皆さまこんにちは。メディカル・エンジェルです。

本日は、の話題は『余ったエネルギーは脂肪として貯蔵される 』についてで御座います。

余ったエネルギーは脂肪として貯蔵される

 

体を動かしたり、心臓や肺や脳やその他全ての臓器や組織を正常に働かせるためにはATPというエネルギーが必要です。このATPは糖質や脂肪を燃焼(酸化)することによって生成します。ATPはアデノシン3リン酸(Adenosine Triphosphate)の略語で、アデノシンに化学エネルギー物質のリン酸が3個結合したものです。リン酸を切り離すときにエネルギーが生じ、細胞内でエネルギーの貯蔵と供給を行うエネルギー通貨のような分子です。

 

細胞は糖質や脂質(脂肪)を燃焼させることによって、これらに保存されている化学エネルギーをATP分子に捕獲し、筋肉の収縮や物質合成などの細胞の仕事に使っています。タンパク質もアミノ酸に分解されたあと、体内のタンパク質の合成に使われる以外に、一部のアミノ酸はグルコースなどに変換されてエネルギー産生に使われます。

 

これらの栄養素は呼吸によって取り入れた酸素によって燃焼してエネルギーを作り出し、体の運動や細胞の活動や体温維持など生命の維持に消費されます。摂取エネルギーが消費エネルギーより多いと余分なエネルギーは主に脂肪となって貯蔵されます。

蓄えられた余分な脂肪は、体がエネルギーを必要としたとき、すぐに燃焼してエネルギーに変わればなんら問題ありません。しかし、そうならない理由がたくさんあります。

 

人はエネルギーを必要とする時、蓄えられた余分な脂肪を燃やす前に空腹感を覚え、糖質を欲しがります。貯蔵されるエネルギー源としては脂肪の他にグリコーゲンがあります。グリコーゲンは筋肉や肝臓に貯蔵されていますが、その体内貯蔵量は200~300グラム程度です。糖質1gのエネルギーは4キロカロリーなので、800〜1200キロカロリー程度、すなわち数時間から半日程度で枯渇します。 一方、体脂肪には1〜2ヶ月分程度のエネルギーが貯蔵されています。体脂肪率20%で体重60kgの人では12kgの脂肪が存在し、これが全て燃焼すれば約10万キロカロリーになり、1日2000キロカロリーを消費しても約50日分になるという計算です。

糖質を多く摂取すると脂肪は燃焼できない

 

糖質が入ってこなければ体脂肪が燃焼し始めますが、食料が豊富な現代においては、脂肪に蓄えられたエネルギーを使う前に、手近なエネルギー源である糖質の摂取を体は要求し、多くの人はその誘惑に負けてしまいます。

 

糖質は単純な構造をしており最も迅速にエネルギーに変わることができる栄養素です。空腹時や運動の後に糖質を欲しがるのは、迅速にエネルギーに変わるからです。脂肪の分子構造はより複雑で、燃焼(酸化)してエネルギーに変えるには余計なエネルギーと時間がかかります。したがって、食事から摂取したり蓄積している脂肪を分解する前に、手近な糖質をエネルギー源として欲するのです。そして、糖質を多く摂取しているかぎり脂肪は燃焼しません。欲するままに糖質を摂取すれば、脂肪は燃焼せず、余分な糖質が脂肪に変換されて蓄積し、さらに体脂肪が増えるという悪循環を形成します。 食事中の糖質摂取量を減らして脂肪を燃えやすい状態にすることが太りにくくなる最も効果の高い方法と言えます。

 

 

 

皆さまこんにちは。メディカル・エンジェルです。

本日は、の話題は『糖質摂取を減らすと太りにくくなる』についてで御座います。

 

肥満の度合いを示すボディマス指数

 

肥満度の指標としてボディマス指数(Body Mass Index:以下BMIと略す)が使われます。これは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められます。例えば身長170cmで体重60kgの場合は、60÷1.7÷1.7で計算して20.8(kg/m2)になります。 BMIの標準値は22で、標準から離れるほど有病率が高くなることが知られています。肥満は糖尿病や動脈硬化性疾患やがんを増やし、低体重は抵抗力や免疫力の低下によって肺炎などの感染症に罹りやすくなります。

 

肥満の判定基準は国により異なります。世界保健機関(WHO)ではBMIが25以上を過体重(overweight)、30以上を肥満(obese)としています。日本肥満学会では、BMIが22を標準体重としており、25以上を肥満、18.5未満を低体重としています。日本人ではBMIが30以上の高度肥満の人の割合は2~3%程度であるのに対して、米国ではBMI30以上の肥満が人口の約30%を占めるという事情が関連しています。

