大阪府の鳥獣保護法違反及び動物の愛護及び管理に関する法律の違反について

鳥獣保護法では捕獲申請した以外の鳥獣の捕獲は認められていないから、当然、錯誤捕獲は認められていない。錯誤捕獲(誤って捕獲対象以外の鳥獣を捕獲すること。例えば、イノシシの有害駆除中にクマを捕獲した。狩猟機関中に、狩猟鳥獣以外の鳥獣を捕獲した等)の場合には原則的にリリース(放獣)しなければならず、飼育すると鳥獣保護法違反になる。もし捕獲申請した動物と違う動物を捕獲したり、飼育することが許されるのであれば、無制限にどんな動物でも捕獲できるために、捕獲申請する意味が全くなくなることとなる。これを所轄する官庁がこれをすることは鳥獣捕獲申請制度の自滅である。そして、これを行なってしまったのが、大阪府である。錯誤捕獲については、罰則規定や錯誤捕獲における放獣の法的制約は無いが、それを放獣せず保管することは、申請以外の鳥獣の捕獲となり、違法であると言える。

農水省によれば以下である。
http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/h_manual/pdf/data3.pdf
(3)錯誤捕獲の対処
「捕獲対象とした動物以外の動物が捕獲されることを
錯誤捕獲という。錯誤捕獲された動物は速やかに放獣
しなければならない。」ただし、クマ類やニホンジカ
などの大型動物が捕獲された場合には、放獣に際して
人身への危険が伴うことがあるので、地元地方自治体
の鳥獣行政担当部局に連絡し、相談するとよい。

そこで法的にはどのような状態になっているのかを検討してみた。

まず、鳥獣保護法であるが、捕獲申請して誤捕獲することは申請外捕獲となり違法捕獲である。
動物の愛護及び管理に関する法律(以下、動愛法)ではクマは特定動物であり、大阪府の保管は以下に反する。

================================================
第四十五条  次の各号のいずれかに該当する者は、六月
以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
一  第二十六条第一項の規定に違反して許可を受けない
で特定動物を飼養し、又は保管した者
二  不正の手段によつて第二十六条第一項の許可を受け
た者
=================================================

つまり錯誤捕獲したにもかかわらず違法に放獣しないことは不正な行為である。したがって不正な手段により動愛法第二十六条第一項の許可(保管)を受けている(保管の許可を受けていればということだが)ことになる。つまり、第四十五条 二  不正の手段によつて第二十六条第一項の許可を受けた者となり六月以下の懲役又は百万円以下の罰金である。

================================================
第26条 人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがあ
る動物として政令で定める動物(以下「特定動物」という
。)の飼養又は保管を行おうとする者は、環境省令で定め
るところにより、特定動物の種類ごとに、特定動物の飼養
又は保管のための施設(以下この節において「特定飼養施
設」という。)の所在地を管轄する都道府県知事の許可を
受けなければならない。ただし、診療施設(獣医療法(平
成4年法律第46号)第2条第2項に規定する診療施設をい
う。)において獣医師が診療のために特定動物を飼養又は
保管する場合その他の環境省令で定める場合は、この限り
でない。
=================================================

そしてこのクマは、大阪府が占有して保管しているわけである。したがって動愛法44条4 二により当該クマは愛護動物である。

===============================================
動愛法第四十四条 4 前三項において「愛護動物」とは、
次の各号に掲げる動物をいう。
一  牛、馬、豚、めん羊、山羊、犬、猫、いえうさぎ、
   鶏、いえばと及びあひる
二  前号に掲げるものを除くほか、人が占有している動
   物で哺乳類、鳥類又は爬虫類に属するもの
================================================

したがって愛護動物となったクマを虐待やみだりに殺す事は動愛法44条違反である。なぜなら、大阪府の当該クマに対する対応は、狭いドラム缶での飼育や申請外捕獲や不正な手段による特定動物飼養許可等の違法行為が多数見られるためとても正当な理由での殺処分とは言えず、みだりに殺す事となるからである。条文は以下である。

==================================================
第四十四条  愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者
は、二年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
2  愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、
酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な
場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、
又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷
したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積し
た施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であ
つて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管する
ことその他の虐待を行つた者は、百万円以下の罰金に処
する。

*1)飼育改善指導が必要な例(虐待に該当する可能性、
あるいは放置すれば虐待に該当する可能性があると考
えられる例) について 環自総発第 100205002 号 平成
22年2月5日環境省自然環境局総務課長から各都道府
県・指定都市・中核市動物愛護主管部( 局) 長あて
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/files/n_07.pdf
===================================================

くまもり協会によるとクマの置かれている状況は以下のようになっている。
http://kumamori.org/news/category/date/2014/08/
http://kumamori.org/news/category/%E3%81%8F%E3%81%BE%E3%82%82%E3%82%8Anews/25740/

以下抜粋
・両面が鉄板でふさがれた密閉型ドラム缶檻の暗闇に閉じ込められていた。
・クマ移送用檻に移してから、ドロドロに汚れた体を、長い時間をかけて、ホースから出る水道水でていねいに洗ってやった。

8月19日、豊能のクマ君を久しぶりに訪問。
・ずっと閉められたままになっていた倉庫のシャッターを開け、光と外気を入れてやった。
・カビが生えた糞の山を取り除きながら、床を水洗いしようと、ホースの水をかけ始めると、豊能グマ君は、  狂ったように糞尿の混じった汚水を飲みだした。
・水飲み場がない。糞尿の処理ができない。

上記は環境省の出した動愛法における虐待の定義とも言える「*1)飼育改善指導が必要な例」の中の幾つかに合致し、明らかに虐待と言えるもので、動物虐待を監督するべき行政が動物虐待をしているという出鱈目ぶりである。

