HPH-PRO500で聴くベートーベン3大ピアノソナタ | angsyally1112のブログ

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ルードヴィッヒ・ヴァン・ベートーベン
ピアノソナタ
第8番 ハ短調 Op.13「悲愴」
第14番 嬰ハ短調 Op27-2「月光」    
第23番 ヘ短調 Op.53「熱情」      
ピアノ:エミール・ギレリス  
(1973年、1980年録音)

「悲愴」ソナタと「月光」ソナタを初めて耳にしたのは私がまだ高校生の頃です。
当時はレコードなど買える筈もなく、付録のソノシートを、拾ってきたようなボロボロの蓄音機で聴いていました。
あれからもう50年経ちましたね。  
その後この3大ソナタと呼ばれる3曲のソナタを多くの演奏で聴いてきました。
特に記憶に鮮明なのはホロヴィッツのモノラル録音です。
その録音を聴いたとき初めてこの3曲の凄さに触れた気がしました。

その後の50年の音楽ライフの中では、やはりこのギレリス盤が、一番良く聴いてきました。
たぶんベートーベンの時代の原音とは程遠い響きと思います。(その点なら、グルダの方が音質としては近いのかも知れません。)

この決然とした容赦のない金属質といってもよい強烈なアタック音は、脳髄を直撃してきます。悲愴ソナタに込められたこのどうしょうもない憤りと悲しみ この演奏以上に正に悲愴と呼べる演奏を知りません。それでいて、どこか覚めた冷徹なまでの構築感がこの演奏に凄みを与えています。
しかし、打って変わったような第2楽章の美しさ、そして中間部の強烈な盛り上り、そして静寂、突然時間が止まったようです。

月光ソナタはその第2楽章を引き継いだようにゆったりとしたテンポで誠に幻想的でロマンチックな世界を聴かせてくれます。

「熱情」ソナタはこの曲の代表的名盤として多くの人から讃えられ敬愛されてきた名演だけに私からは何もつけ加えられるような言葉は思い付きません。しかし、こんなに強烈な音が全てコントロールされ決して濁ることがないという超絶技巧、もう神業ですね。  
むしろもう少し乱れても良いから温もりのようなものが欲しいと思うのは、私の贅沢な独り言なのでしょうか。  

今日は、この強烈なCDをHPH-PRO500で聴きました。このCDを聴く為だけに購入したとしても納得できる素晴らしさです。
最初の第一音から他のヘッドホンとは全く異なる格の違いを見せつけてくれます。
まるで目の前でギレリスが弾いてくれているようです。


YAMAHA HPH-PRO500です。
さすがにYAMAHAのヘッドホンですね。
生ピアノの音なら、今のところこれ以上のヘッドホンはないでしょう!