『継続は力なり』 - 手動瞑想を2年続けた成果とは -で紹介したKさんの続報です。週5日のアルバイトは継続できていて、その誠実な仕事ぶりが職場でも評価され、リーダーを任されています。ここ数か月間の、Kさんと私のやり取りを、ありのままに幾つか上げてみると。

 

平成31年3月

<Kさんは、ここでは、いつもメモを見ながら質問をしてくれるよね?>

「メモしておかないと、ここに来ると、その時のこと(何を考えていたか)忘れてしまうので。ちゃんとドクターに伝えようと思って。」

<それはとてもいいことやってる。その時の、状況、気持ち(感情)、考えていた事(自動思考)を、メモしておくことは、立派な認知療法をやっていることになるよね。Kさんは、従来型の認知行動療法(CBT)と、新世代の認知行動療法(手動瞑想)とをダブルでやっていることになるね。>

平成31年4月・令和元年5月

「割といい感じで過ごしています。仕事中も考え事ばかりして、自分で勝手に物語を作っていた。それをやってる途中に、ハッと気づいたのは最近かもしれない。今まではそれを延々とやっていた(家でも)。今はストップさせて、それから先に進まないで、冷静に考えて行動するようになった。」「 挨拶も、考えないで(先手必勝で)、とにかくするようにしたら、相手もあいさつしてくれた。」「先生にこれ(手動瞑想)教えていただいてから、ひきずらなくて、ストレスが減って生きやすくなった。」 *“挨拶は先手必勝と心得よ”参照。

令和元年7月

「僕はもともと本を読むのが遅い。一冊読むのに3か月くらいかかる。」

<読んだことを全部覚えておかないといけない、と思ってるんじゃないの?本を読む目的は、考えるために読むもの。受験勉強じゃないんだから。それに、自分では気づかなくても、重要なことは無意識下で記憶していて、必要な時には自然に思い出す、という脳科学の説もあるから、私はそれをあてにして読み飛ばしているよ(おじいちゃん先生にはそれが頼りなんですが?)。木を見て森を見ずではないけれど、部分より全体をつかむことの方が大切だよ。>

令和元年8月

「先月言われたことをやってみたら、本を読むのが早くなりました。一体何だったんでしょうね?」と。

令和元年9月

「生活が乱れちゃいました。・・・赤信号を無視して渡る人に腹が立ったり、時々イライラします」と。

<それなら、あなたも一度、人気のない横断歩道を赤信号でわたってみるといいよ>と。

「最近また、人の視線が気になったり挨拶しないのを気にしたりする」と。

<気にしている、と気づけるようになったのは、手動瞑想の効果かも。気になってはいけない、じゃなくて、気になっている、と気づいて(受け入れて)、サッと離れる、ということをただ繰り返していればいいんだよ>と。

令和元年10月

「赤信号を渡ってみて、俺は頭が固いなと思った。・・・父との関係もすこし改善した。いつも、上から目線で口出しするけど、父もそれなりにやって、分かってるのにできないんだと気づきました」と。

令和元年11月

「職場のパートのおばさんたちが、仕事をしないで食っちゃべっているのを見ていて腹が立ってしょうがない。それでイライラするのはバカらしい」と。

<何で腹が立ってるのか、自己分析したらどうなる?>

「仕事は真面目にやるべきで、そういう場所で雑談ばかりするのは良くないと思う」と。

<Kさんは、不真面目な人や、不道徳な人は嫌いなんでしょう。でも、そういう人を見たとき、(相手のことも自分のことも)善悪判断や価値判断をしないで、自分に起こっている感情や思考だけを観察して、サッと離れてみてください。手動瞑想は、それが出来るようになる日頃の訓練なんです。私も、そのおばさんのことは嫌いで腹が立つと思うけど、そういう感情にいち早く気づいてパット離れられるように、ゆくゆくは腹も立たなくなるようになりたいな、と思って手動瞑想を続けてますよ>と。

「先生はこの間、強迫症状の話をされてたけど、うちに帰って考えてみた。子供のころから、いやな気持になったら、ちょっと変なんですけど、緑色の紙を眺めるとか、物の位置を確認するとか、汚いと思ったものを触ったときに、手を何回か洗うとか、そういうのが前より減ったような気がします」と。

<いつごろから減ったと思う?>

「手動瞑想をやるようになってからかもしれない。そういう時にこれをやればと思ってるかもしれない。最近は職場で何か起こっても、自分はどういう気持ちか、どう考えているかに気づくようになって、以前のように訳の分からない気持ちになって沈んだりしなくなった。気づいたら、受け入れて離れるようにしているので>と。

 

 Kさんは、治療意欲が旺盛で、私の方が質問攻めにあうことも多く、30分間の面接時間が、あっという間に過ぎてしまいます。この面接の中から、Kさんが手動瞑想によって、どのような成果を得たのか、皆さんに想像していただけたらと思います。

 

(補足)

 以前の記事に書いた、“手動瞑想に自分から積極的に取り組む(習慣化する)ようになる条件はなにか”を、もう一度上げておきます。Kさんは、これらの条件のほとんどを満たしている方だと思います。

 

①    自分の苦しみを何とかしたいと思っている

②    自分が変わらなければと少しでも思っている

③    医師との信頼関係が厚い

④    通院間隔が短い(1週間~2週間)

⑤    仏教に興味がある

⑥    クスリを減らしたいと思っている

⑦    好奇心が強い

⑧    理解力がある

⑨    素直な性格

⑩    頭が柔らかい

⑪    やってみて、何らかの効果を実感できた

⑫    日常生活の中で時間に余裕がある