違法捕獲されたクマは、大阪府によると飼育希望者がいるために殺処分はしないということである。しかし野生動物は自然環境に放獣すべきだと思われる。大阪府の違法な捕獲や保管を一刻も早く止めさせ自然に帰すようにすべきだといえる。(これはくまもり協会のことでは無いかと思われる http://kumamori.org/news/category/%E3%81%8F%E3%81%BE%E3%82%82%E3%82%8Anews/25619/)


以下は上記を簡単にまとめてみた。

1. 捕獲申請して誤捕獲することは申請外捕獲となり罰則はないが違法捕獲である。

2. それを放獣せず占有・保管することは違法保管と同時に動愛法による占有による愛護動物適用(第四十四条4 二)になる。

3-1. 大阪府の保管は、鳥獣保護法による申請外捕獲のため違法捕獲となり、第四十五条 二  不正の手段によつて第二十六条第一項の許可を受けた者にあたる。したがって、動愛法第45条により六月以下の懲役又は百万円以下の罰金となる犯罪である。

3-2. 大阪府の野生動物の習慣に反する不適切飼養は虐待で罰則有り。
(動愛法44条2 愛護動物に対し、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、又はその健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、100万円以下の罰金に処する。)
(飼育改善指導が必要な例(虐待に該当する可能性、あるいは放置すれば虐待に該当する可能性があると考えられる例) について 環自総発第 100205002 号 平成2 2 年2 月5 日環境省自然環境局総務課長から各都道府県・指定都市・中 核市動物愛護主管部( 局) 長あて)

3-3. 殺処分は違法捕獲、違法保管等の違法な手続きがある為に正当な理由とは言えずみだりに殺す事となり動愛法44条違反である。

以上、大阪府は違法な捕獲による愛護動物であるクマの保管をすぐに止め放獣するべきである。



*1)飼育改善指導が必要な例(虐待に該当する可能性、あるいは放置すれば虐待に該当する可能性があると考えられる例) について 
環自総発第 100205002 号 平成22年2月5日 環境省自然環境局総務課長から各都道府県・指定都市・中核市動物愛護主管部( 局) 長あて
http://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/1_law/files/n_07.pdf

1 . 一般家庭
・餌が十分でなく栄養不良で骨が浮き上がって見えるほど痩せている(病気の場合は獣医師の治療を
受けているか。高齢の場合はそれなりの世話が出来ているか。)。
・餌を数日入れ替えず、餌が腐っていたり、固まっていたりして、食べることができる状態ではな
い。
・器が汚く、水入れには藻がついている。あるいは、水入れがなく、いつでも新鮮な水を飲むこと
ができない(獣医療上制限されているときを除く)。
・長毛種の犬猫が手入れをされず、生活に支障が出るほど毛玉に覆われている。
・爪が異常に伸びたまま放置されている。
・(繋ぎっぱなしで散歩にも連れて行かず、)犬の糞が犬の周りに何日分もたまり、糞尿の悪臭がする。
・外飼いで鎖につながれるなど行動が制限され、かつ寒暑風雨雪等の厳しい天候から身を守る場所
が確保できない様な状況で飼育されている。
・狭いケージに閉じ込めっぱなしである。
・飼育環境が不衛生。常時、糞尿、抜けた毛、食餌、缶詰の空やゴミがまわりにちらかっており、ア
ンモニア臭などの悪臭がする。
・病気や怪我をしているにもかかわらず、獣医師の治療を受けさせていない。
・リードが短すぎて、身体を横たえることができない。
・首輪がきつすぎてノドが締めつけられている。
・しつけ、訓練と称するなどし、動物に対し殴る、蹴る等の暴力を与えたり、故意に動物に怪我をさせたり
 する。
・事故等ではなく、人為的に与えられたと思われる傷が絶えない。
2 . 動物取扱業者等
・ケージが狭く、動物の排泄物と食餌が混在した状態で放置されている。動物が排泄物の上に寝てい
る。
・常時水を置いていない。あるいは、水入れはあるが中に藻が付いていたりして不潔である。
・幼齢にもかかわらず、食餌を適切な回数与えず(例えば朝晩の2回のみ等)、また、それで問題ない
と説明している。
・糞尿が堆積していたり、食餌の残渣が散らかっていたりして、清掃が行き届かず、建物内、ケージか
ら悪臭がする。
・動物の体が著しく汚れている。
・病気や怪我をしているにもかかわらず、獣医師の治療を受けさせていない。
・飼育環境が飼育している動物に適していない(温度・湿度の調整も含む)。例えば、 西日が当
たるなど建物内の温度が上昇した場合、あるいは、その逆で、冬季に低温となった場合に対応し
ない。
・多頭飼育で、飼育環境が不衛生。常時、糞尿、抜けた毛、食餌、缶詰の空やゴミがまわりにちらか
っており、悪臭がする。
・ケージ内で動物を過密に飼育している。
・店内の大音量の音楽、または過度の照明にさらされることにより動物が休息できない。
・しつけ、訓練と称するなどし、動物に対し殴る、蹴る等の暴力を与えたり、故意に動物に怪我を
させたりする。
・体調不良、不健康な動物をふれあいや散歩体験等に使用する。
・出産後、十分な期間(離乳し母体が回復するまでの間)を経ずに、また繁殖させる。




クリックお願いします。
      ↓
にほんブログ村 その他ペットブログ 動物愛護(アニマルライツ)へ
にほんブログ村
にほんブログ村 犬ブログ 犬情報へ
にほんブログ村
にほんブログ村 猫ブログ 猫情報へ
にほんブログ村