あれはInterpalsにアカウントを作ってから1か月ほどが過ぎたころ。2016年の6月ごろのお話です。当時、一日に10ぐらいのアカウントからメッセージが届き、ほとんどすべてに返事をしていました。英語で話したい、という思いが強かったのと、どのようなメッセージが危険であるのかが分かっていませんでした。
 その人にはフェイスブックの名前を教えてくれと言われました。フェイスブックにはメッセンジャーという機能があって、ここでテキストのメッセージが交換できます。その人は最初から、結婚がどうのとか、もうすぐ日本にくるのだとか言っていました。明らかに怪しいのですが、次はいついつの何時に話すぞと命令してくるのです。英語で上手に断る方法が分からず、気分がまったく乗らないのに時間になるとログインしていました。
 そのころ私にはトラブルがあって悩んでいたのですが
 「いいか、戦うな。」
と言ってきます。戦わない、という約束までさせられて、次の時に確認までされるのです。私の気持ちなどおかまいなしの強引な話の進め方にますます話がしたくなくなっていました。
 「3週間後に契約が終わる。それまでに、結婚したいかどうか答えをくれ。」
そんなことを言われて最悪の気分んになっていました。いつ嫌だと言ったらいいのだろう。いやだと言ったら切れそうな人だ。
 「ほとんど話したこともない私にどうして結婚したいと言うのですか?」
ときくと
 「君が約束を守って話をしにきてくれるから。」
と答えます。答えになっていません。
 最後の方には、二人で住む家を借りたいから東京の物件を探してくれ。一軒家でなくてはだめだ。
とか
 東京にショッピングモールを作りたいのだけれど良い場所はないか?
などと、クレイジーなことを言い始めました。もう怖くてたまりません。ブロックしてしまえば良いだけなのに、私はどうしてそれができなかったのでしょう。もしかすると、自分の抱えていたトラブルを忘れるために、英語でチャットするというチャレンジをしていたかったのかもしれません。そして、相手がもし本気だったとしたら、どうやって傷つけずに断れば良いのか。明らかにおかしいと分かるものがなければ断りにくい、という心境にもなっていました。
 「良い知らせだ。契約を早めに終えることができた。二人のためのお金を送りたいから名前と住所を教えてくれ。」
 初めて話をしてから、十日から2週間ぐらいだったでしょうか。とにかくもう嫌だ、と感じました。その時はクレイジーな人なのか詐欺師なのか確信が持てませんでしたが、はっきりと断った後でブロックしました。こんなおかしな人に私の名前や住所を知られてはいけない。とその時は思っていました。それは正しかったかもしれないし、もっと大きな危険から自分を守ったことになったのかもしれません。
 最近国際ロマンス詐欺について書かれた新聞記事に書いてあったのですが、信じられないような大きな金額を振り込んだと思いこませ、それを引き出すのに何十万円、何百万円が必要だ、という話になっていくケースがあるようです。
 この時学んだこと。それは
 いくら英語の練習になっても、自分のことだけしか考えていない相手と話すのは時間の無駄だ。
ということでした。命令し、落ち込ませ、恐怖を与えながらこちらをコントロールしよう、という詐欺師もいるようです。不愉快だと思ったら、その気持ちを大切にして相手にしないことがとても大切だ、と恐怖とともに学びました。