 

米国では脂肪とタンパク質の摂取を減らして肥満が増えた

 

米国では急速に肥満が増加しています。米国ではこの30年間で肥満(BMIが30以上)は2倍以上、小児の肥満や成人の高度の肥満(BMI35以上)は約3倍になっています。米国の人口の3分の1が肥満(BMI30以上)、3分の1が過体重(BMIが25〜30)です。

このような肥満の急速な増加が1980年代以降に起こっている点に注目する必要があります。

 

1977年にまとめられた「アメリカ合衆国上院栄養問題特別委員会報告書(通称:マクガバン・レポート)」というレポートで肉や脂肪の摂り過ぎが心臓病やがんや脳卒中などの生活習慣病の発生に深く関与していることを指摘しました。 そこで、健康的な食事の基本は、肉と脂肪を減らすことが目標になりました。しかし、肥満も糖尿病も逆に増えてしまうという結果になっています。
  1971年から2006年にかけての米国における食事の内容の推移と人口の肥満率の推移を調査した論文があります。(Am J Clin Nutr 93:836–843.2011年)
  この論文の報告によると、1971–1975年の肥満の率(BMIが30以上の割合)は男性が11.9%で女性が16.6%でしたが、2005~2006年の調査ではBMI30以上は男性が33.4%で女性が36.5%に増えています。つまり、30年くらいの間に男性では3倍近く、女性では2倍以上に肥満の人の率が増えています。
  さらに、炭水化物と脂肪とタンパク質のカロリー比について年代別に検討しています。1971年~1975年と2005年~2006年の比較では、食事中の炭水化物のカロリー比率は44.0%から48.7%に増えています。

 

一方、脂肪のカロリー比率は36.6%から33.7%に減っています。タンパク質のカロリー比率も16.5%から15.7%に減っています。
  つまり、マクガバン・レポート以降、肉と脂肪の摂取を減らすような食事指導が行われ、実際に脂肪とタンパク質の摂取が減っているのに肥満が爆発的に増えています。
  脂肪やタンパク質の摂取を減らすと糖質の摂取量が増えます。糖質はインスリンの分泌を刺激するので肥満を起こしやすくなります。摂取カロリー量が同じであれば、高脂肪食より高糖質食の方が肥満を引き起こします。インスリン分泌が増えるほど肥満になりやすいからです。

 

 

 

皆さまこんにちは。メディカル・エンジェルです。

本日は、の話題は『糖質は脳内麻薬の産生を増やす』についてで御座います。

糖質は脳内麻薬の産生を増やす

 

グルコースは脳神経の主なエネルギー源です。したがって、糖質の多い食事で血糖が上がることは脳にとっては快感となり、報酬系を活性化するように糖質を求めるようになります。また、甘味自体が味覚神経系を介して報酬系を活性化します。さらに、甘味物質や糖質は脳内麻薬と言われるβーエンドルフィンの産生を増加させることがラットを用いた実験で報告されています。エンドルフィンは「体内で分泌されるモルヒネ」という意味です。マラソンなどで長時間走り続けると気分が高揚してくるランナーズハイと呼ばれる現象はエンドルフィンの分泌によるものとの説があり、性行為をするとベータ・エンドルフィンが分泌されると言われています。つまり、甘味物質や糖質は脳内報酬系のドーパミンと、脳内麻薬のエンドルフィンを増やすことによって、強い快感を感じるようになります。

 

砂糖の主成分である蔗糖はグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)が繋がった2糖です。高フルクトース・コーンシロップ(果糖ブドウ糖液糖)はグルコースとフルクトースが混ざった糖液です。グルコースは脳のエネルギー源として報酬系を活性化し、フルクトースはグルコースの2倍の甘さがあるので甘味によって報酬系を活性化すると考えられます。つまり、砂糖や高フルクトース・コーンシロップは中毒になりやすい食品と言えます。甘い果物も蔗糖とグルコースとフルクトースが一緒に含まれるので中毒になりやすいと言えます。

 

多くの人々の食事において、精製した糖(蔗糖や果糖や異性化液糖など)は人間の歴史においてつい最近まで存在しませんでした。しかし今日では、このような精製した糖の豊富な食事が増えています。そして、糖質や甘いものが止められない人が増えています。これが、肥満や糖尿病が急激に増えている原因にもなっています。甘味や糖質に対する中毒は、甘味や糖質を断つことによって克服することは可能です。甘い食品が止められない人は、自分が中毒になっていることに気づいて、甘味や糖質依存から脱却する努力が必要です。

