※枕営業に関する性的表現が規約に抵触したようで強制非公開になってしまった為、内容を一部削除して再掲載しました。
前回の記事で、俺が勤めるパブに来店した事業家の男性客。
そのお客様に「君は素質がある。こんな所で満足しないで東京に出てみないか?」と話しかけられた俺。
テーブル席で他のお客様を接客している間も、その言葉が頭から離れませんでした。
ひと段落してカウンターに戻ると、さっそく詳しい話を聞くことに。
要約すると、そのお客様の友人が歌舞伎町でホストクラブを経営しているので、ぜひそのお店で働いて欲しいという内容でした。
歌舞伎町・・・
アジア最大の歓楽街。
欲望と暴力が渦巻く街。
ホストクラブ・・・
水のように空けられる高級酒。
札束が飛び交う狂乱の世界。
ホスト・・・
ブランドの腕時計に高級スーツ。
高級車を乗り回す勝ち組の男達。
条例でホストクラブの営業が認められていない秋田には、ホストクラブが一軒もありませんでした。
俺にとって、TVでしか見たことのない世界。

結局そのお話は『今はこの店を辞める気はない』という理由で丁重にお断りしたのですが・・・
俺の中で未知の領域に対する畏怖と羨望、そして抑えきれない好奇心が沸き上がりました。
それからは好奇心の赴くまま、歌舞伎町のホストクラブについて情報収集を始めました。
仕事中も、ホスクラに行ったことがあるという年輩の女性客から色々な話を聞きました。
「君を見てずっと思ってたんだけど、接客がまるでホストなんだよね。他のスタッフはサークルノリって言うかなぁなぁだけど、君は違う」
それを聞いて益々ホストへの関心が高まります。
そして女性客はこうも言いました。
「でも歌舞伎町のホストはすごいよ。レベルが高い!」
この時のこの言葉が、負けん気の強い俺がホストという職業に身を投じる決め手になったかもしれません。
どうせやるなら一番の激戦区、一番の人気店で始めよう!!
でも今の俺は、歌舞伎町やホストに関してあまりにも知識が足りない・・・。
元来の凝り性から、TVで放送されるホスト番組を欠かさず録画して人気店をリサーチ。
本屋で買い求めたホスト関係の書籍もあっという間に20冊を超えました。
ホストのファッションやヘアスタイルを知って嬉しかったのは、それが〝お兄系〟だったこと。
ちょうどその頃の俺の好みがお兄系だったのです。
そしてある出来事を境に上京への決意を固めると、パブを退店して引越しの準備にかかります。
それからひと月後、俺は生まれて初めての地、歌舞伎町に立っていました。

歌舞伎町に200店舗あると言われるホストクラブ。
その中でもトップクラスの知名度を誇る5店を選び、さっそく電話。
ホスクラは基本的に入店希望者を断ることはありませんが、人気店ともなると簡単な面接があります。
開店前の店内で面接をするので履歴書を持ってくるよう言われました。
履歴書の特技欄には『超マジック』と書きました。
マジックではなく〝超〟マジック
まずは面接担当者へ心理戦を仕掛けます。
面接を省いてすぐに体入(体験入店)となった1店舗を除き、全ての店舗で予想通りの展開になりました。
面接担当「この特技欄の超マジックっていうのは?(笑) 今ここで何か出来る?」
・・・来た来た(ニヤリ)
ちゃんとネタは仕込んであります♪
「(意外という顔で)今ですか!?準備していないので大したことは出来ませんが・・・」
そう言いながらタバコを1本出し、手渡してよく確認してもらいます。
「今からそのタバコに命を与えて、さらに俺のことを好きにさせます」
受け取ったタバコに軽くkissをします。
「いま命が宿りました」
手に持ったタバコを目の前に掲げ、先端をじっと見つめます。
「本当に綺麗だ・・・お前ほど美しいタバコは見たことがない・・・愛してるよ」
ボッ!!
