12月末の閉院に向けて、うちの患者さん(350名弱)の転院先を探すのは、なかなか大変な作業です。ネットなど使って、自分で転院先を探してきてくれる、フットワークの軽い患者さんもいますが、ほとんどの患者さんは、そうはいきません。「先生が信頼できる、この人はという先生を紹介してください」「先生のお知り合いの、いい先生を紹介してください」「先生のお弟子さんで、いい先生はいませんか」「先生からみて、私に合っていると思うクリニックを紹介してください」「話をよく聞いてくれて、たっぷり時間を取ってくれるところがいいです」など、現実的にありえないような要求ばかりです。
この半年ばかり、おじいちゃん先生も、うちの患者さんと同じく、インターネット上で閲覧できる、精神科・心療内科クリニックのホームページ巡りをしております。調べる内容は、新患予約の受付方法、アクセス(患者さんが通いやすいか)、医師の人数や年齢(おじいちゃん・おばあちゃんはダメ?)、診療時間(土曜・夕方はやってるか)、医師の経歴・特徴(得意分野や苦手が分かることもある)、医師以外のスタッフ(ケースワーカー、臨床心理士など)、各種診断書作成料金(年金診断書、自立支援医療、その他)、生活保護を扱っているか(新しく開業したクリニックでは生活保護を扱わないところが多い)、院長の顔写真(開業当初に撮影したものが多く、ダマされることもある?)・・・等々。
一方、患者さんたちが第一に注意をひかれるのは、ホームページよりも、“Googleの口コミ”です。しかしながら、これを参考にするには、細心の注意が必要です。良い口コミも、悪い口コミも、まともに信用してはなりません。その口コミに書かれている、客観的事実だけを読み取ることが必要です。投稿している人の主観的な内容は排除しなければなりません。残念ながら、書かれている内容は、客観的事実はほとんどなく、医師や受付の対応に対する不満や怒りばかりで、感情的なものばかりです。これらを読んだら、通えるクリニックはどこにも存在しないように思えてきます。自分が通院しているクリニックに不満のない患者さんは、投稿しようという気にはならないでしょう(あまりにも良い口コミは、サクラだという噂もあります)。
とは言っても、私自身も数百余りの口コミを読んでみましたが、これは参考になるな、と思った口コミは、百に一つもありませんでした。私は医療に携わる側の立場にあるので、裏事情をいろいろ知っているが故に、少しは分かるのかもしれませんが、患者さんの側からすれば、どんな口コミも、誤解したり、混乱させられるばかりだと思います。
結局のところは、自分が直接受診して、自分の目で確かめてみるしかないと思います。嫌なら、別の病院を探せばいいだけのことです。そのために必要となるのが、“本人用の診療情報提供書(宝物)”で、<転院しようと思ったら、これをコピーして持っていけばよい>と伝えています。
(余談)
当クリニックに約10年間通院していた、H子さん。9月に御近所の○○○メンタルクリニックに転院。ところが先日来院して、「あそこのクリニックはダメです。私が話したことをすべて否定するんです。先生は、私が言ったことや、私のやったことを否定したことが1度もなかった。別のところを探そうと思います」というのだ。<そうかなぁ?>と、しばし考えた挙句、<確かに、初対面で全てを否定する、というのはちょっとまずいかもしれないけれど、私だって、あなたを否定したことは何度もあると思うよ。私はズルいから、あなたに気づかれないように、間接的に、遠回しでやるから、分からなかったんじゃないの>と。H子さん、「そうかなぁ」と、怪訝そうな表情を見せていました。