前回と前々回のブログの続き
H子さん、84歳 初診日:平成8年11月 診断名:パニック障害
30歳代より、軽い不安発作があったが、いずれも自然寛解。
平成8年9月(63歳)深夜に突然のパニック発作に襲われた。動悸、体の震え、急激な血圧上昇、血圧の変動がみられ、その後も頻繫に発作が出現。内科や脳神経外科などで精査を受けたが異常なく、平成8年11月、当クリニック初診。初診時、発作を恐れての外出恐怖に加えて、うつ状態もみられた。ルディオミール(25)1錠、メイラックス(1)2錠、にて軽快。平成9年2月には、発作前の生活レベルに戻った。平成10年11月には、メイラックス(1)1錠だけの処方となり、生活の質も問題なかった。(デプロメールは未発売)
平成14年4月頃より、身内の不幸、夫の病気の看病などが重なったため、不眠、抑うつ気分、血圧上昇などが出現。平成14年6月より、デプロメール(25)2錠、追加投与した。平成14年8月にご主人が亡くなられた直後、久しぶりにパニック発作が頻発して、夜間救急を受診したが、次第に落ち着きを取り戻した。平成15年12月、「1か月間クスリを飲んでいません」というのを機に、治療を終了した。(迷いはあったが、本人の意思もあって)
平成20年9月、5年半ぶりに来院。「5年間は、一人暮らしの不安はあったけれど、何とかやってました」が、平成20年6月、良性頭位めまい症で救急受診してから、「一人でいるのが不安で、人と話をしていても汗がでたり、夕方になると体がだるくなる。食欲もなく、体重が4㎏も減った」という、不安抑うつ状態。デプロメール(50)1錠、メイラックス(1)0.5錠、で速やかに軽快。平成21年9月以降は、デプロメール(50)1錠、マイスリー(5)1錠、ソラナックス(0.4)0.5錠(月に4~5回、頓用「自分で今日は嫌だなと思った時」)の処方がつづいている。平成26年頃までは、何らかのストレスによって、胃部不快感を訴え、ドグマチール(50)1錠、1日2回、5日分処方することが年に2回くらいあったが、今はそれもない。
つい先ごろ、「デプロメールを3日間やめてたけれど、特に何もなかったです」と言われたので、<この薬は、パニック発作の予防、血圧の変動を無くすこと、心配性になりすぎないようにするなど、いろいろなことに効いている可能性があるので、やめないほうがよいと思う。クスリの効果は、少なくとも2週間から1か月は残っているので、今すぐにどうこうという事はありません>と伝えたところ、「それはいけません、ちゃんと飲み続けます」と即座に返ってきた。
H子さんは現在一人暮らし。84歳ながら若々しく、指導した筋トレは毎日欠かさずやる。友人と旅行に行ったり、お茶したり。一人息子に月1~2回は料理を振る舞い、お酒を酌み交わすなど、活動的な日々を送っています。しかし、老化に伴う腰や膝の痛み、友人が認知症を発症するなど、老いに伴う不安は避けがたいものです。性格的には、「くよくよする反面、あっけらかんとしていることもある。人には気を遣う」という。かつて5年半、デプロメールを服用していない期間があったけれど、生活の質は落ちていたようです。「何とかやってました」とは言ったけれど、平成20年10月、当時の内科主治医には『これまでとは見違えるようになったね』と言われている。高齢者のうつ状態や不安障害の再発は、即介護が必要な状態に突入してしまうことが多い。以上、総合的にみて、クスリをやめるリスクを取る必要はないと判断しています(手動瞑想を勧める必要もない)。