おおよそひと月ほど前、とある企業が長年の歴史に終止符を打ちました。

上越クリスタル硝子株式会社という、群馬県の北部のみなかみ町に所在を置く企業です。
主に「月夜野びーどろパーク」という名前で広く周知されていると思います。




私がこの企業に出会ったのは、2011年の春、同じ町内の会社に就職が決まり、家族でみなかみはどんなところなのかと訪れたときでした。
その時に「きれいなガラス屋さんだなぁ」と感激し、何十分も店内に滞在したのはいい思い出です。





その後、私は18年間住んだ千葉県を離れ、みなかみ町にて初の一人暮らしを始めました。
当時は車もありませんでしたので、関越交通のバスを使い、月夜野にあるベイシアやカインズなどに出かけ、さらには沼田まで足を延ばしていました。
びーどろパークの存在がきっちり頭にあった私でしたので、みなかみにて生活を始めたすぐにこちらに訪れました。


「何回見ても美しい。いや、まだ2回目だけど、なんだこのキラキラ感は・・・」と心をわしづかみされ、月2回はバスを使い、びーどろパークに行っていました。
そこの売店に売っていた、かみかみこんにゃくも好きでしたので、ガラスを買うのではなく、お菓子を買うという・・・。

確かあの時は来客が多かったと思います。車が結構止まっていましたから。


懐かしいです。毎日がとっても新鮮でしたね。ずっと海を見て暮らしてきた自分が、今度は山の景色を見て生活をするんですから。




びーどろパークの店内はオルゴールがかかっており、本当に見ても癒され、耳でも癒され。

店員さんたちの雑談も、私は結構好きでした。

あの和やかな感じ。人はコミュニケーションをとってなんぼですからね。

ただ製品がちょっと高く、当時の私にはあんまり手が出せませんでした。 




でも、給料が入り、余裕があるときはコップを買っていました。

父の日や母の日のプレゼントも必ずここで買っていました。


ゼルダの伝説で、「びーどろ」という存在は知っていて、それを母の日用と自分用に買いました。

息を吹き込んだり吸い込んだりして「ぺこん、ぺこん」とガラスを鳴らすのは、結構衝撃でした。

つい最近まであったのですが、私用が先に壊れ、母様が次に壊れてしまいました。

やはり可動部の底が壊れやすいですね。



ちなみに現在現役なコップは、自宅で3つ。泡の立つビールグラスも、前に買っておいてよかった。

ガラス細工に当たりはずれがあるのか、壊れてしまったものもありますし、もう10年以上使ってるものもあります。

落としても割れないっていうね。

飲み口が柔らかくて、月夜野びーどろパークのコップは好きです。




さて、私の話が長くなってしまいましたが、11月3?5日に、閉店セールをやっていて、最後に店内に入ることができるチャンスがありました。




地元でも知らない人がおり、どうやらネットで発信されたセールのようでした。

もともと私は11月5日から栃木県の那須に行く予定でしたが、これを妻と話し合いキャンセルし、急遽みなかみ旅行に変更し、びーどろパークに行きました。

11月5日、もう製品は残ってないかと思いきや、店内にはたくさんの商品が並べられておりました。

欲しかったガラスコップは購入しましたが、本命の急須はすでになく、月夜野ビールもありませんでした。

入口のガラスには告示書が。



これを見るのは実に2回目。みなかみの会社に入る前の会社が倒産し、突然解雇になりましたから。

私は解雇されたとき、突然夜間にたたき起こされ、倒産を知らされ、明日から働けないとの連絡を受け、職場に行けなくなりましたね。

おそらくここもそうなんだろうなと話を聞くと、やはりそうでした。

10月1日に閉業しましたが、この日に隣接するレストランに出勤したという女性が、何も知らされず突然解雇されたとのことでした。

みなかみ町長も突然に閉業を知ったとのことで、本当に上層部しか知らなかったんでしょうね。

給料も未払いのままだとか。

私は詳しく知らないのですが、こうやって告示書が張られた場合、書かれている通りに前橋地裁の所有物になるとのことですが、前橋地裁が金になるものをすべて売りさばいて金にするんでしょうか。


それよりも、今まで月夜野びーどろパークを支えてくれていた方々には頭が上がりません。

あのガラス製品たちはどうなるんだろう・・・。外にある通路のガラス玉はあのまま廃棄なのだろうか・・・。だとしたらお金出すから購入したい。




月夜野びーどろパークは私の思い出の場所です。こんな終わり方で寂しくてなりません。

5日にもっと買いたいものがあったけど、時間がなかったからなぁ。

6日や7日も前を通ってみたけど、入れる様子ではなかったので素通りしました。

まぁ、もう何を言っても後の祭り。

妻に「もう買わないの?二度と買えないんだよ??」という言葉に対して「いやぁ、金がかかるからさ」と貧乏性がもろに出てしまいました・・・。

もし機会があるならば買いたいけどなぁ。


さて、あまり長ったらしく書いても意味ないから、そろそろやめよう。

最後になりますが、本当に月夜野びーどろパークで働かれていた皆様、今までお疲れ様でした。

そして、当時10代の私に癒しの場をありがとうございました。30になった今でも、当時の思い出は忘れません。
この先、40,50になっても同じく忘れないでしょう。