最新作『LOST』における実写合成と仙術ぷち | けるまん堂 あめーば支店

最新作『LOST』における実写合成と仙術ぷち

今回の新作の特徴の一つが「3Dステージ未使用」「実写背景縛り」があります。
一つめについては「必要がなかった」「時間を掛けたくなかった」という2つの理由からです。
2つ目の実写については、自身が立ち上げたコミュニティ「ニコマス実写系合成部」用の
動画を作りたかったからです。

さて、コメントを頂いた中で「実写合成がすごい」「髪揺れが謎」といったお褒め?
をいただいておりますので簡単ではありますが解説的な記事を書いてみます。

まず最初にお断りして置かなければならないのは
私はそういった合成に関する専門の勉強をしたことがないということ。
つまりはほとんどが自己流です。
いろんなサイト様を参考にさせていただいておりますが、基本は素人です。

また、「逆光」については同期の方からの技術提供であり
詳細についてこの場で語ることはできませんのでご了承ください。
さらに、AEでの作業のお話となっていますのでご了承くださいませ。

で、今回取り上げるのはこのシーン。

けるまん堂 あめーば支店-rayers
いおりんの髪が風になびき、後光?がさしている神々しいシーン。
レイヤー構造については上の写真をよく見ていただくとして…。
いや、一応説明しておきますと
いおりんコンポジション・背景レイヤー・ライトレイヤー・プラグインエフェクト用平面レイヤー
から成り立っています。
いおりんコンポジションについては後述。


まずこちらがエフェクトの全くない状態。
けるまん堂 あめーば支店-befre

そしてこちらがエフェクトかけまくったあと。
けるまん堂 あめーば支店-after

まず背景レイヤーですが、大木をマスクで切り取っています。
これは背後の景色と大木で別々のエフェクトをかけるためです。
こんな感じでマスクしています↓
けるまん堂 あめーば支店-BG mask
これで大木レイヤーと背景レイヤーが出来上がったわけですが
それぞれに、以前の記事でご紹介した方法でソフトフォーカスをかけています。
(合成のお話その1参照
そして背景の方が大木よりボケて見えるようにわずかにブラーを多くしています。

ライトレイヤーについては別売りプラグイン「Optical Flare」を使用するためだけに配置しており
ライトとしての機能は全てOFFとなっています。
このプラグインで後光と虹のようなリングを作っています。
プラグインの中では比較的安価な部類に入る割にはいろいろ使えるので
購入を検討するのも良いかもしれません。

背景については以上で、次はいおりん。
いおりんは上記背景と同様の方法でソフトフォーカスをかけて
さらに「逆光用レイヤー」を一番上に重ねています。
これは半透明のグレーのいおりんの形をしたものだと思ってください。
単純に透明度・彩度・明度をいじるだけでも同じようなものができます。
そして、その逆光レイヤーの上に「カラーカーブ」を適用した平面を重ねて
そのレイヤーを逆光レイヤーで「ルミナンスキーマット」にしてあげることで
逆光レイヤーをグラデーションに仕上げています。
頭のほうが明るく、足元は暗く、ですね。

この手法は明るいシーンも含めほぼ全てで適用しています。
ライトを使って影をつけるよりも階調がなめらかで調整もしやすく、比較的負荷も軽いので
おすすめです。

で、今までの手順を振り返るとよく言われている「色調補正」がありませんね。
このシーンでは必要なかったというのもありますが普段からほとんど色調はいじりません。
やるとしたら最後にフィルターをかけるくらいでしょうか。

私的に実写合成で大切なのは「質感調整」だと思っています。
具体的にはソフトフォーカスであり、ブラーであり、ライティングです。

アイマスキャラはBBで抜き出した場合フィルターも外れてトゥーン丸出しになりますよね。
それを上記の手順で馴染ませていくだけです。
パラメータが多すぎると分かりにくくなってしまいますので少しづついじって
どれがどういう効果を生むのか確認されるといいと思います。

偉そうなことを書きましたが私自身まだまだ研究の途中です。
今後もっといい方法を発見できるかもしれません。
これが合成の楽しさかな~と思っていますw


長くなりましたがお次は髪揺れ「仙術ぷち」です。

髪揺れだけなら「仙術」を名乗るのはおこがましいのですが
今回は静止画に「動画の瞬き」を合成しているんです。
そのあたりが仙術ぷち(それでも大それてるw)!
また、髪揺れについてもKenjoPのブログ記事を参考に
「ベジェワープ」エフェクトをメインとしています。
地上人が仙人の真似事に挑戦するはじめの第一歩、と思ってくださればw

手順の説明です。
まずは使いたい静止画を用意し、それをフォトショップなどでレイヤー分けします。
けるまん堂 あめーば支店-iori parts

具体的には「多角形選択ツール」を使用して切り抜き、
欠けている部分については自分で描いていきます。

そうして出来上がったものをAEにコンポジションとして読み込みます。
普通にファイル>読み込み>ファイルでPsファイルを選択し
編集可能なレイヤースタイルで取り込めばOK。
ただし「レイヤーサイズを維持する」で。
これを忘れるとベジェワープで泣くことになりますw

で、髪やスカート、うさちゃんのみみを揺らすのですがこれは「適当」ですw
髪揺れの場合は1.5秒程度で往復させるとそれなりかもしれません。
このあたりは経験値を稼いでいくしかありません。
実践あるのみ!!

でキーフレームを打ったのがこちら。
けるまん堂 あめーば支店-key frames

たくさんあるように見えますがけんじょさんの白ワンピに比べたらめちゃくちゃ楽ですw
静止画は動きませんから。(名言)

そしてお次は瞬きの再現。
前奏の部分でいおりんが目を開くシーンは手で描いたのですが
こちらは別のシーンから顔の大きさ・向きが近い瞬きを探してきて
マスクして貼りつけています。
けるまん堂 あめーば支店-eye mask01

これが実はクセモノでわずかではありますが顔の向きが変わっていってしまうため
そのままでは福笑いにしかなりません。

そこで、位置・スケール・回転のパラメータにキーフレームを打って
元の瞳の位置から大きくずれないように、違和感をなくしていきました。
スケールについてはXYは分割して動かしています。
実際は一瞬なので手間はそれほどでもありませんでした。
けるまん堂 あめーば支店-eye mask01

そして最後にいおりん全体を左右に3ピクセルほど揺らして完成です。
こうしないと直立不動で不自然極まりないですからね。


こういうのを1分30秒分とか続けてしまうとか
私にはとても考えられませんw



すごく大雑把な説明でしたがいかがでしたでしょうか。
「ぜんぜんわからねーよ!」とか「それはちがうだろ!」などの
ご意見やツッコミがありましたら遠慮なくお願いいたします。