はじめまして新メンバー候補のKIKOと申します。

初めて記事を書かせていただきます!

ある晩大野さんからLINEが来ていた。

私は大野さんの職場の後輩で三年程一緒に働いたが、お互い六月に仕事を辞めるため、二人とも現在もれなく有休消化中の暇人なのである。

最近遊びすぎてるし知らん人いるしどうしようかなぁと迷い、とりあえず一晩LINEを寝かせることにした。

次の日になると、釣りをやる機会なんて中々ないし、せっかく誘ってくれたし、なんでも経験だよね、と就活もろくにせず遊びに行く自分に割と真面目に言い聞かせ、行くと返事した。

寝ると人は考えが整理できるが、整理した結果が釣りとは、やれやれ自分と言う感じである。

当日、待ち合わせ場所に行くと、大野さんの友人とやらがいた。

挨拶もそこそこに私が後部座席、友人は助手席、大野さんは運転席という配置で我々は熱海へ出発した。

後ろから二人の話を聞いていると、どうやら友人は◯ツヒ◯という名前であることを知った。

珍しい名前だな、と思った。

しかもこの方も特殊な仕事ゆえに、現在はほぼニートみたいなもんだと言う。

類は友を呼ぶとはこういうことだろうか。

そうこうしてるとあっという間に暇人三人を乗せた車は目的地に着いた。



どうやら堤防から釣るスタイルらしい。

そーだ、大野さんは船に乗って釣るタイプじゃないんだった、と前に連れて行ってくれた時を思い出した。

だが、内心ちょっと船にも乗ってみたかった。

二人がせっせと準備をしてくれ、いよいよ私の人生二度目の釣りが始まった。

前回から半年程経っていたため、釣竿の扱いも全然覚えていない。

ヘルプヘルプって感じでようやく海に糸を垂らすが、思いの外堤防が高くて怖かった。

が、すぐに何か引いてる感触があるので急いで巻くと「もうちょっとスマートに巻いて」と大野さんに叱られ、魚も逃げていた。

再度餌を付け直し、糸を垂らすとまたも直ぐに引きがある。

今度は気持ちスマートに巻くと、金魚みたいな魚が釣れた。



やった〜!と喜ぶが、ここから、ほぼこの魚しか釣れないではないか。

早くも飽きを感じる私を他所目に、◯◯◯コさんは新調した釣竿を日本刀かのように振り回していたのが印象深い。

それでも糸を垂らし続けると、小さい鯵がつれた。

やっと違う魚が見れて気分も良くなった私は、コンビニで買ったとろろ蕎麦を食べて休憩した。

こう言う所で食べるとろろ蕎麦ってなんでこんなに美味しいのだろうか。



二人に蕎麦いいなと言われたが、さすがにあげなかった。

その後しばらくはあの金魚しか釣れないまま時間は過ぎて行った。

終盤に差し掛かる頃、餌を今までのオキアミから、釣った金魚と鯵にし、大物を狙おうということになった。

しばらくぼーっと待っていると、何かがかかった。

急な魚の登場にえ、え、、とあたふたする私に代わり、大好きなタバコを捨て、やって来た大野さんが釣りやすいようにアワセとやらを入れ、私にバトンタッチした。

その横で◯ツ◯◯さんが網を持ってスタンバイ。

金魚とは大違いの引きの強さに戸惑いながら、引いて〜巻いて〜の掛け声に合わせて逃げないように必死に糸を巻く。

何だ何だと、二人ともワクワクが止まらない様子。

掛かったのはウツボだった。

大野さんが網でキャッチし、ウツボが陸にあげられる。



ウツボ、、、、。

黄金伝説で濱口がヤリで捕まえてたやつと同じのを自分が釣るなんて、、、。

噛む力が凄いから気をつけてと言われビビりながらもとりあえず記念撮影し、持って帰るか迷ったが、こんなドデカい魚を持って帰ってこられた親の困惑した顔が容易に想像できたので、海に返すことにした。

あっという間にウツボは海に返って行った。

自分は最後のいいとこ取りをしただけだが、まさかの魚が釣れて上出来な二回目の釣りだった。

自分で捌くのは難しそうだけどウツボも今度食べてみたいなぁ、どこで食べれるかなぁ、とその夜今までの人生で一番ウツボのことを考えていたのであった。

では🐞

Written by KIKO