新型コロナウイルスの感染が拡大しています。うちの患者さんたちの多くが、「不要不急の外出は避けてください」という指示を忠実守って、外出を控え、自宅に引きこもりがちになっています。

 しかし、おじいちゃん先生は、週一回のラーメン屋さん通いは止めません。なぜなら、“空気中にプカプカ浮遊している、新型コロナウイルスを含んだ小さな飛沫”が目に見えるからです。お店に入ってみて、“空気中にプカプカ浮遊している、新型コロナウイルスを含んだ小さな飛沫”を発見したら、その店には入りません。人混みを歩いていて、“新型コロナウイルスを含んだ小さな飛沫”の集団が近づいてきたら、その集団が通り過ぎるまで、息を止めて待ちます。なので、人混みは怖くありません。・・・といった、おじいちゃん先生の“新型コロナウイルス関連妄想?”が正しいことを、科学的に裏付けしてくれる書物を発見したので、皆さんにも紹介したいと思います。

 

*この本の中には、小さなラーメン店や焼き肉店は、換気の行き届いた「安全地帯」とあります。

 

 『新型コロナの大誤解』、西村秀一著(国立病院機構仙台医療センター・ウイルスセンター長)。西村先生は、呼吸器系ウイルス感染症(コロナも呼吸器感染症の一つです)、特にインフルエンザ予防に対する、臨床の専門家だそうです。テレビに出てくる専門家の先生は、感染症の疫学的専門家なので、日本全体のコロナの感染者数を減らすことに貢献してくれてはいるけれど、私たち一人一人が、どうすれば新型コロナに感染しないで、予防できるかを、具体的に教えてはくれません。

 精神科医の立場としては、感染を恐れて一歩も外に出ないことの弊害が、精神障害の悪化につながらないことを願っています(老人においては、精神よりも身体の衰えが進行しています)。

 うちの患者さんには、この本の「まとめ」をプリントして配ろうと思っているのですが、皆さんには、まとめではなく、全部を読んでもらいたいと思います。これから、少なくとも何年かは続く、withコロナの時代を、大きな不安なく過ごすための必須知識として、大いに役立ってくれると思います。

 西村先生の動画を見つけました!皆さんもどうぞ。

 

 

 

 

(参考)『新型コロナの大誤解』の「まとめ」

(1)新型コロナは空気感染だと知れ

○新型コロナは「空気感染」である。

 閉鎖された場所では、パーテーションなどはむしろない方が安全。

 空気が流れる方が良いので、換気をしっかりすること。

○ウイルスは皮膚からは感染しないので、接触感染は気にしなくても良い。

 消毒のやりすぎは効果がないどころか、かえって害。

○感染リスクが最も高い行動は、ウイルスを肺まで吸い込むこと。

 乾燥した環境だと飛沫が小さくなり、吸い込みやすくなる。

 だから冬は重症化する人が多く、逆に夏は少ない。

(2)手洗いよりうがいのススメ

○たった一回の咳では、すぐに感染するような量のウイルスは出ない。

○手洗いよりもうがいの方が大切。

 うがいは、自分の感染を防ぐためだけではなく、他者にうつさない効果も。

 うがいできない時は、こまめに緑茶を飲む。

○小さな空気清浄機はその周囲の空気を取り込むだけ。

 部屋全体をきれいにするには、意識的に空気の流れを作ることが必要。

 そしてできれば、時々窓を開けて換気すること。

○アルコール噴霧などの空間消毒は効果がないだけでなく、

 逆に健康上の害になる場合もあり、要注意。

(3)PCR検査をただ増やせばよいという大誤解

○PCR検査は、やみくもに多くの人にすれば良いというものではない。

 死んだウイルスも検出してしまうので、偽陽性とされる人も多い。

○従来のPCR検査はウイルスの量も調べられるので、正しく活用すれば、

 感染者の重症化リスクと、周囲に感染を広げる可能性も分かる。

 もっと有効に使いたい。

○抗体検査では、過去に感染したかどうかは分かるが、今現在、

感染していないことの証明にはならない。

 抗原検査では、感染していてもウイルス量が少なければ検出されないが、

 その時点でのリスク評価には使える。

○PCR検査だけを増やしても、陽性者を受け入れる体制が整っていなければ、

 パニックになる。

 無症状者、偽陽性者まで隔離していると、医療体制はパンクする。

その意味では、流行初期、日本はうまくやっていたと言える。

(4)ウイルスに勝つマスクの達人になる

○きちんとした不織布マスクであれば、一般人の日常生活なら、

十分と思われる性能を持っている。

 ウレタンマスクは、自分を守るのには効果はほぼゼロ。

 うつさない効果もほとんど期待できない。

○マスクは密着性が命。

 すき間を極力なくして、密着性を高める工夫をすること。

○フェイスシールドやマウスシールドでは何も防げない。

 むしろ、リスクが高まることすらある。

○風が吹いていて、人が密になっていない戸外ではマスクは不要。

 駅の階段など人混みの中では、マスクをしていても走ってはいけない。

(5)こうすれば飲食店も営業できる

○何より換気が大事

○適正規模の換気扇や空気清浄機を、風の流れを計算して、

 上手に組み合わせて使っているようなら安心。

○バイキングや大皿料理は問題ない。

 食べ物からの新型コロナは感染しない。

○レジのお金の受け渡しに感染リスクはない。

 実生活での物の表面には、生きたウイルスはいない。

○多くの店や金融機関などの入り口にある、手のアルコール消毒は無意味。

 テーブルのアルコール消毒も、汚れがついていたら効果はない。

 最初からアルコールなしの、水拭きで十分。

(6)ウイルスと細菌は違います

○変異株に関しては専門研究者に任せ、一般の人は必要以上に、恐れる必要はない。

これまで通り3密を避け、換気とマスクをしっかり。

○子どもは、新型コロナに感染しても重症化しない。

 大げさな規制は必要なく、むしろ子供たちの正常な成育を妨げる。

○ゼロリスクを求めたら、すべての生活から逃げなくてはならなくなる。

○真のプロフェッショナルは、論文もデータも批判的に読む。

(7)新型コロナはいつ終息するのか?

○いったん終息したように見えても、ウイルスは完全には消えず、

 どこかでくすぶり続けている。

○新型コロナは、治療法が確立されることがあっても、

 ウイルスそのものを撲滅することはまずできない。

○過去にパンデミックや世界的広がりを引き起こしたいくつもの病原体が、

 世界のどこかにくすぶり続けていて、再出現が警戒される。

 だからといって、いたずらに恐れて生活することはできない。

○私たちは、昔と比べ何が分かってどの部分で進歩しているのか?

 どの部分で相変らず正しくないことをしているのか?

 今こそ、歴史から学ばなくてはならない。