テニスの練習の始めと終わりに壁打ちをやるのが私の習慣です。最近になって気づいたことなのですが、私にとって壁打ちは、ヴィパッサナー瞑想をやってる感じだということです。ポコン、ポコン、ポコンと壁を相手に打ちながら、一球ごとに、インパクトの瞬間、今ここ、今ここ、今ここと確かめながらボールを打っていると集中力がアップしてきます。時々、周囲の音や雑念が入ってくるのですが、注意をインパクトの瞬間に戻します。これはまさに、手動瞑想にそっくりで、「手動瞑想をやってる感じ」です。数を数えながらミスをしないように続けると、さらに集中度が増します。これが私のストレス解消に役立っていることは確かです。さらに、ボールの位置確認と並行して、手首、肘、肩、膝、腰、などの位置確認を行えば、フォームの矯正にも役立ってくれます。プロの選手のフォームの真似をしたり、友人のフォームの真似をしたりするのが、私の特技なのは、日頃の“壁打ちヴィパッサナー瞑想”の成果なのかもしれません。
昨日、錦織圭の復帰戦をテレビ中継で観ていて、真っ先に目に飛び込んできたのは、彼のサービスフォームの変化です。これまで、インパクトに向けて、右足を左足に引き付けていたのですが、新しいフォームでは、右足の位置を変えないで、そのままインパクトを迎えます。おそらく、ロジャー・フェデラーのフォームを手本としたのではないでしょうか。これによって、インパクトの位置が、これまでよりも体軸の前になるので、手首、腹筋、背筋などの負担が軽くなり、ケガを予防できます。また、ファーストサービスの球種がフラット・スピン系からスライス・スピン系に変わり、相手がレシーブで、ラケットのスウィートスポットを少し外してくれる可能性が高くなります。スピードを少し落としても、ファーストサービスの確率を上げ、三球目攻撃に重点を置き、得意のストローク戦をさらに優位に導こうというのは、ラファエル・ナダルの戦略でもあります。これによって、錦織圭の最大の弱点と言われてきたサービスゲームのポイント獲得率が向上し、大きなタイトル(マスターズやグランドスラム)を取ることができれば、まさに“怪我の功名”と言えるのではないでしょうか。
注:錦織圭は、昨年8月から、手首の故障で実戦から遠ざかっていました。こういう機会でもなければ、20年以上続けてきたサービスフォームを変えるというような冒険はできなかったでしょう。さらに、たった5ヶ月でそれができたのは、錦織圭の天性の器用さなのかもしれません。しかし、新しいサービスを実戦で使えるようになるには、相当の苦労が予想されます。当面は勝てないとしても、今回の選択を貫くことを期待します。