難易度:★★☆☆☆
第1章
場合の数
① 集合の要素の個数の計算
まず、次の問題を見てほしい。
【問1.1】 とある高校の野球部員100人の弁当の中身を調べたところ、ウインナーが入っていた人が88人、卵焼きが入っていた人が71人であった。ウインナーと卵焼きが両方とも入ってた人数の最大値と最小値はそれぞれいくらか。
…数学的センスがある人は、すぐに最大値が71人、最小値が59人とわかるであろう。
簡易的な考え方はこう。
最大値というのは、人数の少ない方、すなわち
卵焼きが弁当に入っていた人全員が、ウインナーも一緒に入っているとき
を指しているので、最大値は71人。
最小値というのは、ウインナーの人数と卵焼きの人数を足して、
100人を越えた余りの人数が、ウインナーも卵焼きも弁当に入っている人数
に等しいので、最小値は ( 88 + 71 ) - 100 = 159 - 100 = 59人。
…んん~、まあ確かにわからなくもないが、、、イマイチピンと来ないというひとが大部分かと思われる。百歩譲って、この解き方を覚えるのもよしとするが、こういう問題になったときは君はどう対処する?
【問1.2】 とある高校の野球部員100人の弁当の中身を調べたところ、梅干しが入っていた人が77人、トマトが入っていた人が68人であった。梅干しは入っているが、トマトが入っていない人数の最大値と最小値はそれぞれいくらか。
…さあ、すぐには出てこないだろう(クソマウントすいません)。これもすぐわかったという人はこのブログの回を通して私が伝えたいことをもう取得しているだろう。次の単元へどうぞ。
すぐに出てこなかった君!大丈夫、わかるようになる。スッキリさせます(イライラさせたのはあなたです武藤君)。
ここでとても便利なのが「個数定理」である。
〔個数定理〕
なぜ便利なのかは、解きやすくなるだけではない。その本質は最後に言うとして、まずは個数定理を用いた問1.1の模範解答をみせよう。
《問1.1 解答》
ここでいったんストップ。
という数式を見て解答の①と②がすんなり理解できたであろうか。
これはつまり言い換えると、159の直後にある符号が「-」なこともあり、
右辺にあるこいつが小さく(あるいは大きく)なることが、
左辺にあるこいつが大きく(あるいは小さく)なるために必要な条件なのである、ということである。実際に数字を当てはめてみればわかるだろう。
では、解答の続きへ参る。
はいきた今回の最大の難点。みんなはこれが理解できただろうか。この一言をスムーズに理解するために最も重要なのが、「ベン図のイメージ」である。
下の図1にあるように、2集合の基本ベン図がある。
が最小になるためには、より要素の個数が少ない集合BがAの中に入る必要がある。その図が図2に示すように集合Bが集合Aの部分集合になっているベン図である。
図1 2集合の基本ベン図
図2 BがAの部分集合であるときのベン図
そう。
が最小になりたかったら、要素の個数が少ない集合が大きい集合の中にすっぽり全部入ってしまえばよいのである。
が大きくなってしまう原因は、Bだけを満たす部分(図1でいうと、Bの円内でAと重なっていない、色の薄い部分)が出てくることなので、その空間を消すべく集合Bを集合Aの部分集合にしてしまったということ。
これを、あの一行
この一言だけで表したという話なのだ。
…さあ、話を戻そう。今話したことを解答として書くならこう。
…ここで気づいた人は、数学が武器になる素質があるかもしれない。この「71」は集合Bの要素の個数、つまり弁当に卵焼きが入っている人数と一致する。
そう。集合B自体が集合Aと集合Bの共通部分の役割を担えばよいということ。
が最大ということと、
の大きさと集合Bの大きさが一致することは、等しいのである。
というふうに言われて1つ疑問に思った読者も大勢いるのではないだろうか。記述解答に
「
が最大のとき、集合Bと一致するので、
の最大は71」っと。__(一呼吸)__…はいおわり~!今日は早く帰ってマイクラでもやr
だめだ。マイクラは一度やり始めると手が止まらなくなるからやめなさい(そこ!?)。
このサボり解答だと、記述解答としては不十分である。その証拠として挙げるならこう。
上記の説明をした後に「なんで?」と言われたら、「え、だから、ベン図かいたらわかるじゃん。こうしてさ…」なんて同じことを繰り返し言うことになり、行き詰ってしまうだろう。口では説明できても「記述解答」となれば不可能に近い。記述できたとしても、得点にはつながらない。採点者の目の前でプレゼンできるわけでもないし。
文字だけで伝えるためにも、
このように論理立てて、採点者の想像力に頼らなくていいような解答が必要なのである。
ただ、あのサボり解答も悪い考えではない。記述解答ではなく最終的な解答のみを求められているのなら、サボり解答をして時短してほしい。
そこそこあたりまえなことを言っている。
の最大は全体集合、すなわち野球部員全員そのものじゃないか。言い換えると、ウインナーも卵焼きも弁当に入っていない野球部員が一人もいない、少なくともどっちかが弁当に入っていることを意味する。
それではもう一度、記述解答の全容を見返してみよう。
《問1.1 解答》
このように、「なにかが最大あるいは最小になるためには、ほかのなにかが最大あるいは最小になればよい」という考えは、複雑な個数問題にも対応できるようになる。その「ほかのなにか」に着目し、自分にとってわかりやすいように問題の難易度を下げているのである。(さっきの(ii)でも、
の最小を考える大変な作業をするのではなく、
の最大を考える簡単な部分に着目している。そしてそれは、100人なのはあたりまえである。)
個数定理をフル活用できるようにすれば、【問1.2】の問題形式も簡単に解ける。【問1.2】の問題を【問1.1】でパクってみる。
ウインナーは弁当に入っているが、卵焼きが入っていない場合(もしこんなことがあれば午後の練習テンションバリ下げ確定です。:読者)は?)はどう考えればいいのか。
感覚だけで考えるから難しく感じる。まずはベン図の想像からしてほしい。ここはあえて図は乗っけず、読者の作図あるいは想像力に頼ることにする(え?さっき武藤採点者の想像力に頼るなって言ったじゃん)。
「ウインナー(集合A)は弁当に入っているが、卵焼き(集合B)が入っていない(以下、集合(A-B)とおく)」人はベン図において、どの部分になるだろうか。
(この部分を発展的な言葉で差集合といい、n(A-B)と表す)
そして、集合Aの要素の個数は変わらないから、集合(A-B)の大きさは
次第である。よって、解答はこうなる。
どうだろうか。ぜひ同じことを【問1.2】でもやってみてほしい。ちなみに答えは最大が32人、最小が9人である。
~今回のまとめ~
最初に「個数定理を覚えておくととても便利だ」という話をした。当然、複雑な個数問題では、着眼点を変えて、難易度を下げることができる便利さもある。しかし、もっと大切な目的がある。それは「きれいな解答を書くのに便利な道具である」ということ。記述解答するときに心掛けるべきことは、採点者にツッコミをさせないように、丁寧な解答を作り上げることである。上位大学になるにつれて一問一問の配点が高くなるのは、記述解答の中にポイントがたくさんあるということ。マイナスに捉えれば、それだけ減点原因が生まれやすい。逆にプラスに捉えれば、それだけ周りと差を付けられるのだ。一つ一つ解法パターンを体になじませていって、大学合格につなげてほしい。
~参考文献~
【問1.1】 黄チャート 数学A
【問1.2】 青チャート 数学A、赤チャート 数学A








