そうこうしている間に・・・
さっきまで2階のお宅のベランダ脇に居た一羽は
姿を消していた。
念のため、住人の方に、
雛鳥がベランダに身を潜めていないか
調べて頂いた(居れば一緒に巣にかえそうと思い)が、
見つからなかった。

そして、ダンボールの中の二羽。
疲労からか、かなり弱ってきている様子。
まさみさんが、お店から持ってきたごはん粒を
お箸で口元へ運ぶが、やはり飲み込もうとしない。
これは一刻も早く巣に返してやらないと。

そして、掴もうと手をのばした瞬間、
先程まで頭上で鳴きながら旋回していた親鳥がパタパタと
私達のすぐ頭上まで舞い降りてきて
なんと、一羽の雛がそのまま親鳥に挟まれて
一緒に上空へ飛び立っていった!

でも、まだ距離は飛べないようで、
雛はすぐ向かいのビルのヘリに捕まっている。
休憩してたのかな・・・その直後、また小さな翼を拡げ、
ビルの屋上へと飛び去って見えなくなった。
感動の一瞬だった。
思わず居合わせた皆で、「わぁ~!」と拍手が起こった。

さて、残った一羽。
この子は、ミーミーと羽を膨らませて鳴くばかり。
飛ぶ仕草は見せるが、ダンボールの壁にぶつかっては落ちる。
末っ子なのかな・・・成長が一番遅かったんだね。

早速、業者さんが高さ10mほどはあろう長いはしごを拡げ

木の横にある建物の壁にもたれさせ、
女性と男性が足元を支え、もう一人の男性が
雛を抱えて一歩一歩踏み外さないよう注意しながら登っていく


その様子を見守りながら、足元を支えていた女性が
話してくれた。
「私も以前、自宅に迷い込んできたヒヨドリの雛を
保護したことがあるんです。
二週間ほど、エサや水をやってみたけど、
残念でしたが、最後は死んでしまったんです。
やっぱり、一度人の手にかかると、野生の鳥は育たないよう
ですね・・・。」
でも。
今回彼女は、一報を受けて、直ちに飛んできてくれたのです。
そのお気持ちが本当に嬉しかった。

さて。
やっと巣まで辿りついた男性が、そっと雛鳥を巣に
戻してくれた。

一部始終を、頭上の電線にとまり見守っていた親鳥たち。
相変わらず、キーキーと不安そうな声をあげている。
「もう大丈夫だよ。あとはよろしくね。」


んん~・・・・
果たして親鳥は雛鳥の元へ帰ってきてくれるのだろうか。

その日の夕方。
スイーツの注文品を届けによしみ亭に行くと、
ご主人が、
「さっき、親鳥がエサやりに来てたよ。」
え、そうなの?!
ヤッタね!
(((o(*゚▽゚*)o)))

閉店後、
巣の様子を見に行くと、
雛鳥が巣から出て木の枝につかまっていた。
ミーミー。怖いよ~。
親鳥は近くのビルの屋上から見守っている。
キーキー。早くここまで飛んでおいで。

翌朝。
巣は空になっていた。

開店準備をしていると、
ヒヨドリが一羽、店先に飛んできた。
あ、あの親鳥だ!

すぐに大空へ飛び去って行った。
何か言いに来てくれたのかな。

忙しい商店主の方々が、
心をひとつに、力を合わせてくれた。
心温まる、ある夏の一日でした。

・・・ヒヨ、大きくなるんだよ。