チェロ・ソナタ 第3番 イ長調 作品69
ヤン・スンウォン(チェロ)
エンリコ・パーチェ(ピアノ)
【録音】
2021年9月8-10日、19-20日
ドイツ、ノイマルクト、ライトシュターデル
私は、『男らしさ』という言葉は、余り好きではない。むしろ『女々しい』と言われても一向に構わない。
しかし、長い人生には一度位『男らしく』ありたいと意識した思い出は、誰にでもあるのではないでしょうか?
私にとって『男らしさ』という言葉に最も合うと思える曲は、ベートーヴェンのチェロソナタ第3番です。
この豪快でしかし繊細な魂の叫び声、孤独な魂の悲しみ、心の震えは、いくつになっても心を揺さぶられます。
余りに有名なこの曲、有名な名盤も無数にありますね。私もそれらの中で、永らく『フルニエ&グルダ盤』を愛聴していました。
最近の演奏を聴いてみたくなり、『NAXOSミュージックライブラリー』で聴きかじってみて、今回はこのヤン・スンウォンとエンリコ・パーチェの演奏に強く心が惹かれました。
曲は孤独のモノローグから始まります。これ以上落ちようのない奈落の底から暗くしかし雄渾な歌が生々しく立ち上がってきます。
もはや、楽器の枠を超えて、壊れそうな爆音の後の『すすり泣き』は只々一緒になって泣くだけです。
最終楽章の力強い復活の音楽を聴き終えると、何か特別な体験をしたような軽い疲労感を伴った幸福感に浸れる時間を迎える事ができます。
ヘッドホンは、今日はMDR-Z7です。
自作のmogami2893バランスケーブルにリケーブルしてあります。
最近イヤーパッドも純正の新品に交換しました。小さなネジを脱着するだけで簡単に交換できました。また、ヘッドパットも磨耗してきたので、レザーでカバーを作って使用しています。