『米バイデン大統領「日本は外国人が嫌いだ」発言に日本政府が抗議』
(配信 2024年5月4日 日テレNEWS NNN)
アメリカのバイデン大統領が1日、「日本は外国人が嫌いだ」などと発言したことに対し、日本政府が抗議の申し入れを行ったことが分かりました。バイデン大統領は1日、アメリカの経済成長は移民が支えていると強調した上で、日本を中国やロシアと並べ、経済的に問題を抱えているのは「外国人が嫌いで移民を望んでいないからだ」などと発言しました。果たして、本当はどうなんでしょうか?
日本の外国人労働者は世界有数の規模⁉︎
日本は長らく厳格な移民政策を採用してきましたが、近年では外国人労働者の受け入れを拡大しています。
経済協力開発機構(OECD)によると、日本に3カ月以上滞在する外国人は2018年に50万人を超え、現在では180万人以上の外国人労働者を抱え、世界有数の規模と言われています。特に外国人技能実習生の増加が顕著で、技能実習制度を活用して外国人労働者を受け入れています。ベトナム、中国、フィリピンからの労働者が多いです。
2019年に導入された特定技能在留資格は、外国人労働者を受け入れるための制度です。特定技能1号と2号の2つのカテゴリがあり、技術や職業スキルを持つ外国人を受け入れています。特定技能2号は、さまざまな分野での外国人労働者を対象としており、最長3年の滞在を可能にしています。日本の労働力不足を解消する役割を担っています。
また、日本では「多文化共生」を推進していて、外国人と日本人が共に暮らせる社会を目指しています。外国人雇用サービスセンターやハローワークなどで、外国人労働者の就労支援や相談窓口を提供しています。地域における「多文化共生推進プラン」の策定を進めていて、「多文化共生アドバイザー制度」が実施されるなど外国人との共生を進める取り組みがされています。
ウクライナ避難民は日本で就労できていない!
それでは、避難民として日本に滞在しているウクライナ人についてどうでしょうか?日本財団が実施したアンケート調査では、ウクライナ避難民のうち60.9%が「働いていない」と回答しています。一方、避難民の約65.5%が「ウクライナの状況が落ち着くまで、しばらく日本に滞在したい」と回答しており、4人に1人は「できるだけ長く日本に滞在したい」と定住の意向を持っています。しかし、長期滞在を希望するウクライナ避難民に対して、就労機会を提供できてないことが明らかとなっています。
2023年12月から、政府は、ウクライナ避難民などを念頭に、難民条約上の要件に該当しないけれども、帰国が困難で保護が必要な外国人に対して、「補完的保護対象者」の在留資格が与えられるようになりました。「補完的保護対象者」は、日本での長期滞在を見据えて支援され、日本語教育や生活ガイダンスを受けることができます。「定住者」として最長5年の在留許可が与えれます。これにより、希望するウクライナ人の日本での安定した滞在が可能になりました。
しかし、ウクライナ避難民の雇用に関しては、十分ではありません。特定技能2号の在留資格をウクライナ避難民に切り替えて、就労を認める方針もありますが、特定技能制度の対象分野や就労条件について、調整が必要となります。
日本語の習得が障害⁉︎
ウクライナ避難民の就労については、日本語が一番の障害になっているようです。私の勤める会社でもウクライナ避難民を雇い入れていますが、当社の場合、英語が話せれば仕事ができる部署で働いています。普通の中小企業だと日本語が話せないと難しいでしょう。
商社だったら、日本語を話せなくても、英語が話せれば、十分に働くことができる部署はあると思いますが、そういう場所で働いているウクライナ避難民の話はあまり聞こえてきません。国際部門を持つ大手企業がもう少しウクライナ避難民の雇用に積極的なってもいいんではないかと思います。
ところで、ウクライナ避難民にお金がどれだけ使われているかご存知ですか?ウクライナ避難民には、1人年間100万円の生活費が日本財団から支給されています。また、都営住宅をはじめとする公営住宅に居住するウクライナ避難民に対して家賃はただになっています。その資金は、主に私たちの税金から支払われています。ウクライナ避難民の方には、早く働いてもらい日本社会に貢献してもらわなければ、私たちにとっても損失です。
労働力が不足する今の日本においては、日本に長期滞在を希望するウクライナ避難民の定住を支援し、働いてもらうことは重要です。そのために、日本語教育、生活ガイダンスの提供や日本の社会や文化に適応するためのサポートが必要です。
「外国人が嫌いだ」なんて言ってる場合じゃない!
一方、冒頭、アメリカのバイデン大統領が、「日本は外国人が嫌いだ」などと発言したことに対しては、やはり、的を射たものではないように思います。私の周りでは、そんなこと言っている人を聞いたこともありません。外国人労働者は、もう身近な存在なのです。私たちの日常生活は外国人労働者に支えられているます。
現在、180万人(人口の2%弱)の外国人労働者ですが、政策投資銀行Gによると、必要な外国人労働者は、2030年に356万人、2040年位は632万人と推計されています。それだけ私たちの生活を支えるために、外国人が必要とされているんです。そういう状況では、今の極端な円安も心配です。外国人労働者が日本に来てくれなくなったら大変です。
だから、日本は「移民を望んでいない」わけでもありません。「外国人が嫌いだ」なんて言っている余裕は、今の日本にはないんです。バイデン大統領殿、わかっていただいたでしょうか?