ひとりでに先端に火が点きました。
「このコのハートに火が点きました。これでもう俺の虜(とりこ)です」
火が点いたタバコを水平にして手のひらへ乗せながら言います。
「タバコの火は何度かご存知ですか?・・・700度です。普通手のひらに置いたら火傷しますが、このコは大好きな俺を絶対に傷付けたりしません」
タバコは火の点いた先端だけがギリギリ(1cm程度)浮いた状態で手のひらに乗っています。
まるで意思でもあるかのように。
「このコ、俺の言うことなら何でも聞きますよ。立てっ」
ほぼ横向きだったタバコがゆらゆらと立ち上がります。
タバコをつまみ上げ、手のひらに何もないことを見せながら言います。
「今度は握った手の中に入れてみましょうか?」
「それはさすがに危ないだろ(笑)・・・おい、やめとけ火傷するぞ!」
この担当者のリアクション、マジシャンにとって最高です♪
「逃げ場のない状況でついに俺を傷付けてしまうのか?このコの愛が試される時です」
そう言いながら拳の中へゆっくりとタバコを入れていきます。
全部入れたところで一呼吸おき、手を広げます。
今入れたはずのタバコはどこにもありません。
完全に消えてしまいました。
「愛する人を傷付ける位なら、自分自身が消えてなくなる・・・それがこのコの究極の愛だったようです。ありがとうございました(^-^*)」
いつの間にか周りに集まった内勤やホスト達からも拍手と歓声が。
担当者は言いました。
「ぜひウチで働いて欲しいんだけど、いつから来れる?」
5店舗で体入して最終的に入店を決めたのは、有名グループのA店でした。

音楽を大音量で流してノリだけで接客するお店と違って、落ち着いて会話できる環境が気に入ったんです。
ただ、スタッフのレベルの高さ(イケメン揃い)を売りにしている店なのがネックでした。
ハードルが高すぎる(´ω`;)
従来のホストクラブといえば、キャバクラや風俗が終わる真夜中に開店して朝まで営業するのが一般的でした。
午前1時を過ぎてから日の出までの営業は違法ですが、暗黙の了解があったそうです。
でも俺が入店した頃の歌舞伎町は石原都知事主導による浄化作戦が本格化していたため、A店も日の出営業に変わっていました。
日の出営業とは、文字通り日の出(朝4:30~6:30)と共に開店して昼まで営業すること。
これは一番の客層である水商売や風俗のお客様が最も来店する時間帯を奪われたと同じ。
売上が厳しい小箱(規模が小さい)店は深夜に強行営業していましたが、警察のガサ入れで次々と摘発され、営業停止→閉店へと追い込まれていました。
さらに歌舞伎町でのキャッチに対する取締りも激化。
ある店のホストが若い女性をキャッチしたら、なんとそれがパトロール中の私服警官で、そのホストの在籍するお店が営業停止を食らったり等々。
営業時間もキャッチも制限されてしまった従業員達には、ピリピリした空気が漂っていました。
さらに有名店ならではと言える問題も。
A店のホストを騙(かた)って歌舞伎町で女の子をナンパする男が多いらしいのです。
その影響でA店に対する警察のマークが厳しいので、絶対にキャッチをするなということでした。
プライベートの時間を使い池袋や渋谷、六本木にキャッチに行く先輩もいましたが、来店する可能性は低いようです。
そんな状況だったので、店内では指名争いが熾烈を極めていました。
入店後1週間は開店前のセッティング、閉店後の店内清掃、営業中の給仕やトイレ掃除に駆け回りました。
うっかり先輩の足を踏んで怒鳴られたり、料理を持っていく卓を間違えてチーフから水をぶっかけられたりもしましたが、なんとか耐えました。
そしてやっとヘルプに着かせてもらえるようになったのですが・・・
ヘルプはお客様が座るソファーではなく、テーブルの向かいにある丸椅子に座らなければなりません。
