最近思う犬のしつけで重要なこと ~我慢することを教える~
「犬のしつけで重要だなと思うこと」 第3弾の今日は
「我慢すること(人の要求を受け入れさせること)を教える」
について書いてみたいと思います。
犬のしつけをする上で、「人にとって都合の良い行動を教える(強化する)」
ことや、「 人にとって不適切な行動を止めさせる」 については
話題にあがることが多いですが、我慢すること(人の要求を受け入れさせる)
を教えるということは、あまり話題にあがらないし、しつけの本にもあまり
書かれていないような気がします。
しかし、問題行動の治療を行っていると、我慢できないというか
人の要求を素直に受け入れられない犬がとても多く見受けられます。
例えば
・足を拭こうとすると嫌がって噛み付いてくる
・首輪を持つ(つけようとする)と噛み付いてくる
・自らハウスには入るけど、人に入れられると吠え続ける
・体を洗う、爪を切る、歯を磨くなどといった健康管理をさせない
・体を抱きかかえると抵抗して時には噛み付こうとする
などといった問題行動です。
もちろん、これらのことに関して過去に嫌な経験や怖い経験をした
ことがある場合は、我慢というより不安が大きく影響していますが
特にそういった経験がない場合は、自分の自由が奪われることに
対する抵抗が、大きな理由にあげられる場合が多いです。
また、経験的なことですが、これらの問題行動を抱える犬の
ほとんどは、子犬のときからホールディングの練習をしたことが
ない犬ばかりです。
これは、ヤワラとタイガがホールディングをされている
様子ですが、このように、おなかを見せた状態で
抱きかかえてもおとなしくしていられるように
子犬のときから練習をします。
また、抱きかかえるだけでなくこの状態で
・手や足を触ったり握ったりする
・指の間を強く押したり、触ったりする
・目の周りを触ったり、拭いたりする
・口の周りや口の中を触る
・耳の中を触る
といったように、体中いたるところを触っても
おとなしくいられるように練習をします。
子犬のうちは、これらのことをされても抵抗する子は
少ないのですが、活発な性格な子は、ホールディング
をすると暴れたり、歯を当ててくる子もいます。
しかし、暴れたからといってホールディングをやめてしまうと
「暴れれば自由になれる」ということを学習してしまい
さらに抵抗するようになります。
ホールディングは、体を触ったり健康管理をすることに
慣れさせるという意味もありますが、拘束されて自由に
なれない状態を受け入れさせるという意味もあります。
基本的に犬は、常に興奮している生き物なので
気持ちを落ち着かせるのが苦手です。
しかし、小さいときから人が意図的にホールディングをして
拘束されることに慣れさせれば、気持ちを落ち着かせることも
同時に覚えてくれます。
またホールディングだけでなく、人の意思である程度
ハウスに入っていられるように練習することも
非常に重要なことです。
室内飼いの場合、ハウスを設けない飼い主が多く見受けられます。
また、ハウスを用意していたとしても、扉のついていないハウスを
使用している場合があります。
そしてハウスを設けない方は
「犬を狭いところに閉じ込めておくのはかわいそう」
と考える人が多いのです。
しかし、ある程度の間一人でハウスに入ることができないと
分離不安や過剰な吠えといった問題行動になってしまうこともあります。
他にも、
・お散歩中リードを引っ張りたいから引っ張らせ続ける
・他の犬と遊びたそうだから好き勝手に遊ばせる
・食べ物をほしがっているからおやつをあげる
など、犬がしたいことをしたいようにさせてしまっていることは
ありませんか?
しかし人と生活する以上、良い悪いは関係なく犬が受け入れなければ
ならないことがどうしても出てくると思います。
そのため、人と生活する上で受け入れなければならないことを
子犬のときから教えていくことが、問題行動の予防につながるのです。
問題行動を抱える飼い主の多くは、犬に対して自由にさせたがり
犬の意思を尊重しすぎているような気がします。
しかし、当然のことながら自由気ままに育てられた犬は、たいていの場合
わがままで飼い主に抵抗し、時には噛み付くといった問題行動に
発展してしまうのです。
可愛い犬だから無理強いをさせたくない気持ちは一飼い主として
わからなくもありません。しかし、健康管理はできない、一人でお留守番も
できないでは、人と一緒に生活することにさまざまな支障を来たし
結局は、犬に対する愛情も失せてしまうのではないでしょうか?
一昨日から、犬のしつけで思うことについて書いてきましたが
一番強く思うことは、家族の一員として犬を飼っているのなら
犬の教育だって真剣に考えてほしいということです。
家族や子供同然であるのならば、ただいればよいではすむ
はずはありません。家族の中だってルールはありますし
人と生活する以上、人との生活のルールを教育しなければ
共生することなんて絶対できないのです。
それなのに、「しつけやトレーニングをすることは人のエゴ」だとか
「別に賢い犬に育たなくても良い」など、自分に都合の良い
ことばかり言って犬を飼う人が多すぎるのではないでしょうか?
教育することができたから、犬は動物の中で一番最初に
人と一緒に生活するようになり、1万5千年も前から現在まで
人のパートナーとして存在し続けてきたのです。
人が考えるほど、犬は低俗な生き物ではなく
人が努力さえすれば、どんなことでも教育することができる
可能性を秘めているのです。
犬を教育することが当たり前の文化が、日本にも
定着してほしいと思います。
お帰りの際は、1回ぽちっと応援クリックお願いします

にほんブログ村 犬 訓練士・ドッグトレーナー