深呼吸を為る時
日常、無頓着に過ぎて行くモノ
其麽コトは、不似合いだ と言われるが
不図した瞬間に、私の鼻は擽られる
帰り路、八百屋の前を通り掛かる
未だ 活気の有る店内
路上に 食み出す程に置かれた
彩り豊かな、旬の果物や野菜
目にも眩しい 鮮やかな光景
其処で 一呼吸
大型店舗では、凡そ得られない感覚である
花屋の前迄来る
静かで 落ち着いては居るものの
切り花や、花束
小さな鉢植えに実った、小さな果実
矢張り 其の華やかさに
暫くの間、足を止めて了う
沈丁花の 甘い匂い
有毒の実が生るが
私が 最も春の訪れを感じる匂いである
何処からか 漂って来る其の匂いに
深く、大きく息を為る
花、果物や 野菜の匂い
都会では、売られて居るモノ以外
目に為るコトは少ないが
深呼吸を為るコトで
季節の薫りで、其の移り変わりを感じる
亦一つ、歳を重ねた とも考えるが
然し、私は
私の想いは曇らず、変わらず 今も其処に
沈丁花の 花言葉は
『栄光』『不死』『不滅』『永遠』
である
Incluso la muerte no puede separarnos.