パニック障害の初期治療、(1)の続き。診察2~3回目の内容を紹介します。
2回目の診察は:初診から1~2週間後で、本人の希望に合わせます。
<どうですか、だいぶ楽になりましたか、どういうところが楽になりましたか>
患者さんは、具合の悪い部分を話したがるものですが、先ずは改善した症状について聴取することが大切です。症状が良くなっていることを自覚することで、不安はさらに軽減します。パニック障害の症状は、抗うつ薬と抗不安薬の投与で、劇的に改善します。もし改善していないとしたら、別の病気を考えなければいけないくらいです。
<クスリが飲み辛いなどなかったですか、何か感じたことはありますか>
問題になるのは、メイラックスによる眠気です。不安感が十分に消褪していることを確かめた上で、メイラックスを、0.5mg~2mgの量に調整します。(個人差があります)ジェイゾロフトは始めの2~3日間、軽い吐き気を感ずる人が、3人に1人くらいいます。(このことは、最初に処方する時に伝える場合と、伝えない場合とがあります。不安障害の人は、被暗示性の強い人が多く、副作用の説明をすると、その副作用が出てしまうことがあるのです)
<まだ良くなっていないと思うところありますか>
薬を飲んでいるので、パニック発作を再発する人は、ほとんどありません。ただ、軽い不安発作もしくは過呼吸が起こりそうだ、という人はいます。そういう人も含めて、不安発作と過呼吸への対応方法を指導します。私が言う“不安発作”は、動悸、息苦しさ、喉の詰まり感程度のものをさします。大抵は、軽い不安発作に慌てて、過呼吸をやってしまい、手足が痺れる、意識がもうろうとしてしまう、といった派手な症状が出てしまうのです。過呼吸にならないようにさえすれば、怖い症状はもう出ないということ、過呼吸は他の病気でも起こりうるもので(体の痛みがあっても)パニック発作とは別物だということを知ってもらいます。
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呼吸コントロール技法 (クリニックで使っているプリント)
不安、またはパニックの最初の兆候が現れた時に用いる。とくに過呼吸に有効です。
① 静かに、ゆっくりと、「リラックス」とか「落ち着こう」と自分に言い聞かせる。
② 鼻を通して(口でなく)息をすることを忘れないこと。
③ 6秒に1回の速さで呼吸する。3秒息を吸って、3秒息を吐く。息を吐くたびに、自分に向かって、「リラックス」と言い聞かせる。
④ 不安やパニック、過呼吸の症状がすべて消失するまで、この呼吸を続ける。
過呼吸の最初の兆候が現れた時、すぐにこの呼吸コントロールを始めれば、数分の間に静まり、パニック発作にまで至ることはありません。この技法は、練習すれば練習するほど上手になり、過呼吸やパニック発作をうまくコントロールできるようになります。目指すゴールは、不安やパニックが襲ってきても、冷静さを保ち、パニック発作が起こらないようにすることです。
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昔は、袋をかぶることが推奨されていましたが、窒息の危険があるということで、現在は使われません。この技法は、不安やパニック、過呼吸の症状のみならず、不安や緊張を感ずるあらゆる場面で活用できるので、不安障害の人すべてに習得してもらっています。不安障害の人には、普段から胸式呼吸になっている方が多いので、腹式呼吸の指導や、呼吸コントロール技法では、息を吐くことを強調する必要があります。
3回目の診察までに、不安抑うつ状態がほぼ消失して、クスリの副作用も感じない、というところまでもっていきます。私の処方パターンで最も多いのは
ジェイゾロフト(25) 1錠
メイラックス (1) 0.5錠~1錠
夕食後、又は眠前、又は朝 服用 (患者さんと相談して決めます)
ソラナックス(0.4)1錠 (恐怖突入用)
4回目以降の診察内容は、次回に