「悪貨が良貨を駆逐する」は、経済学者、トーマス・グレシャムが残した「グレシャムの法則」と呼ばれるもので、金の含有が5グラムの金貨と、金の含有が10グラムの金貨が同一貨幣の場合、当然5グラム含有金貨が主流となり、10グラム金貨は消え、5グラム金貨2枚に置き換わって行く。

 

 一般社会において、不純(悪貨)な物や体質が、純正(良貨)なそれらを押しのけて蔓延(はびこ)ることの比喩として使われることの多い表現だが、人間の本質(欲)を鋭く突いていると言える。

 

 通常国会は閉幕を迎えつつあるが、今国会の目玉政策、「政治資金規正法改正」は、政治家の不透明な金の流れを抑止(禁止)する効果は全く期待できないデタラメ法案として成立した。

 元はと言えば、安部派を中心とした自民党議員連中による「パーティー券販売」のキックバック分不記載~裏金作りの犯罪行為露見が発端だが、自民党議員幹部からぺ-ぺー議員に至るまで悪びれた様子は全然伝わって来ない。また、殊勝な態度や反省の欠片も全く見られない。

 表向き、襟を正し、政治不信を払しょくする、との姿勢を見せただけの三文芝居だった事が良く分かる。

 

 国会論戦の印象として、自民党が改革に後ろ向きなのは良く分かったが、「踏まれても 付いて行きます 下駄の雪」、と揶揄される公明党も存在の軽さが露呈。結局は同じ穴のムジナ同志、持ちつ持たれつの親密な関係継続が優先された。

 「よ」党と「や」党の間、「ゆ」党と呼ばれる維新や国民民主の自民党寄りは分かっていたが、「や」党、立憲民主党の幹部二名(幹事長の岡田某、選対委員長の大串某)がパーティー禁止法案提出のさ中、自ら政治資金パーティーを強行しようとした暴挙には開いた口が塞がらない。

 そもそも、遵守する気の無い法案など出すなっ!、と怒鳴り付けたい。

 こうした覚悟無き支離滅裂な所業に、与野党共国会議員の質の悪さが今も昔と変わらないことが良く分かる。

 

 国会議員の本分は、国家国民の安寧と幸福を追求する事だが、今の国会議員は、自身の議員としての立場保全や当選(選挙)の心配、自らの安寧と幸福追求が中心だ。

 今回の「政治資金規正法改正」で、公明党が唯一突っ張ったとされるパーティー券20万円以上が5万円以上記載となった部分はアリバイ作りのためだ。

 これとて、パーティーの回数を増やせば多少経費や煩雑さが増えるだけで、議員の実入りに大きな差異はない。

 自民党議員は、何はともあれ「政治には金が掛かる」、の一点張り。

 自民党の長老達(副総裁の麻生某、幹事長の茂木某)は細やかな公明党案(パー券記載金額の引き下げ)了承でさえ「ブンむくれ」だそうだ。

  この長老連中は世間を、納税者である庶民を敢然と舐めてないか?、馬鹿にし過ぎだろう。

  貴方達国会議員の豪勢な生活を支えているのは一般庶民の納める血税。

 その事実を一度でも真剣に考えた事があるかあ・あ・あ・⤴?。(怒)

 

 衆議院選挙においては地方組織を束ね、集票組織にするには私設秘書が必要だと言われている。そして、その私設秘書の数が多ければ多い程集票効果が上がるとも言われている。

 秘書一人年間400万円とすると、10人で4,000万円、20人だと8,000万円の人件費が必要になる。50人の秘書を雇って組織固め(集票)に当たらせると年間2億円の人件費が必要だ。確かに銭が掛かるわなあ~。(驚)

 数十年前の話になるが、当時の衆院選で「五当四落」と、マスコミ報道で言われた時代があった。五億円使えば当選だが、四億円だと落選の意。

 日本社会の根底に根付く金権選挙の悪しき慣習。

 公共の電波を使い、金権選挙の実態を何等批判する事もなしに恥ずかし気もなく垂れ流した負の遺産は、今も大手を振ってまかり通る始末の悪さだ。

 与野党問わず、程度の差こそあれ、これが我が国国政選挙の基本構図。

 ここでは、宗教団体(公明党等)や思想団体(共産党等)の組織票は除外する。これらは、有権者自らの揺るぎない意思で投票するから、手間暇(組織、票固め)不要だ。

 一方、それ以外の有権者はその時々で如何様にも変化するため、票固め(組織固め)が必要となる。そして、当選するためには多くの私設秘書イコール多額の金員が必要との図式。

 

 ここで疑問なのは、組織票の取りまとめが不要な参院比例区の安部派議員が多数裏金作りに手を染めていた理由は何~んだ?

 

 ところで、民主主義(選挙)の原則、公平、公正の論理に立ち返って考えてみたい。

 お抱えの私設秘書数が多い程当選の確立が高くなるのは従前の記述で示した通り。公平、公正とはかけ離れた選挙の現実だ。

 与野党国会議員はこぞって、当選するための最善の方法として私設秘書の活動を最も重要視しており、資金力があればより有利になると言う計算。

 資金力があれば有るほど選挙では有利と考えられる状況も、これが、公平、公正を原則とする民主主義的選挙と言えるか?。

 

 これは民主主義政治ではなく、金主主義政治だろう。

 

 どう考えても絶対に是正が必要だ。

 民主主義選挙の公平、公正を担保するために、まず、私設秘書(選挙活動に関わる全ての人材)の人数制限が必要だ。議員一人につき何名以下と定める。合わせて、パーティーや企業団体、個人献金は全てOKとするも、収入と支出は全て書類添付を義務付ける。政策活動費や旧文通費も支給継続なら領収書添付の収支報告書公開を義務付る。また、政治家は個人事業主故、一般社会における、個人事業主と同様の扱いにすればより分かり易くなる。

 合わせて、政党支部は全て廃止、口座は議員個人のみに限定、会計責任者は議員本人とする。これで面倒な連座制なども不要になる。勿論、会計の実務者は置いて構わないが……。

 これら政治資金関連法案に違反した場合は生涯公民権停止だ。

 国会議員は、国民血税の禄を食む身なればこそ、清廉潔癖が大原則だろう。

 

 何とか楽に金を集め、国会の仕事?(審議中寝てる議員がいかに多い事か)も楽に、政治より性事に邁進、が自民党国会議員の多数を形成?。

 

 形だけとは言え、民主主義的選挙を金主主義的選挙に変えても恬として恥じない自民党を中心とした国会議員のセンセ方。

「恥を知れっ!!」、と怒鳴ってみたところで、カエルの面に何とやらだろう。

 

 次期総選挙では、党と候補者の両方を良く吟味した上での投票が望まれるよなあ~。(期待)