Kさん、32才、通院:H 25.12.~H 28.8. 診断名:パニック障害、恐怖症
H.20.8月、20歳時、「免許の書き換えに行くために電車に乗ったら、急にドキドキで、これは危ないと思って電車を降りた」以来、電車に乗ったことは一度もなく、「ほとんど車だけの生活になった」その後も、軽い不安発作様の症状はあったが、「病院にゆくのが怖いので、なんとか耐えた。ネットでもそのようなサイトは見ないようにしていた」という。
H.25.11月、25歳頃、友人宅で、「急に動悸がして、息苦しくなり、何度も吐いた。友人が救急車を呼んでくれて、病院に行ったけれど、異常ないと言われた。以来、その時のことを思い出して、またなったらどうしよう、という思いがどんどんエスカレートしてきている。夜になると、不安なイメージがパッと起こってきて、手が痺れたりすることもある。お店でお客さんを待っているときも、何度も息苦しくなって、途中で返してもらった」という。
H.25.12.3、初診(1回目)上記のような、病歴を聴取した後、<あなたの病名は、パニック障害とも恐怖症性不安障害ともいわれるものです>と伝えた後、2枚のプリントを使って、前のブログの“パニック障害の治療(1)”どおりの説明をし、どおりの処方をして、その日の診療を終えた。
H.25.12.17、(2回目)「ドキドキも吐き気もなくなった。急に不安になることもなかった。夜も不安になることはなかつた。メイラックスは1mg 1錠にしています」とは言いつつも、やや浮かぬ顔。話を聴くと、「高校生の頃より、人ごみが苦手で、外で食事をすると吐き気がする。予約を取るとソワソワして落ち着かなくなる。人づきあいは好きだけど、深くかかわるとチョット引いてしまうし、飲み屋も周りを気にしてしまう・・・」といった、対人恐怖(社交不安障害)傾向が窺われた。追加で、ドグマチール(50) 2錠、分2、10日分を処方。この処方は、この時の1回だけですんだ。
H.26.1.14、(3回目)「よかったです。あれがけっこう効いた。(ドグマチールは会食恐怖には効く)。結婚しようと思う。彼女と食事にも行ったけど、大丈夫だった」と、初診時にみられた構えた態度が消えて、自然体で語ってくれた。<ジェイゾロフト(25) 1錠、メイラックス(1) 1錠の処方は変えないで、恐怖突入を優先しましょう>と伝えた。
H.26.3.11、(4回目)~ H.28.8.23 (18回目) 恐怖突入へと尻を叩く期間となった。
その後は、落ち着きがでて、美容師の仕事にも専念できるようになった。(お客さんに対する緊張が減った)電車も乗れるようになり、H.26.8.結婚。妻に引っ張られて外出機会がふえ、恐怖突入せざるを得なくなり、旅行にも行けるようになった。H.27.4.14.より、メイラックス(1) 0.5錠に減量、.ジェイゾロフトのみ服用となった。H.27.12.15「メイラックスは、月に2~3回、気分が重い時に飲むくらい」に。H.28.6.28、「ジェイゾロフトもたまに飲み忘れる。月に4~5回かな」と。H.28.8.23、「メイラックスは、なんかシャキッとしない時に飲む。ソラナックスは飲んでないな」を受けて、<あなたはもう、どんなところに恐怖突入しても、パニック発作は起こらないよ>と伝えた。これが終了宣言となったかもしれない。これまで来院せず。しかし、「メイラックスは、お守り代わりに手元にあったほうが安心なので、もらいにきました」と1年後に、ヒョッコリと現れるような気もする。
治療期間、2年8か月でパターンどおりの治療。<薬をうまく使って恐怖突入していき、脱感作された頃に(自分はもう大丈夫という気持ちになったら)、体に気づかれないように、無理のないペースで、クスリをゆっくりと減らすがベストです>と伝えてあったのを、その通りに実行できた。すべての患者さんが、このように上手くゆくわけではないが、精神科治療を受けるのが、当クリニックが初めてだったことも幸いしたかもしれない。ネット情報による間違った知識や、間違った服薬経験があると、治療の妨げになることがよくある。いったん思い込んでしまった、薬の知識や、治癒イメージを修正するのは結構大変なんです。
次回は、その“大変?”なケースを紹介します。