私が精神科医になった始めの12年間は、統合失調症 (当時は、精神分裂症といった)の患者さんしか診ていなかった、と言っていいくらいの日々を送っていました。ところが、○○年前に小さな診療所を開業してからは、うつ病や不安障害の患者さんを中心に診るようになりました。開業当初は患者さんも少なく、診る患者さんが一日に一人という日もありました。おかげで、うつ病や不安障害の患者さんの治療のためにと、認知行動療法の勉強時間をたっぷり取ることができました。もともと認知行動療法の専門家ではないのですが、次々と来院する患者さんの力を借りて、理論に加えて多くの実践経験を積むことができました(はじめの頃の患者さんは、ちょっと迷惑だったかもしれませんが?)。

 さて、私が勉強し、見よう見まねで実践してきたのは、第二世代の認知行動療法と言われるものでした。ところが近年は、“第三世代の認知行動療法”と呼ばれるものが台頭してきて、これまでの第一・第二世代の認知行動療法にはみられなかった新たなものが付け加えられ、バージョンアップされています。

 おじいちゃん先生が“第三世代の認知行動療法”(マインドフルネス認知療法・メタ認知療法・行動活性化療法など)の存在を知ったのは数年前でした。そろそろ閉院しようかと思っていた、おじいちゃん先生には、やや遅きに失した感がありましたが、バージョンアップして拡張されたものに仏教的要素が含まれていることを知って、とても興味を惹きつけられたんです。<よし、これからは自分自身の修行として、手動瞑想を取り入れた認知行動療法に専心してみよう。それが誰かの役に立てば、徳を積むことにもなるのではないか。冥土の土産にもなるのではないか>と妄想して、ひとまず閉院を延期することにしました。私がこのブログを書き始めたのも、このようなことがきっかけだったんです。

 

 さて、前置きが長くなってしまいましたが、次回からは、おじいちゃん先生がこれまで体験してきた、認知行動療法にまつわる話を、何回かに分けてアップしていきたいと思います。このブログの読者の皆さんに、認知行動療法のことをもっと知ってもらえれば、私がアップする記事の内容が、もっと理解しやすくなるのではないかと思うからです。