昭和14年にわずか8ヶ月だけ滞在していたところですね。期間は短いにもかかわらず、居酒屋の聖人のようなエッセイ作品ではそれなりにインパクトの強い土地になっています。ご地元の教育委員会作成の立て看板にもしっかり書き込みされています(長禅寺の石段の下にありました)。
そしてこの立て看板を正面にして、すぐ左を向くと、道路が山裾の端をを沿うようにカーブを描いているわけですが、おどろいたことにいまなおその当時の酒屋さんが残っています。
この赤錆トタンの民家が、当時「トンパチ」と称されたいわゆる角打ちの現場のようです。ここだけが再開発されず、残っているのは奇跡的なものですね。もちろん再開発したくとも、山は削らなくてはならないし、しかし、その山の上にはお寺(長禅寺)があるわけで、とても一筋縄ではいきませんね。手を付けることもできずに、残ったのではと思います。
地酒製造&販売の田中酒造です。歩いてすぐとなりにあります。これももちろん当時からの建物でしょうね。
このセントラルホテルが、当時下宿していた取手病院の場所のようです。もちろん当時の面影はしのぶよしもありません。
最後は利根川沿いの堤防に来てみました。
この取手という町は、周囲に高い山も高いビルもないので、空がすごい広い感じがしますね。空と雲と、流れる川が見えるだけ。静かで住みよい土地で「ふるさと」な趣はあろうけれども、中央の雑誌に文章を発表されている安吾さんとしては、なんだか取り残されてしまった気分も誘ってしまったのかなと思ったりします。
というわけで、つかの間の取手訪問はここまで。中の人も鉄道にのって、静かに立ち去ったのでした。
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居酒屋の聖人
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