以前スタジオがあって新婚時代住んでいた名古屋市西区枇杷島町の成人式の写真を今年も撮影してきました。

初めてここにスタジオ引っ越してきた時、スタジオの前の喫茶店に行くと、それまではガヤガヤと騒がしかった店が、私が入った途端し〜んとして、まるで西部劇で余所者が酒場に入ってきたとの様。そして「あの人なんかエッチな写真か何か撮ってるみたいよ」って噂話がコソコソと聞こえてきて凄くアウェイ感が半端なかった。
引っ越して半月も過ぎた頃、突然カメラを持ったお爺さんがやって来た。その人は町内会長をしている人で、「あんたさんは何でこの町に来やーしたじゃ?」って聞くので、自分は写真学校の学生の頃この町が好きで、中区の栄から歩いてここまで写真をよく撮りに来ていた事を話し、昔撮った写真を見せたところ、「この人は昨年亡くなった〇×さん、こっちの写真は昔の△〇さんの古い家じゃ!、おお!コレは□△さんの若い頃だ」って喜んでいるので、もし良ければその写真差し上げますので、写ってる人にあげて下さいとお願いした。暫く経ってから何時ものように目の前の喫茶店で珈琲を注文すると、それまで遠巻きで見ていたお客さんが突然私の周りに集まってきて「あんたさんはこの町が好きで来たって聞いたんやがホントきゃ?」「〇×さんの写真撮りゃ〜したやろぅ」とかいっぱい質問されて、それから皆が顔見たら挨拶してくれるようになって、やっとこの町の一員として認めて貰えた気がした。
この成人式の集合写真を撮る事になったのも、先の町内会長さんがやって来て、今まで同じ町内の写真屋さんに頼んでいたのだが、凄くヘタで、2年前もちゃんと写って無くて写真を配れなかった。そして今年は、そこの娘が写真学校で勉強して卒業したから大丈夫だというので任せたら、全く撮れてなかったため二年続けて新成人の記念写真が無いと言う事態になり、町内会長としてコレは本当に困るので同じ町内に住む写真家として、どうしても撮って欲しいと頼まれた。でも当時の成人式は1月15日で、その日は私と妻の誕生日! 結婚したばかりと云うこともあり、その日は休みにしたい旨と、自分はコマーシャルフォトが専門なのでそういう撮影は営業写真館に頼んでくれと断った。しかし、どうしても今度は絶対に失敗できないから一回だけで良いから、次がちゃんと見つかるまでで良いので、どうかワシの顔を立ててくれと頼み込まれ、一回だけの約束で撮る事になったのだが、そのままズルズルと撮らされることに... その後、岐阜に引っ越したり、小牧に引っ越したりと、枇杷島には住んでいないのに「あんたは何処に行ってもここの町の人じゃ! ずっとこの町はあんたの事を歓迎して忘れんじゃ!」って言って貰ってもう20年になる。当時近所で生まれたばかりの赤ん坊達が今ここで成人になって今も私が写真を撮らせて貰っている。その町内会長さんは昨年90歳超えて亡くなられた。亡くなられる直前まで写真を撮ってパソコンで写真を加工したりしていた。今日も町の役員さん達とあの人は凄い人だったなぁ〜って話した。
ご冥福を祈り心より感謝申し上げます。