私のクリニックには、連絡簿というものがあって、そこには電話での初診予約、再診予約のやり取りがすべて記録されています。連絡簿には他にも、薬だけを取りに来た人との会話のやり取りと、その時の患者さんの様子などが記録されています。そのため、患者さんとの間での、私家版ボイスレコーダのような役割をしていて、患者さんとの間のトラブルは、最小限に抑えられています。自慢じゃないですが、その記録たるや、そんじょそこらの医師のカルテにも引けを取らないと思います。その記録をしているのが、受付のMさんとYさん。Мさんは20年以上勤めていて、2000名以上の患者さんのカルテのほとんどに目を通しています。「私が○○さんのお母さんは今どうなっているんだっけ」ときくと、「去年、老人ホームにはいられましたよ」と返ってくるので、大いに助かっています。Mさん馴染みの人の中には、Mさんを実質的な主治医だと思っている人もいます。さらに有難いのは、患者さんの待合室での言動を、つぶさに観察してくれていることです。患者さんは日によって、診察室で見せる顔と待合室で見せる顔とが、大いに違うこともありますから。私のクリニックのカルテには、連絡簿の一部分のコピーがベタベタと貼り付けてあるのは、こういう理由によるものです。

 1か月前に、あるエピソードがありました。インターネットのクリニック検索サイトに、私のクリニックの口コミが載っていた。さてこれを書いたのは誰だろう、と言うことになった。K子さんに違いないと私は思っていたのですが、Mさんに訊いてみると「私はS子さんだと思いますよ、だって日頃から・・・・・・と言っていましたし、そういうところを見ている方ですもの」と言う。言われてみると、<確かにごもっとも、S子さんに間違いありません>と脱帽せざるを得ませんでした。

 クリニックの質の良し悪しは、医者だけで決まるものではありません。それを支えるスタッフの力が大いに関係します。そんなことは言わずもがな事ですが、頭でわかるのと実感するのとでは、おおいに違います。最近になって、しみじみとそう思うようになったのは、年のせいでしょうか、それとも手動瞑想の気づきのおかげでしょうか。