さらにタバコも吸うことが出来ませんでした。
ヘビースモーカーの俺にとって、営業中ずっとタバコを我慢するというのは辛い・・・。
他のお客様が来店する度に席を立ち、ファースト(最初の飲物を出すまでの対応)をするのもヘルプの仕事。
オンリー(ホストがいない状態)のお客様を見付けたらすぐにその席へ行って、担当が戻るまでの接客もこなさなければなりません。
A店はメディアへの露出度が高く、読モや有名ホストも多数在籍していたので来客数が多く、新規のお客様も月に200組以上来店していました。
毎日ピーク時には25卓あるテーブルが満卓となり、ホスト全員が総動員しても足りない状態。
俺はファーストやオンリーに走り回ってばかりで、落ち着いて座っていることすら出来ません。
新規はもちろん、ヘルプの卓でさえ1杯飲むか飲まないかで次の卓へ移動する忙しさ。
営業中の約6時間、休憩というものはありません。
新人の俺にとって唯一の息抜きは、お客様のタバコのお使いや店のお使い(食材の買い足し、釣り銭の両替等)で外に出たときだけ。
ここぞとばかりに一気にタバコを吸いました。
『こんな毎日で指名を取れるのかな・・・』
疲労と不安だけが募っていきました。
入店1ヶ月になり徐々に仕事に慣れてきた俺は、あることに気付きます。
指名客のいないプレイヤー(ホスト)がどの卓につくかは、内勤の付け回しによって決まります。
指名を取るためには新規の卓に回してもらうしかありません。
何人かの先輩がこの内勤に風俗をオゴッたり女を紹介して、新規を多く回してもらっていたのです。
『俺は少ないチャンスでも実力で指名を取ろう』
そう思った俺は、ホストという仕事を甘くみていたのかもしれません。
それから何日か後、ある先輩が新人達を集めました。
少ないチャンスで指名を取るコツを教えてくれるそうです。
「新規のほとんどがTVや雑誌で見た幹部目当てで来るから、俺らは不利なんだよ。だから幹部達には出来ない方法で客を掴めばいい」
幹部達に出来ない方法・・・?
「枕だよ。有名になると下手なこと出来ないから、メディアに出てる幹部と読モの幹部はやってないらしい」
【枕】枕営業。客と性的関係を持つ営業方法
「ただしするのは入れる直前まで。いきなり最後まですると面倒なことになるから」
入れる直前??
「手マンまでってこと。俺はよく一番街通りのネカフェ使ってる♪」
まさにマン喫ってヤツですか(^_^;)
「あ、抜きたいときは口で抜かせればいいから」
なるほど♪って…それで指名取れんのか?(-_-;)
ホストクラブは入れ替わりが激しい。
A店も例外ではなく、俺が入店してからすでに2人のプレイヤーが飛んでいました。
【飛ぶ】突然行方をくらますこと
同時に新たな新人も入ってきたので、仕事が明けてから一緒にキャッチに行くことにしました。
キャッチ禁止と言われても雑用ばかりでなかなか新規を回してもらえないのだから、自分で客を探すしかありません。
警察の目が厳しい歌舞伎町から離れ、池袋に行くことにしました。
後で証拠として挙げられる可能性があるため、名刺は渡せません。
あくまでもナンパのように声をかけ、連絡を取り合って自然と仲良くなり、頃合いを見て店に誘うのです。
面倒くせぇ。
というか、このやり方には問題がありました。
俺・・・今まで一度もナンパしたことがないんですorz
後輩も逆ナンされたことはありますが自分からナンパした経験はないそうです。
不安だ・・・とてつもなく不安だ。
こんなんで女の子を上手く店に誘うことが出来るんだろうか・・・?
新人ホストの俺は初指名を得るため後輩と共に池袋へ。
二人共ナンパは未経験。
果たしてキャッチは成功するのか。
そしてついに〝マジシャン緋色〟始動?
次回「ホストマジシャン2 せめて、ホストらしく」
この次も、サービスしちゃうわよ♪