診察室での最近の話題は、“賢明なるコロナ対策”一辺倒に傾いています。私のクリニックに来る患者さんたちは、お国の指示に忠実に従い(自粛生活)、この先のコロナウイルスの行く末に悲観的な見方をされる方が多いので、おじいちゃん先生は心して、楽観的な(私は客観的だと思っていますが)、不忠実な?(私は現実的な対応と思っていますが)話をすることにしています。そのいくつかを紹介します。
(その1)
「通勤電車が混んできているので不安です。」
<専門家の調査によれば、山手線の電車の中では、これまでクラスター感染は一件もないそうです。その理由は何だと思いますか?>
「さあ?・・・換気しているから?」
<確かにそれもあるかもしれませんが、・・・これは私の想像ではなく、専門家の話によると、通勤電車の中では、ほとんどの人が無言で口を開かないで黙っていて、おまけにマスクをしているので、車内に放出される(口から)コロナウイルスの量がほとんどないからだそうです。いくら密着していても、こんなところから(手や腕の皮膚から接触感染するわけではなく)感染はしないからね。つり革を掴んでも、顔を触らず、会社に着いたらしっかり手洗いをしておけば大丈夫です>と。
(その2)
「病院にはコロナの患者さんがベッドを占領していて、私が具合悪くなっても見てもらえないか心配です。」
<6 月 3 日の厚生労働省発表では、国内の累計感染者数は 1 万 6,986 人で、そのうちの退院者数が 1 万 4,650 人だそうです。今なら病院にはベッドに空きがあるので、少しくらいコロナの患者が増えても「医療崩壊」にはならないし、ちゃんと見てもらえると思うよ。>と。
(その3)
「昨日、喫茶店で近所のおばあちゃんと話をしてしまった。私はマスクをしていたけれど、そのおばちゃんはマスクをしていなかったので、後からそのことが気になって、今でもそのことが頭から離れないんです。」
<あなたはマスクをしていたし、そのおばあちゃんがコロナウイルスに感染している確率は極めて低いから、心配しなくてもいいと思うよ。百歩譲って、そのおばあちゃんが口からコロナウイルスを出していて、あなたがそれを吸ったとしても、微量だから問題ありません。前にもお話ししたけれど、コロナウイルスに感染したとしても微量であれば、免疫が働いてくれて、ほとんどの人が症状も出さずに(8割と推定されている)自然に治っちゃいます。ひょっとしたら、あなたも私もすでにかかっているかもしれません。ホストクラブでマスクもせずに、顔を突き合わせておしゃべりする(これを濃厚接触という)のとは、吸うコロナウイルスの数は何十万分の1(何百万分の一か、何億分の一かは定かではないけれど)です>と。
補足:コロナウイルスに感染すると、体の中では毎日1000倍に増えていくと言われていますが、はじめに吸ったウイルスの量が少なければ、大量に吸った人に比べると、ある一定以上(症状が出るまでの量)に到達するまでの時間が数日違います。この数日の違いが大きく、この数日の間に、抗体が産生されて(ちゃんとしたIgG抗体ができるのに数日間かかる)、コロナウイルスの量が多くならないうちに退治できるんです。
(その4)
「3か月間パチンコに行くのを我慢しているのですが、行ったら危ないでしょうか。」
<たしかに世間では、パチンコ店はずっと悪者扱いされていて、そこに行くと感染してしまうようなイメージが持たれています。でも実際のところは、そんなに危ないところではないと思います。何しろ、みんな黙って口を開けず、じっとパチンコ台を見つめているのだから。席でタバコを吸ったり、飲み食いしてはまずいけど、それは禁止されているし。手を介しての接触感染も、ちゃんと手洗いをすれば防げるし、手についているウイルスの数は少ないでしょうから。・・でも、3か月間我慢できたのなら、きっぱりやめてしまったらどう?>
「先生、それはないでしょ。月に2回ぐらいの、僕のささやかな楽しみを奪わないでくださいよ。」
<確かに。その程度ならね>と。
(まとめ)
おじいちゃん先生が言ってることはどれも同じことです。“賢明なるコロナ対策”とは、ワクチンができるまでの期間(だいたい1年から2年と予想されている)、われわれができることは、<濃厚接触が起こるような場所を自分でしっかりと見極め、そういう場所には近づかないこと。万が一、知らないうちに少量のウイルスに感染するようなことがあったとしても、ほとんどの人が自然に治ってしまうのだから(それくらいの弱毒ウイルス)、過剰に怖がる必要はない。それでも、何百万分の一?の重症化患者になってしまったら、自然の脅威に敬意を表して諦めるしかない>ということです。自分がコロナの重症化患者になることを怖がるよりも、その他の病気(過剰なマスク着用による熱中症、高齢者の筋力低下による転倒、コロナ太りによる生活習慣病の増悪・・・など挙げればきりがないくらい)、になることの対策をした方が賢明ですよということです。
(余談)
緊急事態宣言が発出されたため、自粛していたテニスを先日再開したところ、1か月以上悩まされていた緊張型頭痛(頭に何かが張り付いているような痛み)が一気に解消されました。頭痛薬としてカロナールやロキソニン、おじいちゃん先生お得意のメイラックスを飲んでみましたが、ほとんど改善されませんでした。私にとっては、生活習慣の一つになっているテニスが、緊張型頭痛の予防になっていたのだと改めて知らされました。