が掛かっています。
その点が発揮される映像美については
こちらもちゃんと進化しました。CGの美しさですね。前作未来のミライでもCGは多用されましたが、ホームドラマ的なお話の中であまり効果を発揮せず。
本作ではインターネット上の仮想空間、煌びやかな歌姫というようにCGを使いやすい設定が揃っていますので、しっかりと魅せました。
デジモンアドベンチャーから始まってサマーウォーズ、そして竜とそばかすの姫に至るまで2回もネットの仮想空間を焼き直ししてる細田ですが、本作では前ニ作と違って仮想空間が真っ白に描かれてないのが良かったです。
真っ白だと何か目が疲れるんですよね。しかも本作ではネット社会の悪い部分を洗い出していくので、真っ白ではイメージとしておかしいわけです。暗い基調で描かれた本作のネット空間はCG映えも良く、シックで何より目に優しい!
あと本作は歌が大きな役割を担うことはCMや番宣からお察しと思いますが、君の名は。や天気の子。で新海誠が生み出した音楽を重視するアニメ映画の潮流に乗るつもりもあったのでしょうか。
あとは、配役ですかね。
正直エンドロール見ても佐藤健しか知らなかったので、何も語れません。主演の子は歌手なんだと思うけど、セリフの演技も良かった。歌と台詞同じ人がやってるのか確認してないけど。
ホント未来のミライの男の子は黒歴史だよな。と思う。
キャラはそばかすの姫ことベル。この女性は細田がアメリカのディズニー社に仕事で行ったときに親しくなったディズニーのデザイナーに頼んで描いてもらったものである。
思い切りアメリカ人の感性で描かれてしまったので悪く言えばかなりケバいテイストの顔であり、特報の初見時はかなりガッカリしたのだが、本編で見る中で180度見方が変わりました。理由は色々あるのですが、ケバいくらいで大丈夫でした。むしろ日本人離れしている必要がありました。
あと、ヒロインの幼馴染の男の子がいるのですが、こやつが時をかける少女で、未来で待ってる。とか言ってたあいつと一緒でスカしたイケメンです。女って言うのは本当にこんなスカした男が好きなんですか、陰キャには全然わかりませんよ、マジで。こいつは嫌いw
ということで、この辺から愚痴っぽくなってきますが、上記のように良いところばかり挙げることが可能です。逆にダメ出しを書こうとすると些細なことばかりでネタバレが出てきます。
ここからは中程度にネタバレしつつ、色々書きます。
そう言えば途中で出てきたお笑い芸人みたいな、動画にツッコミをするキャラがいたと思うんですが、左側に犬みたいなキャラがいて、あいつ押井守の自画像にそっくりだと思うんですが、何なんだろう。
あとスマホゲーの陣取りゲーム
普段スマホゲームなどやらんので分からないのですが、いきなりガチャガチャオセロみたいなのが始まって、、最後に、平定!!
みたいな。ポカーンですよ。まあ笑うところなんだろうなということは私にもわかりますが。平定!!平定!!なんか気に入っちゃまいましたw
すずが現実世界で歌を歌おうとするとトラウマでゲロ吐く描写は良かったですね。
その寸前まで家で引きこもって変な殴り書きしてても全然やつれてないすずちゃんが描かれてたので、戦争ものの映画でバッチリ化粧してる女優かよ!と思ってましたが、ああいうところは汚く見せないとリアリティが出ません。
終盤アンヴェイルされたすずがやつれた顔で観衆の前で歌うシーンも同様に良かったです。マジで火垂るの墓の節子の餓死直前を思い出しました。
ただその後、観衆の前でやつれたすずのままでクジラに乗って歌って欲しかった。あそこでベルに戻ってしまうと、結局仮面を付けないと歌えないのかよ!という感じで成長したように見えない気がします。
そもそもアンヴェイルされる時、自分から私を撃て!って言って正義マンのエメラルドグリーン砲を浴びてベルからすずに変わりましたが、正義マンの意志に関わらず、アンヴェイルされたい奴は撃ってくれと言えば撃たれるんですかね?
あそこはもっとベタな展開で
竜が来ないので正義マンが苛だつ
↓
正義マンがベルに早く竜を呼べという
↓
竜を呼ばないとお前をアンヴェイルすると脅す
↓
虐待されてる少年を探すには、どうせアンヴェイルされないと無理
↓
ならば破れかぶれでアンヴェイルされてやる
↓
あんたのアンヴェイル砲なんて覚悟を決めた人間には無意味なのよ!とかかっこいい台詞をすずが言う
↓
正義マン、自分の存在の醜さに気づいて大爆発
くらいの方が何も違和感がなくていいですよね。
あと、すげー根本的なことなんですが、すずちゃんがベルだってことは何故ご近所のみんなにバレてたんですかね。わからなかったからもう一回観にいかなきゃ。
エンディングの入り方なんですけど、すずちゃんが、さあ皆んなで歌いましょうってな感じで息を吸ってエンディングテーマなんすけど、歌うのがラブソングの方で、そっちかーい!!って言いたかった。多分観てた人の半分くらいは言いたかった。そっちの曲みんなで歌うには重くね!?
2回くらいすずちゃんが幼馴染のイケメンの話をされそうになると、やめて死ぬから!って言うの好き。ああ言うリアリティのあるくだらない言い回しは笑う。
最後に、映画の謎解きの核心部分に触れる重要なネタバレをここから下で行います。
この映画の海外受けはどうでしょうか。
扱ってるテーマは日本に限らず世界中でジャガイモン代になっている事柄ですから、通用すると思うんですよね。冒頭のシーンの入り方はカッコ良かったし、テーマはわかりやすく、竜の正体が虐待されている子どもというのも。まあ問題詰め込みすぎてますけど隙が無いなという感じ。
しかしここからの脚本は一気に崩れたなと思った。
すずが子どもを助けるために東京に行きますが、子どもを殴る男がいるところに単身で向かう女の子を誰一人止めないとか。イケメンくん、そこはついて行かないとwおばちゃん四人組も、非常識すぎるだろ。若い女の子に陰湿な嫌がらせをするBBAかよ。
虐待男も最後にすずを殴れなかったけど、いやそんなにすずちゃんに威圧感あったか?
そもそも被虐待少年がすずに自分の住所を教える途中で回線が切られて、そこから東京の住所を探し出す超展開になったわけだが、普通に住所伝えるのに成功する展開でも良かったじゃんね。まあそれだと警察に保護されて終わっちゃうけど、最後に10分くらいでササっと東京までの小冒険描くくらいならバシッと警察にお任せして残り20分くらいで、子どもを救って成長したすずが幼馴染イケメン君が実は心に抱えていた闇を解きほぐしてエンドとかでいいじゃん。
途中で、誰もが知られたくない部分を抱えてるってすずちゃん言ってたし。
幼馴染イケメンにもそういう闇設定付け加えといても良かったでしょ。
高知の冴えない女の子を世界の頂点に立たせるために、
仮想空間に接続されると潜在能力が引き出される。
たまたま美人の女の子が隣に写ってる写真を使ったら認証バグで美女キャラになる。
という2つのアイデアを出したのは凄いなと思いました。
以上、備忘録でした。またアカデミー賞ノミネートされるといいねえ。