 

 

 

皆さまこんにちは。メディカル・エンジェルです。

本日は、の話題は『糖質と甘未は脳内報酬系を刺激する』についてで御座います。

糖質と甘味は脳内報酬系を刺激する

糖質も甘味も薬物依存と同じ作用をすることが動物実験などで明らかになっています。快感を求めて甘味や糖質の摂取を求め、次第に摂取量が増え、摂取しないとイライラなどの禁断症状が出てきます。ラットの実験で、コカインよりも甘味の方がより脳内報酬系を刺激するという結果が報告されています。つまり、甘味はコカインよりも中毒(依存性)になりやすいという実験結果です。砂糖の多い食品や飲料の過剰摂取は甘味による快感によって引き起こされ、これは薬物依存との共通性が指摘されています。そこで、甘味による依存性(甘味中毒)と薬物に対する依存性(薬物中毒)のどちらが強いかを比較する目的で実験が行われています。

 

この実験では、ラットを2つのレバー(ドアの取手)があるケージに入れ、一つのレバーを押すとコカインが静脈注射され、もう一つのレバーを押すとサッカリンの入った水を20秒間だけ飲めるような仕組みを作って実験しています。するとほとんどのラットはサッカリンの入った水を飲むレバーを多く押したという結果が得られたのです。サッカリンは砂糖の200倍以上の甘味があるカロリーゼロの人口甘味料です。コカインは中枢神経を興奮させて強い快感を得るので薬物依存症(薬物中毒)になりやすい覚醒剤です。サッカリンの代わりに砂糖でも同じ効果でした。サッカリンに対する嗜好はコカインの投与量を増やしても変わらず、コカイン中毒になったラットを使ってもサッカリンの方を選ぶという結果が得られました。つまり、この実験結果は、甘味に対する中毒はコカイン中毒よりも勝るということを示しています。

 

ラットやヒトを含めて多くの動物において、甘味に対する味覚受容体は砂糖の少ない太古の時代の環境で進化したため、高濃度の甘味物質に対しては適応できていません。現代社会において日常的になっている砂糖が豊富な食事によって味覚受容体が過剰に刺激されると、脳において過剰な報酬シグナルとなるので、自制のメカニズムを超えてしまい中毒になってしまうのだと、この論文では考察しています。

 

 

 

皆さまこんにちは。メディカル・エンジェルです。

本日は、の話題は『糖質と甘未は中毒になる』についてで御座います。 

脳内報酬系が活性化されると快感を感じる

 

人間を含めて動物は「気持ちがよい」とか「快感」を求めることが行動の重要な動機になります。このような快感が生じる仕組みは脳内にあり「脳内報酬系」と呼ばれています。脳内報酬系は、人や動物の脳において欲求が満たされたとき、あるいは満たされることが分かったときに活性化し、その個体に快感の感覚を与える神経系です。
脳の腹側被蓋野から側坐核および前頭前野などに投射されているA10神経系(中脳皮質ドーパミン作動性神経系)と呼ばれる神経系が脳の快楽を誘導する「脳内報酬系」の経路として知られています。

 

ラットの実験で、この神経系に電極を埋め込んで電気刺激をするとラットは盛んにレバーを押して電気刺激を求めたことから、この神経系が活性化すると快感を感じることが発見されました。A10神経系で主要な役割を果たす神経伝達物質がドーパミンです。ドーパミンはアミノ酸のチロシンから作られるアミンの一種で、人間の脳機能を活発化させ、快感を作り出し、意欲的な活動を作り出す神経伝達物質です。A10神経系が刺激されると、ドーパミンが放出され、脳内に心地良い感情が生ずると考えられています。このシステムは、正常な快感とともに、麻薬や覚せい剤のような薬物による快感や、そのような薬物への依存の形成にも関わることが知られています。脳内報酬系においてドーパミン放出を促進し快感を生じると、それが条件付け刺激になって依存症や中毒という状態になります。コカインのような覚せい剤やモルヒネなどの麻薬のように依存性をもつ物質は、ドーパミン神経系(脳内報酬系)を賦活します。

 

このような依存性のある薬物は連用すると、同じ量を摂取しても快感の度合いが次第に小さくなります。そのため、快感を得るためにさらに摂取量を増やすようになります。さらに、その薬物が入ってこなくなると、ドーパミン神経系が低下し、不安症状やイライラ感などの不快な気分が生じます。これが禁断症状(離脱症状)です。このように、脳内報酬系を活性化して依存性になる薬物では、次第に摂取量が増えることや離脱症状の存在、その薬物の摂取を渇望することなどが特徴です。