「レンタルファミリー」を見て頂いた清原様から、下記のコメントを頂きました。

本当にうれしい限りです。

画像に含まれている可能性があるもの:テキスト

【アニシィプロデュース公演「レンタルファミリー」】

高田馬場ラピネストで、私のお気に入りの役者でFacebook友達の岩ゲントさんが出演する舞台「レンタルファミリー」を観ました。

舞台は米屋を営む高齢の夫婦・夫の重明と妻サクの家。今日はお盆で、息子たち三人兄弟のうち、末っ子の家族が訪問してくれるはず。長男、次男はエリートで、忙しいという理由で今年も来ないのです。しかし、実は今日訪問してくれる末っ子家族も、本物ではなく「レンタルファミリー」。偽物の末っ子家族で、老夫婦が心を慰めるために派遣を依頼したのです。サクが近所にカラオケ機材を借りてくる間に、レンタルファミリーが到着。しかし、どうも様子が変。彼らをレンタルファミリーだと思っているのは重明だけで、実は彼らは本物の末っ子家族? 重明は認知症なのか? それとも……?

何が本当で、何が違うのか、曖昧なまましばらくストーリーは展開し、老夫婦とレンタル?末っ子家族は大騒ぎのドタバタな家族団欒。そのなかで、家族たちそれぞれの本心が明らかになっていき、進むべき道が見えてきます。伝えたかった本当の気持ちを、相手が偽物だから吐き出せるのか、重明は末っ子を怒鳴りつけながらも、今まで言い出せなかった後悔の念を吐露します。そして、彼の改心を見届けたサクは……。

舞台に立っている人々はもちろん全員役者で、本物の家族ではありません。にもかかわらず、スキルの高い役者たちが演じると、本物の家族に見えたり、本物を演じる偽物の家族に見えたりするのが、何とも不思議な感覚です。偽物が本物と偽物を演じているのですから。ひるがえって観客たちも、自分の家の中では家族のメンバーとしての役割を演じています。しかも子ども・親・夫(妻)など、一人で何役も自然に切り替え、こなしています。演技と本物って、何が違うのだろう? 考えると不思議な感覚に襲われます。

邦城龍明さん演じる主人公重明と、岩ゲントさん演じる末っ子伸之の、まるで本物の親子のようなやり取りが中心になって、虚実ないまぜになった不思議なシチュエーションドラマが自然に運ばれます。本物とか偽物とかは関係なく、愛を込めて本音で向かい合うことが大切なのだということが、次第にズシンと伝わってきます。おかしみと喜びと哀しみと感動が、練り上げられた脚本とテンポの良い演技によって、じっくり味わえる良質の舞台でした。